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023 ボクノハツゲン

「セイくん…あなた萌ちゃんを階段から突き落としたそうね?」


先生の最初の一言だった。

ボクはきっぱりと言った。


「違います!萌ちゃんは自分から落ちたんです!ボクは萌ちゃんに触れてません!」


「嘘よ!じゃなきゃ何であたしか落ちたワケー?」


萌ちゃんはよだれを垂らしながら反論して来た。


「そうです!萌は自分から階段を転げ落ちる子じゃありません!絶対誰かが突き落としたんです!」


萌ちゃんのママはボクを睨みながら言った。


「………。」


ボクは返事に困った。だってボクは何もしてないのに…それ以上何を説明すれはいいのだろか…と。



「ほら!何も言えなくなってる!だってホントの事だもんね?」


萌ちゃんはニタつきながらボクに言った。



「違うモン!ボクは何もしてない…!」


ボクが否定をした瞬間、ドアが開き、ママが入って来た。


「すいません!遅れちゃって…」


「…ママ?」



「私が呼んだのよ。この事はちゃんとお母さんにも言わないとね。」


先生がボクを見つめながら言う。



「でもボクは何もしてない!」



ボクは大声で怒鳴った。



「セイちゃん!静かにして…」


ママがボクを止める。



「まあ、萌も軽いケガで済んだからいいんですけど二度とこういう事が無いようにお母さんからもちゃんと言って下さい!あと先生方もくれぐれも気をつけてください!」


萌ちゃんのママは怒りを抑えながら言った。



「はい。まことに申し訳ございませんでした。」


ママと先生は頭を下げる。


「なんで!?なんでママが謝るの!?ボクは何も悪いことしてないのに…!悪いのは…リュウちゃんだよ!」


ボクは少し間を置いて続ける。



「…そうだよ…リュウちゃんだよ!これは全部リュウちゃんがやったんだ!」



「セイちゃんやめなさい!」


ママが怒鳴る。


「なんで?だって本当の事だよ?」


「いいから静かになさい!」


「でもっ…!」


ボクの発言に萌ちゃんのママが質問した。


「リュウ?あの子は確か…事故でお亡くなりになった子でしょ?何であの子が?」



「………。」



「リュウは死んだのよ?死んだ人間があたしを突き落とす!?ありえないね!ホラ!ママ!セイちゃんってこうやっていつもあたしをいじめるんだよ!?ひどいと思わない!?そしてこのザマよ!」


萌ちゃんの意味不明な言葉にボクは我慢出来ず、


「…なに言ってんだよ!キミが生きてるって言ったんじゃないか…!萌ちゃんがリュウちゃんの命令でボクをいじめてるって…ねぇ、先生…ボクって教室でいじめられてたんですか?」



「何言ってるの?そんなワケないでしょう?いじめなんて…そんな…」



「だって萌ちゃんが言ってたんだモン!」



「セイ!もうやめなさいっ!」


「…だって!」



「お宅はいったいどういう教育をなさってるんですか?死んだ子に責任をかぶせるなんて…」


「すいませんっ!ちゃんと言い聞かせますから…」


ママはまたペコリと頭を下げた。



「だからボクは何もやってないって…あの時だって…そういえば…リュウちゃんのママは?」



「リュウちゃんのママがどうかした?」



「…萌ちゃんが階段落ちる前に…リュウちゃんのママがいたんだ…萌ちゃんも見たよね?」



「なに言ってんの?誰もいないわよ。ママ…もういい。頭痛くなって来た…この話は終わりにして帰ろう…」


「…もう…萌ちゃんは優しいから…わかった。今日の所は帰りましょう…失礼します。」


そういって萌ちゃんと萌ちゃんのママは家へ帰った。



ボクは訳がわからずただ黙っていた。






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