に。
「すみませ~ん。誰か、いますかね?」
店の人にきこえるか聞こえないかくらいの声になった気がするんだけど、
「はいっ! いますいますいます!」
「…………………?」
僕は唖然した。
と、同時に、何でだ? と思った。
大きなお皿を持って、頭にどっさりと、きな粉を被った女の子が出てきたからだ。
「ア…ハハハハ、ハハハ………………ド、ドウゾハイッテクダサイ……」
片言で話す女の子の後ろには、少し背の高めの男の子が、呆れたような視線を送っている。
何だかお似合いだな、とも思った。何でか。
「あ!え、えと、メニューですね!!!」
僕がボーッとしていたせいか、女の子が焦ってメニューを持ってきてくれた。
出されたメニューを見るけれど、今は団子が食べたい気分じゃない。
何て言うか、甘酸っぱいものが食べたい。
「苺大福ってありますか?」
ふと、頭にピント来たものを、そのまま口に出していた。
「あ、いや、無かったら良いんです……」
その女の子が唖然とした表情になったのを察知して、手をぶんぶんと振って取り消す。
失礼なこと、言っちゃったかな……?
この様子から見て苺大福は流石に無いようだし、他のものを頼もうとする。
と、女の子が突然目を輝かせた。
「じゃあ、明日作っておきます! また明日来てください!」
「えっ……」
まさか、そんな事になるとは思っていなかったが、「はい。」と一応返事をする。
「あ、えと、有り難うございます。 じゃあ、また明日来ますね……!」
わざわざ作ってくれるなんて、良い店なんだな。
「はい、お待ちしてますっ!」
「あ……じゃあ。」
女の子の笑顔に見送られて店を出る。
何か、流れに任せて店を出て来ちゃったけど……
「…………あ、」
ご飯を食べるために寄ったんだけど、食べれなかったな。
仕方なく、残り約三十分の道のりを歩いて帰ることにした。