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014 トモダチ

「−それで君はリュウちゃんが殺しにやって来たと…?」


「…うん…」


ボクは全てをそのお姉さんに話した。

見ず知らずの人に簡単に打ち明けたのはやっぱりお姉さんの後ろにいる人がリュウちゃんと同じ様に天国に行けない人に見えるから。

そんな人が傍にいるお姉さんにはボクの気持ちをわかって貰える。

そう確信したから。


「…リュウちゃんか…」



お姉さんは何回もその名前を繰り返す。


「やっぱりボクはリュウちゃんに殺されるのかな?」



「リュウちゃんは本当に君の事を憎んでるの?」


「わかんない。でも今日だって学校にも現れたんだよ?

色んな人に乗り移ったり、階段から突き落とされたし…。」



「色んな人に乗り移る?」



「それに…お姉さんの後ろにいる女の人も見たよ…」


「………そう。」


お姉さんはしばらく黙り込んだ。

ボクの言葉に何か引っ掛かってるようだ。




「君はこのマンションの上にすんでいるの?」


「…うん!6階にママと住んでるんだ!」


「お父さんは?」


「……パパは…死んじゃった!」


「ママと二人暮らしなの?ママの事大好き?」


「うん!だってボクの為に毎日がんばって仕事してるんだよ。

がんばり過ぎて逆に心配だけどね!お姉ちゃんは…?」


「…え?」


「パパやママは?」


「…お父さんはとっくに亡くなった。お母さんはー…」



「……?」


「………。」


しばらくの沈黙の後、微妙な表情で


「お姉ちゃんが…殺しちゃった…」



「…−え?」


そう言っていた気がしたが、声が小さくてよく聞き取れない。


「ん〜ん…何でもない。ほら、上まで送ってあげる。

お姉ちゃんは4階のおばさんの家に遊びに来てるの……。」


「そうなんだ?お姉さん!ボクと友達になってくれませんか?」


「え?うん、いいよ。」


「ホントに?」


「うん。わたし…ここにしばらくいるから…」


「ありがとう!」


こうしてボクとお姉ちゃんは“友達”になった…。


エレベーターに乗り、ボクの住んでる6階を押す。


ピッ…。


「すいませ〜ん!待ってくださ〜い!」


ドアを閉めようとしたら、買い物袋を持った女の人が走って来た。


「…はぁ…はぁ…ありがとう。久しぶりね…セイちゃん!」


「…あ…はい。」


走って来たのはリュウちゃんのママだった。


ガタン。


ドアが閉まると笑顔で話し掛けて来た。


「…どう?ちゃんと学校には行ってるの?」


「…はい」


「良かった。だってリュウがいなくなってから元気なかったから…」


「おばさんは平気なの…?」


「…え!?」


「…だって…」


リュウちゃんのママは笑顔を作り、


「元気なフリでもしなきゃやってられないもの…

だからセイちゃんが元気になって嬉しいわ…」


6階に着き、ボクらは部屋へと歩き出す。



「…じゃあまたね!」


リュウちゃんのママはそう言い残してボクの隣の部屋へ入っていった。



「…今のがそのリュウって子のお母さん?」



「…うん。ねぇ!ボクの家に来てよ!ゲームでもやらない?」


ボクはお姉ちゃんを家に誘った。

だってせっかく仲良くなったし、そのまま帰るには物足りない気がして


「……うん、いいよ」


お姉ちゃんはニコリと微笑んだ。

ボクはすぐに鍵でドアを開け、お姉さんを中に入れた。




中に入るとボクは冷蔵庫からジュースを取り出したグラスに注ぎ、お姉さんに渡した。


「ありがと。お母さんはあまり家にいないの?」


「うん。でも慣れたよ。ボクも17だし…」


「わたしも小さい頃はよく一人だった。

お母さんを恨んだ事もあったわ。

でも少しずつわかって来るのよね…

お母さんもがんばってるんだって…ここが君の部屋…?」


「…うん。」


お姉さんはゆっくりと部屋を眺める。

そして、何故か窓から外を眺めていた。


「…もしかして…そこに見えるベランダって…リュウくんの家?」


「うん!」


「…じゃあ、あれが?」


「…え?」


ボクは窓から隣のベランダを見た。

そこにはリュウちゃんがこっちを見て立っていた。

何かを訴えるように…。



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