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033 イカリノテッケン



「…ちゃん!」


「…セイちゃん!」


「セイちゃんてば」


遠くから聞こえて来る声にボクの視界は黒から白へと変わっていく。



「…ん」



「大丈夫なの!?どうしてこんなトコで寝てるの?大丈夫?」



「…え?…うん」



どうやらボクはあのまま玄関で寝ていたようだ。



「良かった。何ともないみたい。ごめんねママがおそくなったから…今、お客さんも一緒なの…」



「……うん。」



眠い目をこすりながらママの後ろに立っているお客さんを見ると、男の人だった。



「初めまして…君が誠一郎くんだね…?」



「…うん。」



「キミのママとは最近知り合って仲良くさせてもらってるんだ。よろしくね…」



「…あ、どうぞ。コーヒー一杯くらい飲んで帰られては…?」



「…いいの?」



「もちろん!そのつもりでここまで連れて来たんですから…どうぞどうぞ」



「………。」



…なんだか、いつものママじゃなかった。


ボクは悟った。


最近のママの帰りが遅いのはこの男の人と会ってるからだ…と。



男の人はソファに座ると家の中をマジマジと見渡していた。

ボクはコーヒーを用意してるママの隣に立ち、問い掛けた。



「…ねえ、ママ。あの人が好きなの?」


「やっ。もー何言ってるのセイちゃん!」



ママはすごい照れていた。



「どこで知り合ったの?」


「ここで…よ。家にたまたま来たのよ。ほら、リュウちゃんが現れたあと。」



「…え!?」



ボクは嫌な予感がした。



「超常現象に詳しい方なのよ。リュウちゃんの事相談にのってもらってたの。」



「オオトモナオキ?」



「あら!?何でわかったの?」



「ママ…前にパソコンで見てたじゃない?でも…か…顔が違う…」



「わざとみたいよ。顔がバレるのは駄目らしくって…でも顔を出さないと信用できないじゃない?だから助手さんの顔を使ってるらしいのね…あ・ごめん。トイレ行ってくる。」



「………。」



ボクは唾を飲み込んだ。


あの…運転手はやはりニセモノで今ここにいるのがホンモノ。


まさか…こんなカタチで本物のナオキと会うなんて…。

気付けばママの姿は無かった。



「………。」



「そんなに恐いか?」



その声に反応した時、ナオキの顔が目の前にあった。



「………!」



「初…対面…だな?近くでみるとガタイいいな。そうだよな?お前これでも17だしな…くくく。」



「…お前が…リュウちゃんを殺したんだな?」



「…ばか言え。リュウを殺したがってたのは両親だ。俺はそれを手助けしただけだ。なんでお前に俺を責める義務がある?お前だって望んだクセに。」



「…そういう時もあった…でもまさか本当になるなんて…」



「体はデカくても頭はガキだしな…障害者はつらいねぇ…あのニセナツキにも言っとくんだな、俺の邪魔するな!って。このままだとお前のママの命はないぞ。」



「ママは関係ない!」



「何言ってんだ。お前のママの前にひとりの女だぜ。ママが俺にホレたら関係ないワケないだろ?ましてや体の関係を持ったらなおさらだ。それにママはお前の事で疲れ切ってる…。だから俺みたいな男が必要なんだ…俺がママの疲れを癒してやるんだ…体でな…わたしはあなたのココロのスキマをお埋めします。オーホッホッホッ…」



バキッ。



ドサッ。



気付けばボクはナオキの顔を殴っていた。

運悪くその瞬間をママに見られた。



「セイちゃん!なんて事をするのっ!」



「…はぁ…はぁ…」



ママが青ざめた顔でナオキに駆け寄る。



「大丈夫ですか?ナオキさんっ!」



「…はぁ…はぁ…」



ニセナオキは俺の顔を見るとニヤついていた。


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