010 キョウシツ
「ボクを降ろして!」
「…降ろすさ。だから怖がる事はない…」
「怖がってないよ!ボクは知ってるよ!
運転手さんにリュウちゃんが乗り移ってるんだろ?
ボクを騙そうったってそうは行かないぞ!」
「……なるほどね。」
運転手さんはニヤリと笑うとドアを開けた。
ガチャッ。
「……!?」
「さっさと降りな。先生が来るぜ。」
「………。」
ボクは恐かったので すぐに降りた。
ダッダッダッダッ…
そして教室へ走り出す。
その途中、ボクを見つけた先生が、
「…あ・セイくん!ママから電話よ。」
…と、ボクに言った。
「はい。」
ボクは先生の後に付いて行くと受話器を渡された。
『もしもし!?
セイちゃん?無事なの?』
「うん…どうしたの?」
『今…家に幽霊に詳しい人が来てるんだけど…
もしかしたらセイちゃんに付いて行ったんじゃないかって…』
ボクはその言葉に納得する。
「……うん…そうかも。
でも最近からずっとボクの傍にいるし…ボクなら大丈夫だよ。」
冷静に受け止めてるボクにママは不安を隠せない。
『…やっぱり本物の幽霊なのかしら?
リュウくんはまだ成仏してないのね。』
「わからない。
だってボクもおかしいもの…まともな人間じゃないから。」
『…セイちゃん…そんな事言わないで…ママ悲しい。』
「なんで?」
『……とにかく!何かあったら−…………ガチャン!」
「 あ。 」
電話を切られた。
ママにではなく、萌ちゃんに…
「いつまで電話してるの?年上のクセに…!
みんな教室で待ってるんだからね!」
「年上は関係ないだろ!?もう!」
「ママがいないと何も出来ないクセに!」
そう言うと萌ちゃんは走り出した。
「あ…待ってよ!」
ボクは必死に萌ちゃんを追い掛けた。
だが、萌ちゃんは足が早くすぐに見えなくなった。
そして教室の入口が見え、ボクはドアを開けた。
ガラララ…
バフッ。
ドアを開けた途端、ボクの頭に何かが当たった。
そして白い粉の様なものがいっせいに現れた。
その粉はボクの気管を苦しめた。
「…ゴホッ ゴホッ…ゴホホッ!」
「…ふふ。」
「クスクス」
上から落ちてきたモノは黒板消しだった。
その光景を楽しんでる皆の声が聞こえる。
「…ゴホッ ゴホッうぇお!」
ボクがむせてると、萌ちゃんが近づいて来た。
「それくらい気付けよ!年上のクセに!ばぁ〜か!」
「クスス」
「きゃはは」
萌ちゃんの一言にみんな騒ぎ出す。
ボクは涙が出た。
咳が止まらなくて。
「 ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!」
「…セイちゃん!
あなたはこの先まともに生きていけるのかな…?」
萌ちゃんがニヤけながら言う。
ボクは萌ちゃんを見つめた。
−彼女にリュウちゃんがいるのだろうか?
「萌ちゃん!あなた何て事するの!?」
先生が窓から顔を出しながら言う。
「ゴホッ…先生…」
先生はゆっくりボクに近づいてくる。
「…ゴホッ!」
…グニ…グニュ…
「 ああっ!」
ボクは叫んだ。
先生は何故かボクを踏んだのだ。
「こんなゴミを教室に入れちゃマズイでしょ!」
ーそう言ったのだ。
「…先生!?」
すると萌ちゃんが笑い出す。
「きゃはは…」
先生も笑う。
「うふふ…」
そしてみんなが笑い出す。
「あはははは…」
ボクは唖然とした。
そして気付いたのだ。
この教室にいるのはみんなリュウちゃんだと。
そしてそこで目が覚めた。
「あれ?」
「セイちゃん!今は授業中よ?
寝てはいけません!」
「え?」
いつの間にか教室で寝ていた。
ボクはワケがわからず周りを見渡すと、
みんながボクを見ていた。
「………。」
一体何処からが夢で、現実なんだろう?
ボクはただボッーとしていた。