表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/45

019 イキテイル?

休憩時間、ボクは萌ちゃんに色々聞こうとしたが、萌ちゃんの姿はなかった。


「…あれ?さっきまでいたのに…」


ボクは廊下に出たが、萌ちゃんらしき姿はない。



「そうだ!」


唯一、このクラスでそれなりに仲の良い友達がいた事を思い出した。



彼の名前は『アユム』くん。こんなボクにも普通に接してくれる男の子だ。


「アユムくんっ!教えて欲しい事があるんだ!」


休み時間にも関わらず机で勉強をしていたアユムくんがボクに気付いて返事をした。


「どうしたの?セイくん」


「リュウちゃんの事だけどっ…!」


「うん、なに?」


「問題児だったってホント?」


「…うん…セイくん本当に何も知らないの?」


「知らないよっ!だってあんまりしゃべらないし…ずっとボクの後を付いて来てただけじゃない!」


「うん、最初は。だけど最近になってから急に喋り出す様になったんだ。」


「え?ホントに?」


「突然だったよ…どうしてだろう。」


「………。」


タッタッタッ…




「…ん?」




窓の向こうにリュウちゃんの後ろ姿が見えた。


「…リュウちゃん?」




ボクは急いで後を追った。



「待って!リュウちゃん!」


走り去るボクを不思議そうに眺めるアユムくん。


タッタッタッ。



リュウちゃんは角を曲がる。



「待って!」



ボクも急いで角を曲がる。



「 あっ! 」



曲がると目の前にリュウちゃんのママが立っていた。



「あら、セイちゃん…どうしたの?」


「…はあ…はあ…ねぇ…今…リュウちゃんがいたよね?走って来たでしょ?」


「……リュウが?」


「うん!あれは絶対そうだ!おばさんも見たでしょ?」


「セイちゃん…リュウはもういなくなったの。その意味わかるでしょ?」


「わかるけどっ」



「だから落ち着いて…」


リュウちゃんのママはそう言うと優しくボクの頭を撫でた。



「………。」



ボクはリュウちゃんのママの手を見る。そして、見覚えがある事に気がついた。



「……!?」



「どうしたの?セイちゃん…」



「………。」



「…セイちゃん…?」



「…この手だ…」



「…え!?」


リュウちゃんのママは不思議そうな顔をする。



「…そうだよ!まちがいないっ!」


「何がまちがいないの?ワケわからない事言わないの!」



「この前…ボクを突き落とした手だっ!」


「…何を言ってるの?」



「だって親指の付けねにホクロがあったんだモン!…あれはおばさんだったんだね!?」



「………。」



ボクはリュウちゃんのママの顔をジッと見つめていた。リュウちゃんのママもこっちを見てる。



「…知らないフリしてればいいのに…」


リュウちゃんのママはポツリとそう言うとロボットの様にジリジリと歩み寄る。



「……なに?」


ボクが聞くとリュウちゃんのママはニタリと笑う。ボクは恐くなって後退りする。



「…あの時、死んでれば良かったのに…」



ボクは怖くなりながらも口を開いた。


「リュウちゃんみたいにボクを殺すの?」


「リュウは事故で死んだのよ。」


「じゃあ何でボクを殺すの?ボクがあの晩見たから殺すんでしょ?」


「…違うわ。リュウが寂しがってると思って…ねぇ、セイちゃんも寂しいでしょ?」


「………。」



「…だからリュウのそばに…」


「勝手なこと言うなっ!殺したのはそっちじゃないかっ!なのに…なんでボクがっ!」


ボクはかなり頭に来た。大人の勝手な都合で子供を殺したクセに、その次はボクを殺す?

…なんて馬鹿らしい話なんだ!


ボクは力いっぱいリュウちゃんのママをどついた。


「……あっ!!!!」


こう見えてもボクは17歳。

体だってもう大人に近い。

力だってある。


だから、どつかれたリュウちゃんのママは「およよ。」と、よろけながら姿が見えなくなった。



ゴロッ ゴロッ ゴロッ

ゴロッ ゴロッ



リュウちゃんのママはそのまま後ろの階段を転げ落ちたのだ。


「きゃああっ」



「……!」



「生きてるの。」


「え?」


ボクは突然の声に後ろに振り返る。萌ちゃんが背後に立っていた。


「リュウは生きてるの。」


「生きてる?」



萌ちゃんが無表情でボクを見ていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ