041 キンパク
タッタッタッタッ
「…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
タッタッタッ
ボクは無我夢中で家に向かって走っていた。
「…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
ニセナオキの最期の言葉。
「次はお前のママの番だ」
今度はママを狙う気だ…早く…早く家に着かなきゃ!早く!早く…!
タッタッタッ
マンションが見えた。
ボクはすかさずエレベーターに向かう。
ガダン。
ゴオォォォォォォォォ〜ン
「…はぁ…はぁ…はぁ」
エレベーターが6階に着くとボクはドアをこじ開ける様にして飛び出た。
「……くっ」
タッタッタッタッ
ガチャッ
家のドアを開けるとすぐにドアを開け中に入った。
「…ママ!」
…ダダダダ…
「ママ!」
ダダダ
ガチャツ
「…ママ!」
ダダダダ
「…?」
どこに探してもママの姿はない。
残りはボクの部屋だけだった。
「………。」
ガチャッ
「………!」
ママはボクのベッドで寝ていた。
目と口は半開き、服は血が広がった様に真っ赤に染まっていた。
「ママ!」
ボクはママに駆け寄る。
「ママ!起きて!ねぇ!起きて!」
「その人ママじゃない…ママはわたしよ!」
ニセナオキと同じ様に鋭いナイフを持ったリュウちゃんのママが立っていた。
「……!」
「どうしてわかってくれないのっ!わたしがママだって言ってるのに…もう…どうして…どうしてなのっ!」
「…まさか…おばさんがママを?ママを殺したの?」
リュウちゃんのママは横の壁を思いっきり蹴飛ばす。
ゴンッ!
ボクはびっくりして声が出なかった。
「…この女はね!わたしからあなたを奪ったのよ!だから罰を与えてやったの!あなただってそう望んでいたでしょ?この女から解放されたいって…」
「違う!ボクのママはお前じゃない!この人だっ!リュウちゃんだけじゃなくボクのママまで殺しやがって!ヒトゴロシ!」
ボクは涙を流しながら訴えた。
それを聞いたリュウちゃんのママは突然、叫び出した。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ」
ボクはびっくりして後ずさる。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…お前までわたしを裏切るのかぁぁぁぁぁ…ひいぃぃぃぃぃぃぃ」
するとリュウちゃんのママは持ってたナイフを上にあげ、今にもボクを刺す体勢に入る。
「あぁぁぁぁぁぁ…もう駄目よぉ…良かれと思ってやってるのに誰も認めてくれない信じてくれないぃ…あんたを殺してわたしも…わたしも死ぬぅぅぅ」
リュウちゃんのママはボクに向かって走ってくる。
「……あ…」
ボクはもう動く事は出来なかった。
「逃げてっ!」
誰かの声が聞こえた瞬間、ボクの身体は乱暴に倒された。
「わっ」
ドサッ
「………。」
「…お姉ちゃん!」
ボクをかばってくれたのはニセナツキお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんの脇腹にナイフが突き刺さっていた。
「お姉ちゃん!」
ボクは大声で叫ぶ。
リュウちゃんのママは突然現れた女性にびっくりしていた。
「…は…やく…逃げて…逃げるの…ごほっ」
「…でもっ」
「いいから…ホラ!早く…早く逃げて…」
「う・うん!」
ボクはドアの入口に向かって走り出したが、リュウちゃんのママの方が一足早くドアに着きドアを閉めた。
「逃がさないわ」
ボクは周りを見渡した逃げ道は部屋の窓しかなかった。