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エピローグ

そんなある日の事。



「脱走していた女が見つかって戻って来るらしい。」


「…見つかったのか?今回は時間かかったなぁ」



施設の先生達の会話が聞こえる。



「脱走?」


ボクが呟くと、先生はボクを見た。



「そうか、誠一郎くんは知らないんだよね?よくここを脱走する女の人がいてね。…確か、病院で飛び降り自殺未遂を起こして命は助かったんだけど、頭がヤラれちゃって…それ以来、ずっとここに。」



「…ふ〜ん。」



「おっ…来た来た。おかえりぃぃぃ」



先生は奥からやって来た女の人の元へ。




「……あれ?」



ボクは目を凝らして、女の人を見た。



「…お姉ちゃん?」



そこにいるのは…あの時、ボクをホテルへ連れて行った人。



「あれ?何で知ってるの?」


もう一人の先生が言う。



「この前…会ったんだもん。お姉ちゃんも…障害者なの?」


「ああ、障害者だ。虚言癖もあるから彼女が言った事は信じない方がいい。」


「…え?…あ…赤ちゃんは…?子供いなかった?」


「子供はいない。だが、脱走する度、何処かから赤ん坊をさらって自分の子供だと言う。」



「…え?…なんで?…意味がわからない…」



ボクはお姉ちゃんの元へ駆け寄った。


「お姉ちゃん!ボクだよ?覚えてる?」



ナツキお姉ちゃんはボクを見て微笑む。



「あらら。先日はどーも。」



「やっぱりナツキお姉ちゃんだよね?」


「そうよ?わたしはナツキよ?」



…でも…なんか…

…おかしい…



「誠一郎くん!残念ながら彼女の名前はナツキじゃないんだよ?」


「え?だってナツキってこの前…」


「会った事あるのかい?…じゃあ、よく見といて。」


先生は笑うとナツキお姉ちゃんに向かって



「久しぶり、サチコちゃん。」


「あら?ひさしぶり。わたしの事覚えていてくれたんだぁ?」


「何処に行ってたんだい?ミチコ!」


「ごめんなさい。友達と映画に行ったらこんな時間に…怒ってる?」



ナツコお姉ちゃんは先生の言葉に合わせ、全然違う事を言っていた。



「どういう事?」


ボクの問いかけに先生は言う。


「彼女は人に合わせて嘘の返事をいう障害者なんだ。本当の名前は『ナオミ』だ。」



「…ナ…ナオミ?…」



ボクが叫ぶと、お姉ちゃんはボクを見て



「そう!わたしはナオミ!宜しくね!」


と、返事をした。



「………!」



ボクは言葉に詰まった。



じゃあ…


あれはなんだったんだ?



何故、彼女はあの場所にいてボクを助けたの?



「………。」



そうか。



ナオキの仕業か。



彼女をナツキお姉ちゃんと思わせて…まだボクを狙ってる?



それしか考えられない。



「誠一郎くん!そろそろ寝る時間だよ?部屋に戻ろう。」



「…先生…ボク…殺されちゃう!」


「突然、何を言ってるんだい?ここは施設だよ?そんな事あるはずかないっ」


「本当なんですっ!ボクはナオキって奴に命を狙われてますっ!」



「ナオキ?誰だねそれは?キミは何か怖い夢でも見たんじゃないのか?」


「違う!本当なんです!先生!ボクを助けて!」



「落ち着きなさい!とにかく消灯時間だ。ベッドへ行こう!」



「やだっ!殺されちゃうのにベッドで寝てられないよ!」


「落ち着きなさい!誠一郎くん!」


「やだっ!」


だが、ボクは強引に先生に引っ張られ自分の部屋へ連れて来られた。



「さっ、寝なさい」


「やだっ」



先生は引き出しから注射器を出す。


「良い子にするんだっ!?」



「はあっ…まさか?…はっ…お前も仲間だな?ニセナオキみたいにっ」


「何を言ってるんだ?落ち着かないなら打つぞ?」


「いやだっ!ボクは騙されないぞっ!」


「いい加減にしないかっ」


「………はあっ…はあっ」



先生はボクを怖い目で見る。

そしてふと気付くのだ。

先生の後ろにナツキ…いやナオミお姉ちゃんがいる事に…。



「………。」



「よしっ…静かになったな?良い子だ…」



ガンッ


「へぐっ…」



先生はお姉ちゃんに鈍器なようなもので殴られ地面に倒れ込む。



ドサッ。



「……はあっ…はあっ」



ナオミお姉ちゃんはボクをゆっくり見つめる。



「あ…ありがとう。また助けてくれたんだね?」



「………そうね。あなたを助ける為だもの。」


「…とにかく逃げなきゃ」


「…その必要はない。」


「ーえ?」


彼女は笑うと、

先生を殴った鈍器を持ち上げ、ボクに振りかざした。



「 え? 」



ゴンッ。



「…これもナオキ様のため…」




…end




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