039 パニック2
「ほらぁ、泣きたいヤツいるかぁ?少しでも泣いて見ろ…死・ぬ・ぜ。」
「…ひぃっく!」
「…ぅう!」
声が洩れそうになった子はみんな口を押さえていた。
「…うう…」
「…ひいぃ…」
「…んん!」
「…あひゃひゃひゃ。みんな震えてるねぇ〜ブルブルと…ブルブルと…ブルルルルルル」
ニセナオキは唇を空気で震わせ何故か回転していた。
「ひゃっほ〜!んー!サイコーだぁ!気持ちいいぞぉぉぉ〜っ」
そして誰もいない場所にナイフを振り飾していた。
シュッ シュッ シュッ
シャッ シャッ シャッ
「ヒャッホォ!」
足を地面でバタバタさせ、まるで音楽に合わせて踊ってるかの様だった。
「萌ちゃああぁぁ〜ん」
ニセナオキは気色悪い声で萌ちゃんの顔に近づく。
「キミ、いつもセイちゃんをいじめていたよね〜?バスの中とか…教室のウンコ事件とかさぁ〜。セイちゃんが俺に言ってたよぉ。萌ちゃんが嫌いだってさ!殺して欲しいってさ!」
萌ちゃんはその言葉を聞いてボクの方を見た。
ボクは慌てて否定する。
「違う!ボク何も…」
「…アンタ…やっぱりクズだわ!アンタがいるとみんな死ぬわ!」
萌ちゃんはボクをすごく睨んでいた。
「ほらぁ またぁ」
「…ん!」
ニセナオキは萌ちゃんの唇をつまみ引っ張った。
「…もう〜悪いお口ちゃんでちゅね〜」
ニセナオキはあっという間に摘んだ唇をナイフで切り取る。
「んぎやあぁっふ!」
痛みで叫ぼうとした萌ちゃんの口を塞ぎ、
「叫び声は…禁物」
ニセナオキは靴を脱ぎ靴下を脱いでは萌ちゃんの口に詰め込んだ。
「…ふぐぐ。」
そして、萌ちゃんの顔の前にお尻を突き出した。
「萌ちゃあぁぁぁん、俺のウンコたべるぅ〜?」
「んんん!」
必死に首を横に振る萌ちゃん。
「あひゃひゃひゃ。冗談だよぉ〜ん!」
笑いながらニセナオキは萌ちゃんを抱き上げ、教壇にあるウンコに顔を思い切りぶつけた。
ゴンッ!
鈍い音が教室に響く。
「あ・ソレ♪もう一回♪」
ゴンッ。
ゴンッ。
ゴンッ。
「んばぁぁぁ!」
萌ちゃんの鼻は変形し、額から血が流れ、顔はウンコまみれになっていた。
前の怪我で巻いていた包帯も血で真っ赤に滲んでいた。
「あひゃひゃひゃ。セイちゃあん…良かったね!これで誰もいじめる人いなくなるよぉ〜」
「……あ。」
ボクは言葉が出なかった。
「これも電池切れ。」
ドサッ。
萌ちゃんをゴミの様に放り投げたニセナオキは小走りにボクの隣に座ってる子の頭を掴み出す。
ガシッ。
「うわっ。」
無理矢理引っ張り、景色が綺麗に見える窓ガラスへ力まかせに投げ付ける。
ゴォン。
ピシッ。
衝動でガラスにヒビが入った。
「…もういっかい!」
ゴン。
ガシャアアァァァァァーン
ガラスは勢いよく割れ、近くの席に座ってた男の子の目に無数の破片が入る。
「ぎゃああぁぁ!」
「うわぁぁぁぁっ!」
「うぇぇぇ〜ん!」
残りの生徒達が叫び声を上げ、パニック状態になった。
「はい、電池切れ。」
ニセナオキは掴んでたその子を窓から放り投げた。
「……ひっ」
ボクはその光景を見てリュウちゃんが『ポイ捨て』された事を思い出した。