表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/45

025 ワライゴエ

「ナツキお姉ちゃん?」


「まだ時間あるよね?中に入って…」


そう言うとナツキお姉ちゃんは奥へと歩きだした。ボクは中に入るとドアを閉めた。



バタン。



「…あの…叔母さんは?」


「昨日から泊まり込みで仕事に行ってる。ジュース飲む?そこに座って…」


「…うん…」


ボクは目の前にあったソファに座った。



「………。」



「昨日の運転手、たしかにナオキだった!」


「え!?」


お姉ちゃんはボクにジュースを差し出す。



「ありがと。」



「…あの後バスはそのまま動き出した」


「…うん。」


ボクは一口ジュースを飲む。



「どれくらい走ったかな?気付けば林の中だった。そこでバスは停まったの。」


「………。」



「すると突然、ナオキが笑い出したの。わたしは普通に「何がおかしいの?」って聞いたら「全部さ…」って。わたしは言ったわ「まだ馬鹿な事続ける気?」って。「馬鹿な事?何が?人を支配する事が?くはははは」…彼はずっと笑ってた。」



「………。」



「あ〜あ、わかってたのにね。」


「え?わかってたって?何が?」



「彼はね、ナオキじゃないわ。」


「え?でもパソコンに出てた顔だったよ!」


「うん、そう。パソコンそのモノが違う顔なの…」


「じゃあ名前が一緒で別人だったって事?」



「まあ…カモフラージュって事かな?」



「えぇぇぇ〜」


ボクは本物だと思ってたので白けてしまった。



「そろそろ時間じゃない?」


そう言われたボクは時計を見た。


「わっ!ホントだ!早いなぁ」


ボクは一気にジュースを飲んで立ち上がる。



「ごめんなさい!帰って来てからまたお話しよーね!」


ボクは急いで玄関に向かった。


「セイちゃん!」


お姉ちゃんがボクを呼び止める。


「んー?」



「…何でもない…行ってらっしゃい…」


お姉ちゃんは笑顔でそう言った。



「うん!行ってきまーす」


ボクは家を出た。バス停には既にバスが停まっていたので急いで乗る。




そして、運転席にはナオキがいた。



「セイくん…おはよー…ははは…」


ニヤけながらナオキは笑った。そして小声で


「お前の大好きなねーちゃんを犯してやったぜ。くははは…」



「…え?」


「セイちゃん!早く席に着きなさい!」


先生が怒鳴るのでボクは急いで座る。と同時にバスは動き出した。



ブゥゥゥゥ〜



「………。」





どういう事?『犯してやった』っていう意味がよくわからない。



「………?」



「…エッチな事を無理矢理やらされたって事だよ…」



背後から声が聞こえて来た。


「…リュウちゃん?」



「しっ!あまり声を出すな。後ろも振り向くな。」



「…ねぇ…もうやめようよ?こんな事して何になるの?」



「セイちゃんが苦しめばそれだけでいい。」



「どうして?意味がわらないよ。」



「僕にはセイちゃんしかトモダチはいない。」


「トモダチ?それがトモダチにする事か?」


「…トモダチだからこそ意味がある。イジメがいがね…クヒヒヒヒ。」



「………。」


「クヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」


ボクは耐え切れず耳を塞いだ。



「クヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」



学校に着くまでその笑い声は止まなかった。

そしてボクも後ろを振り向く事はなかった。

その笑い声はボク以外に聞こえていないみたいだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ