038 パニック
「…うぅぅっ!」
「あひゃひゃひゃひゃ!みんな見ろよ!電池の切れかかったオモチャだよ〜ぅ。これをこうすると…な」
ニセナオキは手に持っている血のついた鋭いナイフを先生に向け、
ザクッ。
…と、お腹に突き刺した。
「ぐぅわっ!」
先生はまた奇声を上げ、体を痙攣させていた。
「………。」
ボクと教室にいるみんなは黙ったままポカンとしていた。
「あひゃひゃひゃ。見たか?見ただろ?こうだよっ!こう…!」
ザクッ ザクッ
「…ぅぅぅぅっ」
ニセナオキは手を降ろしては上げ、降ろしてはまた上げた。
その度に先生の体は小刻みに揺れ、着ている服は返り血で次第に赤く染まって行った。
「……あは」
「…あはははは」
突然、クラスの一人が笑い出した。しかも、楽しそうに手を叩いてだ。
「あひゃひゃ…面白いだろー?今、笑ったキミこっちに来てごらん。キミにもやらせてあげよう。」
「うん!あはは…」
すると、その子は立ち上がりニセナオキの前までトコトコと歩み寄った。ニセナオキはニコニコしながらその子に血の付いたナイフをゆっくりと渡す。
「…………。」
「いいか、こうやって持ってこうするんだよっ!」
ニセナオキはすばやくその子の首にナイフを向け深く突き刺した。
ズブブ。
「…ひぐっ」
その子は目を大きく開き、舌が飛び出るくらい口を開けていた。
ナイフが喉を貫通している為声が出ない。
「あひゃひゃひゃ」
ニセナオキは楽しそうに笑いナイフを引き抜いた。
ブシュシュシュ
大量の血が噴き出した。
「うわあぁぁぁぁぁ〜ん」
一人の子が叫ぶ。その声にみんなビクツとした。
ニセナオキが顔を強張らせ、
「うわぁ…じゃねぇんだよ!静かにしてくれないか?」
タッタッタッ。
ザクッ ザクッ
「うわぁぁぁ……あ」
ドサッ。
叫んだ子は刺され倒れ込んだ。
「あひゃひゃひゃひゃひゃ、この子も電池切れ!さあ!次はどの子かなぁ?」
「…ひいっ。」
「うぅ」
ガタタタッ。
「わあぁぁっ」
一人の子が席を立ち廊下に出ようとした。
「…こらっ待てっ」
だが、身体が不自由な為動きが鈍くてすぐに捕まられる。
「うわぁぁぁっ!たすけてぇ!」
ザクッ。
「…あああぁっ」
「…お前はめった刺しだ。」
ニセナオキはその子を力強く寝かせ、その上から思い切り素早く何回もナイフを上下に動かした。
ザクッ。サクッ。ドスッ。ざぐざぐざくざぐぐざぐざドスッ。サクッ。ザグッ。ぐさぐさぐさぐさぐさぐさ
「…う…あ…あ……ぅ…」
そしてその子は上を見たまま動かなくなった。
「…はあ…はぁ…はぁ…はぁ…次はどいつだ?」
「………。」
「…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
ガタッ
ドアに一番近い子が立ち上がりドアから逃げようとした。
ガラ…。
「たすけっ…て…」
ドサッ。
ニセナオキが投げたナイフが背中に命中し、ドアを開け切る前に倒れた。
「あひゃひゃひゃ。今のウマカッたね!」
「………!」
「………う。」
「…ひっ」
「…うぇ…」
みんな今にも泣きだしそうだった。もちろんボクも。