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007 オトシモノ

翌朝。




嘘のように天気は晴れていた。

あまりの眩しさにいつもより早く目が覚め、ママに褒められた。

今日はいい日になりそう〜♪…なんて勝手に思ったりもした。



「じゃっ…行ってくる…」



「ホントに今日…学校休まなくても大丈夫なの…?昨日の事もあるし…」


心配そうに言うママに、ボクは笑顔で、



「大丈夫だって!」



「いい!?リュウくんが学校に現れたら逃げるのよ…」



「しっ!隣のリュウくんのパパとママに聞こえちゃうよ!

じゃあ行ってきます!」


元気なボクにママは逆に不安そうに見送った。



ボクは玄関から飛び出し、

エレベーターへと向かおうとした瞬間−




ガチャッ




隣の家のドアが開いた。



「 −! 」



ぬぅ


…とリュウちゃんのパパが出て来た。

リュウちゃんのパパはボクを見てニタァと笑い、



「おはよ…」


と、挨拶してきた。



「お…おはようございます。」



ボクはそのまま走った。


昔から苦手なんだ…リュウちゃんのパパ。


それはきっと…ボクにパパがいないせいなのだろう…。



「はあ…はあ…」




ボクはエレベーターを使わず、階段で下まで降りて行った。








その頃、ママは家でパソコンをいじっていた。


−仕事ではなく、リュウちゃんの件で…





「やだ。こんなにあるの…?

霊能者のサイト…。迷うなぁ…」




ママはここに霊能者を呼んでリュウちゃんを成仏させるつもりだ。

リュウちゃんの幽霊を見たのは今でも半信半疑だろうけど、

きっと何もしないよりはマシと考えたんだろう。








「…はあ…はあ…」



ボクはやっと一階に着く。


その時、エレベーターの開く音が聞こえた。



ピンポーン



ボクはエレベーターを見る。


ドアがゆっくりと開き、リュウちゃんのパパが立っていた。



「………!」




ボクはまた走り出す。




タッタッタッタッ




ドンッ!



「うわっ!」


「きゃっ!」




ボクは誰かとぶつかった。



「ごめんなさい…大丈夫ですか?」



「…う…うん。」




カッ カッ カッ カッ



リュウちゃんのパパの足音に怯えたボクは、



「ホントにごめんなさい!

ボク急いでいるので失礼します。」



「え!?…あ・ちょっと!」




タッタッタッ…



ボクは後ろを振り返ることなく、そのままダッシュした。





「…もう〜手帳落としてるの…気付いてないわ。」






「大丈夫ですか?」




「あ.ハイ。」



「おや、この手帳は…?」




「…あ…さっき、ぶつかって来た子が落としたみたいで…」



「うちの隣に住んでる男の子のだよ。

自分が届けてあげましょうか?」



「………。」



「……? なにか?」



「…いえ、いいです。

わたしもここの4階に用があるんで…

ついでに渡して来ます。

どうぞ、わたしに気遣わずお出かけになって下さい。」



「……そうですか…では、失礼します。」





カッ カッ カッ カッ

カッ カッ カッ カッ



「………。」









「…はあ…はあ…」



ボクはバス停まで走った。

あと1分以内でバスは来るからリュウちゃんのパパに会う事もない。




「……あれ!?」



ボクはどっかで手帳を落としたらしい。





「おかしいな…絶対ポケットに入れたはずなのに…」


ポケットをどんなに探しても見つからない。

考えられるのはさっきぶつかった時だろう。

−でも、戻るのもいやだ。



…ブゥゥゥ〜…



ちょうどバスがやって来た。

ボクは手帳を諦めてそのままバスに乗ることにした。









一方、さっきボクとぶつかった人は

エレベーターの中でボクの手帳を物色していた。



「なになに…ナカニシ…セイイチロウ…?」





「……17歳…」





「…養護学校…」





手帳を拾った女の人はボクの手帳をじっと眺めていた。



「…17歳か…」





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