022 ナツキオネエチャントナオキ
ボクは階段から下に降り、バス停へ向かった。
なんて意味わからない話なんだろう!
リュウちゃんのママがボクの事を『リュウ』と呼んだ。
あんなのと一緒にしないでくれ!
ボクはそう叫びたかった!
でも言えるワケがない。だってボク、そんな『キャラ』じゃないモン。バス停が見えた、既にバスの姿があったのでボクは急ぎ足でバスに向かう。
「遅れてごめんなさい!」
運転席には『オオトモナオキ』が居た。
「………。」
ボクは目を合わさない様に中に入る。
そういえばナツキお姉ちゃんがあいつの顔見る為に学校へ行くって言ってたな…。
学校にいるんだろうか?
ブゥウウーン。
バスは動きだし、学校へ向かった。
「セイくん!あなたに後で話あるから学校着いたら先生について来なさい。」
「…はい…」
ボクはバスの中を見渡す。萌ちゃんの姿は見えない。先生が何を言いたいのかわかった。きっと昨日の事だろう。
ブゥゥゥ…
バスはゆっくりと学校へ向かっている。
ホントにナツキお姉ちゃんはいるのだろうか…?
ボクは少し気になっていた。そしてバスは学校の門に入った。
「………。」
だが、ナツキお姉ちゃんの姿はない。
ボクは立ち上がり視界をグルグルしたが、やはり見えない。
「セイちゃん!まだバスは停まってません!立ち上がったらダメでしょう!?」
先生はすぐに注意をしたが、ボクの頭には入らなかった。
そしてバスは停まる。
ガタン。
ドアが開き、前の人から順番よく降りていく。
「………。」
ボクはじっとしたまま動かなかった。
「あれ?さっき立ち上がってたかと思えば今度は座って動かない気?」
先生がボクに向かって言う。
「違うモン!ちゃんと降りるモン!」
ムキになったボクは立ち上がりバスから降りようとしたら、
「ふふっ」
運転席にいた『オオトモナオキ』がボクを見て笑った。ボクは人に笑われるのが嫌いだ。特に今みたいに鼻で笑われるのが。ボクは『ナオキ』を睨みながらバスを降りると人とぶつかった。
「…すいませ…あ!」
ナツキお姉ちゃんが立っていた。
ナツキお姉ちゃんはじっと運転席を見ていた。そして口を開く。
「ひさしぶりね。ナオキくん…」
「………。」
だが『ナオキ』は反応しない。
「セイちゃん!早くこっちに来なさい!お話があります!」
先生が奥から呼んでいた。
「あなた…一体なにがしたいの?」
ナツキお姉ちゃんは続けて聞く。
「セイちゃんこっちに来なさいって言ってるでしょ!」
先生がまたボクを呼ぶ。ボクは仕方なく先生の方へ歩いて行った。バスからゆっくりと遠ざかる。
「何故…ここが?」
最後に聞こえた『ナオキ』の言葉。その瞬間、バスの扉は閉まり、バスはナツキお姉ちゃんを乗せてどこかへ消えて行った。
「…あ。」
ボクはバスをじっと見つめていた。先生がボクの手を引っ張る。
どこに行ったんだろう…?
ボクは消えていくバスをただ見つめていた。
そして指導室みたいな所に連れて行かれた。
そこには萌ちゃんと母親がいた。二人はボクをすごい目で睨んでいた。