009 バス
「ふり向いたら死ぬよ…?」
「え!?」
「萌ちゃん!席について!」
先生が注意すると、
萌ちゃんはハッとしたような顔をして周りをキョロキョロした。
「……アレ!?わたし何やってたの?」
「もう何ワケわかんない事言ってるの!ほら、座って…」
「…? うん…」
萌ちゃんは自分が何やってたのか全然きづいてないようだ。
ボクは萌ちゃんの体にリュウちゃんが乗り移ったんだと考えた。
「………。」
萌ちゃんは前の座席に戻った。
だが、後ろをふり返りボクを見ると何故かニヤリと笑った。
ブウゥゥゥゥゥーッ…
バスは学校へと走り出す。
カタ カタ カタ
「…なんかみんなピンと来ないわね。」
ママは霊能者サイトを見てるがなかなかこれといったのが見つからない。
アレがリュウちゃんじゃないとしても幽霊らしモノには違いない。
そう判断してサイトを探しまくっていた。
「…う〜ん。」
♪ピンポーン♪
「…はぁ〜い。」
ガチャッ。
「………どうも。」
ママがドアを開けるとそこには男の人が立っていた。
年齢はやや若く、とても頭良さそうな顔つきだ。
一瞬、押し売りやどこかの営業かと思ったが、
どちらにも当てはまらない雰囲気だった。
「……?」
「突然ですいませんが、最近変わった事ございませんか?」
「…え!?」
「…超常現象みたいなものです。」
一瞬、何を言ってるのかわからなかったが、
少し考え、口を開いた。
「…それって…幽霊とか?」
「そうです!何か心当たりは?」
「はあ…まあ…」
さっきまでその関連サイトを見てただけに、
何ともいえない感じでママは返事をする。
その顔を見た男は胸ポケットから名刺を差し出した。
「あ・失礼。わたくしこういうものですが…」
「…超常現象研究家…ですか?」
「そうです。何となくお宅のドアから妙な気配を感じるんです…」
「うちからですか…?今も?」
「はい少し。誰か家族はいますか?」
「ええ。息子が一人。」
「もしかすると息子さんに憑いて行ってるかも知れません。」
「…うそ!?あの子は無事なんですか?」
「さあ。学校に行かれたんですか?」
「ええ。ちょっと電話で確認して来ます!」
ママは急いで学校に電話をかける。
男は家の中をジーッと眺めていた。
「着きましたよー。ゆっくり降りてね」
先生がそう言うとみんな席から立ち上がり降りる準備をし、
前の席からみんな降りていく。
バスはいつもの時間に学校へ到着した。
「………。」
萌ちゃんはずっとボクの顔を見ている。
「何でボクを見るの?」
「…きゃははは!」
萌ちゃんは突然、笑い出した。
「何がおかしいの?」
「きゃはははは…」
「………!」
ボクは黙ったままバスを降りようと席を立った。
「ダメ!あたしが先に降りるのっ!」
そう言って萌ちゃんはボクをド突き、先に降りる。
「………!!」
ムカついたけど、意味がわからない。
「セイくん!何してるの?早く降りなさい。」
気付けばボクだけバスに残ってた。
「先生ー!」
外から声がすると
先生はバスから降りた。
「…なにー?」
ボクも先生の後をついて行くように降りようとしたその時、ドアが閉まった。
バタン。
「……!」
ボクはドアを見てキョトンとする。
ゆっくり後ろを振り返ると運転手さんがこっちを見ていた。
「なんで閉めるんですか…?」
ボクがそう聞くと運転手さんは答えた。
「…なんでかな?」
ボクはいやな予感がした。