74 越後屋の場合
「前線大丈夫ですかね~」
周りをギルドメンバーや同盟の人は慌しく動き回る。俺はする事が無い。廃人装備であるドリオンの世界でも屈指であろう防具を装備してなるべく大人しく座っている。
何の因果か領土戦に参加しようとしている何のとりえもない商人、それが俺、越後屋金衛門。
「越後屋さん、とりあえずフォレストフォイル西の作戦本部に居てくれたらエリアに居るワンダーランド同盟のメンバーにパッシブスキル発揮しますんで結構違うと思いますよ」
ワンダーランド同盟の人数の一番多い中堅メンバーはバートンに配置され、高レベルメンバーはフォレストフォイルとドラゴンスケル、オマケでミーティア、メイジャンに配置されている。
同盟と人数を合わせるとドリオンではダントツの人数規模を誇る。今回の目標は領土権で最低バートンの街を取り王都権をも獲得する事。ポイント稼ぎは最重要課題だ。
レベル、タンカースキルは上がっても、心やプレイヤースキルは弱小商人のままで相変わらずビビリのヘタレ商人。表立って戦わないので最近はご老公など呼ばれる始末。
領土戦も椅子に座っているだけで後は掲示板を見たりライブを見たりするだけの簡単なお仕事。
総司令はマリッジさんがほとんど担当し自ら前線で戦っている。俺は死なない様にエリア端の街との境に偉そうに座っているだけだ。
タンカースキル、装備、レベルのおかげでここのエリアのオークに襲われてもびくともしない。自己回復出き少々ダメージを受けても回復するので各エリアの部隊との連絡要員の護衛と言う名目で放置されてる。
高レベルプレイヤーはすぐ移動できるように多量の移動クリスタルをストックしてある。それにレア魔法であるワープゲート持ちの魔法使いも数人ここに待機している。
「マスター、バートン南のヴァルキリーナイツ大活躍らしいっすよ」
「アリスちゃん、大活躍か。そういえばもう長い事あってないな。商人で気楽に行商してた頃が懐かしいわ」
「何言ってるんですか名実共に最大手のギルドマスターじゃないですか」
「イヤイヤイヤイヤイヤ。何にもしてないし」
「商品の交易法を初期段階で発見してギルドに導入したからワンダーランド同盟の資金は豊富にあるんですから。マスターの功績っすよ」
「ドラゴンハンターの部隊がオークキングに止めをさしたみたいっす。この後、フォレストフォイル西は一部の部隊を残してフォレストフォイル北に移動だそうです。作戦本部も北にマリッジさん達は移動クリスタルですでにフォレストフォイルの街に戻ってるみたいっす。僕らも急ぎましょう」
「マリッジさん、オークキング討伐お疲れ様」
「越後屋さん、次は北行って食い尽くしましょう」
「俺は何も役に立ってませんけどね」
「越後屋さんのお陰で俺が自由に動けるんで助かってますよ。総大将だと転ぶの不味いから特攻できないからでしょ」
「ペナルティ大きいですからね~。話して無いで早く行って下さい」
「越後屋さん、まかせとけ。食い尽くしてやるよ」
この後、ポイント一位を獲得し表彰式で代表で喋らないで睨みだけで答えると言う伝説打ち立てる。
現実は緊張しすぎでカチカチになり固まってただけなのだが睨んでいる様に見えたらしい。
無事、バートン領土権、フォレストフォイル領土権と王都権をゲットし名実共に最大手ギルドになるのであった。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




