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諦めることは良いことである。
私は由梨に腕を拘束された。
【由梨のもの】
と、私の腕に彫刻刀で刻み込まれた。
『っ…な、なにをするの……』
激痛が走り、逃げたくなった。
『だから言ったじゃないですか~。由梨のものだって……』
由梨さんは奇妙な笑みをしていた。
《……ありえない。こんなに血がダラダラ出てるのに慌てたりなにもしないなんて。この子、ホンモノだ……。》
『痛いんだけど……』
と私が呟くと、彼女は私の腕を掴み傷口を舌で綺麗に舐めとった。
『あなたがなんて言ってもお付き合いはしません。』
『ここまでしても、まだわからないのですか……わかりました、では諦めます。』
え?
『そこまで言うなら私は引き下がりますよ。』
彼女はお辞儀をして私の側から立ち去った。