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雨より君に。  作者: 吹楽 奏 ・ (偽貍狸)
4/8

さん。

 帰り道。


 明日、苺大福を作っておいてくれると言われて出てきたのも良いが、あそこの店の団子も、やっぱり少し食べておけばよかったかと思った。


 周りには、さっきのお団子屋さんみたいな小さなお店が沢山並んでいて、お花屋さんの前では、奥様方が楽しく喋っていたりする。

 時々楽しそうな笑い声が、わははっと耳に届いた。


 そんな人たちを見てから、ふと、空を見上げてみる。

 空はまだ、綺麗だと思うくらいに青かった。


 「ん。」


 鞄の中に手を伸ばす。

 取り出そうとしているのは、一冊のノート。

 良いと思った景色、幸せと感じた事を書き残しておく為に使っている。

 理由は特に無いのだが……


 「ん……あれ?」


 無い。

 鞄の中の同じところを、何回も見て、手で探って探しているのだが。

 そのノートが、無い。


 「え、っと……」


 お気に入りで、大切に使っていたのに。

 どこ、いったんだ?


 「あぁあわわわわわわわわっ、やばいぃいいい!」


 頭の横に手を当てて叫ぶ。

 あれがあると、何だか落ち着いた気分で居れるのだ。

 それが無くなったと言ったら、ちょっと焦る。


 自分が見て来た幸せなことが、誰かに見られてしまうかもしれない。

 僕は、そういうところに、何か、こだわりがあるのだ。


 そんなこんなで、あたふたしていると。


 ____ポツリ。


 冷たい粒が、上を向いていた頭にあたる。

 それを見て、少し心が晴れた。


 雨が。

 僕の大好きな、雨が降ってきた。

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共同執筆中の作品 『花より君に。 』!  こちらも宜しくお願いします。
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