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027 モライワライ

ボクは背後にいる女の人に向かって言った。


「オマエはナツコだな?ナツキお姉ちゃんが言ってた…」



「…んふふっ」



その女の人はボクの嫌いな“鼻笑い”をした。


「…オマエがリュウちゃんをおかしくしたんだな?」


ボクは鏡越しに叫んだ。だが、その女の人は



「んふふっ」



と、また笑った。



「一体何なんだ!何で突然ボク達の前に現れたんだ!おマエは誰だっ!」



「………。」



女はゆっくりと近づいて来る。

ボクは鏡から目が離せなかった。



「私はあなたの味方よ?」


「…え?」



「あなたをいじめてる全ての者から守ってあげる。クラスメイトやリュウちゃんから…」



「…え?」



ボクはゆっくりと後ろを振り返った。

だが、そこには女の人の姿はなかった。

鏡を見るとそこにはちゃんと映っているのに。



「……ボクを守る?」



「そうよ。…だから安心して」


「嘘だっ!リュウちゃんをあんなにしたのはお前の仕業じゃないか!信じられないよ!」



「…そう。わかった」


そう言うと女の人はゆっくりと消えて行った。



「………。」



ボクは後ろを見たが、やはり見えなかった。


「…なんだよ。」




ガラララッ。


ボクが教室に戻ると、みんなの冷たい視線が突き刺さる。


「………。」



「はい、みんなセイちゃんの事は気にしないで!授業を続けるわよ!」


先生の一言でみんな視線はボクから黒板に移った。ボクは物音を立てぬよう自分の席に向かった。


自分の席の椅子にはまだウンコが乗ったままだ。

ボクが踏んだせいで、平ぺったくなっていた。

ボクはティッシュを取り出すとそれを拭く。



「偉いわね!セイちゃんは!ちゃあんと自分で後片付けするんだから…みんな拍手…!」




パチバチバチ…




先生のその一言でクラスのみんなは拍手をする。あまり、人に拍手をされた事のないボクは嬉しいんだか悲しいんだがわからない複雑な気持ちでウンコを撤去した。




「…ばぁ〜か。」



萌ちゃんが言う。

ボクは無視したまま作業を続けた。

もちろん、このウンコを椅子に置いたのは萌ちゃんだってことくらい予想はつく。

だが、ここで反抗してしまえば萌ちゃんの怒りは更に増し状況が悪化するのは目に見えてる。


だからボクは我慢する。


ふふふ…偉いな!ボクは!



「ぶぁ〜か!クソだ!クソだなー!オマエは!」



「………。」



「クソはさっさとトイレの中へ流されてしまえ!そしてバキュームカーに吸い込まれてしまえ!」



「………!」



「…くくっ…萌ちゃんあなた言い過ぎ…くくっ…よ……」


先生が笑いを堪えながら注意する。

するとクラスメイトの一人が、


「バキュウムカーって何ですかー?」


「セイちゃんみたいなウンコを掃除する車よ!掃除機みたいなもの!」


萌ちゃんが大声で説明する。


「ぎゃははははーっ…おもしろーい!」


「いひひひひ…」


「くきゃきゃきゃきゃ」


「ぶひゃひゃひゃひゃ」


みんなが笑い出す。


ツボにハマッた先生も我慢できず笑い出す。


「もうーあなた達なんてことを…あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」



「………!」


「あひゃひゃひゃひゃ」


「………は…はは」


「ぎゃーはっはっはっ」



「……はははは」



「うひゃひゃひゃひゃ」



「あはははは」



何故かボクもつられて笑った。



そして笑いながら涙が止まらなかった。



「うへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ」


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