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出雲に呼ぶ人

作者: こめひこ
掲載日:2026/09/20

本小説には古事記の自分勝手な解釈を落とし込んでいます。不快に思われる方もいるかもしれませんが、歴史書解説などではなく、あくまでも、一創作物としてお読みください。

 浮世より程近く、現世より程遠い神代の世界、高天原。ここにはさまざまな官庁が存在する。これは、その中の一つ。人間誘動の庁、出雲招集の官のお話。


「神事移動...!?」


 震える手で持つ紙にかかれた文字を、震える声で読み上げる。


辞令:天保暦十月一日より、結御神(ゆいみかみ)を忌み事無礼取締り《いみごとぶれいとりしまり》の庁捕縛吟味天誅の官より、人間誘動の庁出雲呼び寄せの官に異動するよう命ずる。

                                天照大神


「ぐあぁぁ...!とうとうこの時が来てしまったのか...!」


 忌み事無礼取締りの庁捕縛吟味天誅の官は花形...!エリートの集う実力派集団...!


「やだよぉう!異動したくないよぉう!」


 床で一人駄々を捏ねていると、同僚の金姫が訪ねてきた。一応書いておくと彼女は佐渡金山の神で、弟の銀主命(しろがねぬしのみこと)と共に山を柔らかくしたり、金を作ったりしている。


「何やってんのよゆいちゃん?」


「...聞いてよきんちゃん!異動になっちゃったんだよ!?ずっと頑張ってきたのに異動だって!」


「異動...ね...。いいんじゃない?結局は実力は社会なわけだし。...前から思ってたけどゆいちゃんって努力が実らないタイプだものねぇ。」


「ひどい!友達に言うセリフ!?」


「まぁまぁ、あんたには現場仕事じゃなくてデスクワークの方が向いてるでしょってこと。」


 その後、金姫に引っ張られて異動の支度を始めた。


ーーーーー


「おお!新しく入った神様か!歓迎するよ!」


 ここは人間誘動の庁出雲呼び寄せの官のオフィス。机はたったの三つだけ。そのほかには、大量の冊子が堆く積まれ、ほとんど足の踏み場もなくなっている。


「10月1日付で配属になりました結御神です。よろしくお願いします。」


「...今日まだ9月の23だけどもういいの?」


「半ば追い出される感じで抜けてきました!」


 えぇい!もうやけだこんちくしょー!


「そ、そう...ええと、僕はタケミナカタ。」


「っていうとタケミカヅチに負けたっていう...?」


 すると、タケミナカタは困ったように笑った。


「ああ、黒歴史だからやめてくれ...!ほんっと馬鹿やったよ...自分から喧嘩売っておいて負けるなんてなぁ...」


「なんか...すみません。」


「いいよいいよ。でこっちが...」


 振られた人が背中を向けながら自己紹介してきた。


「大物主でーす。」


「あー!どこかで見たことあると思ったんですよ!」


「大国主にはいろいろと手ぇかしたからねー。はい、どうぞー。」


 大物主がお茶を出してくれた。


「いい香りですねぇ...!」


「三輪山でとれた桃の果汁を入れてるからねー。魔除けの効果もあるよー。」


「んー!美味!」


 苦さの中にほんのりとした甘み!桃がいいアクセントになってる!


「よかったよかった。」


「と、言うわけで結御神さん。これからよろしく頼むよ!」


「とりあえず頑張ります!あと、ゆいでいいですよ。」


「じゃあゆいさん。これ!」


 すると、にこにこしながらタケミナカタが冊子の山を手渡してきた。


「え!?重!!なんですかこれ!?」


「埼玉県民の名簿!これの中から一人選んでね。」


「選ぶって!?」


 きょとんとしながら大物主が聞いてきた。


「聞いてないのー?俺たちの仕事ー。」


「ええ、微塵も...」


「名前からわかんないかなー?じゃあタケくーん説明よろしくー。」


「よしきたほいきたそれじゃあ説明しよう!ここ、人間誘動の庁出雲呼び寄せの官はね、出雲大社に人を呼ぶ官庁だよ!」


「呼ぶって言っても...」


「まぁまぁ聞いて!もちろん一日に何千人を呼ぶんじゃない。一世帯だ!それで、出雲に呼ばれた人は必ず願いが叶う...そうやって信仰を保つ。そういう仕事だよ。」


「出雲には呼ばれた人しか行けないっていうのは...?」


「それは葦原中国(あしわらのなかつくに)で湾曲しちゃった言い伝えだね。本当はそんなことなくて、どんな人でも全然行けはするんだけど、願いが叶うのは一日にたった1人!」


「...100人とかでもいいと思いますけど...」


「...考えてもみなよ...一日100人...1年で36500人...!」


 たしかに...!


「1人でいいの1人で。そう言うわけだからその名簿から1人選んでね。それが出雲に呼ばれる人になる...。じゃ、頼んだよ。」


 と言っても何を基準に選べば...


「んーじゃー...この人!」


 選んだ途端に大物主が言ってきた。


「テキトーじゃダメだからねー。人によっては一国を消しちゃうかもだからー。よくプロフィール確認してねー。」


「この人は...50歳独身男性...ニート...犯罪歴あり...」


 あかん!こいつは絶対あかん!ド偏見だけど神様特有のカンがこいつは絶対あかんと言っている...!


「...よかったね...決める前で...。これから気をつけるんだよ。」


「...ふぁい...」


 気を取り直して適当にページをめくると、1人めぼしい人間を見つけた。


「高校生...鉄道好き...古い建築・文化に興味あり...」


「おー、その人間いーねー。」


「大物主さぁん!それ彼女の仕事なんだから手ぇあんま出さないでー!」


 書類に必要事項を記入して印を押す。あとは、それらをまとめて大国主に提出したら終わりなようだ。


「お、終わった?じゃあ次こっちね!」


 すごい勢いで今度も冊子の山!しかも一つ一つが分厚い!


「次は東京だよ!」


 やる気が...やる気が消えていく...!


「そ、そういえば!お二人はなんでこの官庁に...?こんなどうでもよさそうな...」


「...ちょっと勘違いしてるようだけど...この官庁はすごい重要だよ?」


「さっきタケくんも言ってたけどー、僕たちの信仰に関わるすごい大事なことだからねー。」


「なんだったら重要度で言えば10の指に入るんじゃないかな?」


「だからー大国主に信頼されてる僕たちが配属されてるってことー。」


 なんか...恥ずかしくなってしまった。


「じゃあなんで私が...?」


「...名前じゃない?ほら、歳いってる神様って名前で役割決める癖あるから...」


 この日は25人を選んで仕事は終わった。...家に帰ってから気がついたのだが、この仕事、前のよりも合っているかもしれない。


「結局きんちゃんの言う通りになっちゃったなぁ...」


 明日も頑張るか...そう考えながら眠りについた。が、その瞬間プライドというものが襲ってきて悶絶した。


ーーーーー


「おはようございまぁす...」


「うお!?ゆいさん大丈夫!?」


「...いやぁ...寝不足でして...」


 昨日の通り、今度は佐渡ヶ島の戸籍名簿を渡された。...うっすい!


「なんで佐渡島だけ単独なんですか?」


「一応神代に大爺様が直接作られた島だからね。敬意っていうか...なんていうか...」


「大事ってことですか?」


「うん、まぁそうだね。それじゃ、よろしく頼んだよ。」


 佐渡ヶ島か...きんちゃんの守備範囲だなぁ...


「タケさん!神様呼んでも大丈夫ですか!?」


「ちょっとぉ!そりゃ本末転倒ってもんでしょうよ!」


 ですよね...


「おーい。そろそろ抽選の準備も始めたほーがいーんじゃなーい?」


「抽選...?」


「あー、抽選か...忘れてた...!」


「え、いや、抽選って...?」


「ほら、神在月の会議の前の宴で抽選会やるじゃん。どの人間が呼ばれるか当てるっていう...」


「あ、いや、すんません、神在月の会議出席したことないです...同僚にいっつもシフト代われってせがまれて...」


 タケミナカタ曰く、5人の人間を選んでその人が呼ばれるかどうかで当たりが決まるシステム。5等は1人。4等は2人という感じだそうだ。当選者には素敵なプレゼントを用意しているらしい。


「そんな面白そうな企画があったとは...!1500年間損してた...!」


「去年はー、大国主が一等を当ててたねー。」


「ここ最近は天照が5等すら当たってなくて...いい気味だ...!!」


「じゃあさっさと365人選んでその準備にも取り掛かりましょう!」


「気合ヨシ!やるぞぉ!」


 案外その日のうちに全ての人間を選び、まとめることはできた。しかし、地獄はこれからだったのだ。


「さー、徹夜するとするか...」


「え?」


「ほら、抽選券刷んないといけないでしょ?」


「印刷って...自動印刷...」


「ここにあるのは活(・)版(・)印(・)刷(・)機(・)だけだよ!!」


 手作業・オブ・手作業!!


「何枚刷るんですか...?」


「そりゃあもう、だいたいわかるでしょ。神在月の会議には...」


「八百万の神々が集まる...」


「レッツ徹夜!!」


 会議が始まるのは明後日...地獄が始まった...!


ーーーーー


 今は9月30日の朝4時55分。作業開始から実に13時間が経過していた。


「ね、眠い...!仮眠とってもいいですか...!?」


「ダメだ!寝たら死ぬぞ!!」


 秒間刷れる枚数は一枚...1時間で3600枚...!間に合わない...800万枚なんてとても...!


「ゆいさん!そんなん遅すぎる!せっかく4本手足があるんだから一度に4台操作しろ!!」


「そんなんできるか!!」


「いや、俺も大物主さんもすでにやっている!」


 すごい!まさに神業だ!!


「今ーちょっと阿修羅くん呼んだからーそろそろ応援が来ると思うー」


「おお!ありがたい!」


 すぐに阿修羅は飛んできた。


「はーい、阿修羅でーす。薬師さんから十二神将もかりてきたよ。」


「じゃあ早速頼むよーこれーどんどん印刷してー。」


「了解了解」


 さすが阿修羅!速い!一度に6機の印刷機を使っている!十二神将の物量作戦もすごい!


「これなら800万枚、終わりそう...!」


 そして、宴開始5時間前になった時、ついに800万枚が刷り終わった!


「寝ていいですか!?」


 しかし、すでにタケミナカタは寝ていた...。十二神将も阿修羅も帰ったようだ。なので、とりあえず寝た!


ーーーーー


「起きろ!もうすぐ宴だぞ!」


 睡眠開始から4時間、すでに日は暮れ始めていた。


「うーん...もう少し寝させて...」


「バカ言ってんじゃないよ!今年はあんさんも出席するんだから...!」


 水をかけられ、着替えさせられて、出雲大社へ出発した。


「そういえば、出雲大社にこれから31日間滞在するわけですけど、どこで寝泊まりするんですか?」


「...知らない方がいいと思うよ...?」


 到着!そして、今回のお宿を見て驚愕した。


「これ...三十三間堂より狭いんじゃ...!?」


 本殿の東方、細長い建物がある。これがお宿...らしいのだが...


「ああ、八百万の神様がここで寝泊まりするんだよ...」


 地獄だ...!!


「まったく...人間って分かってないよね。もっと大きいもの作ってもらわないと...」


「毎年ぎゅーぎゅーづめになるから僕達は大国主の屋敷に泊めさせてもらってるよー。」


「あれ...?大国主さんの屋敷ってことは本殿ですよね...こっちも結構狭いんじゃ...?」


「ああ、違う違う。これね、ただの建物だから。本当の本殿は...あれ!」


 指差した方を見上げると...


「う、うおお!?なんじゃありゃぁぁ!?」


「出雲大社真本殿、大国主屋敷だ。」


 皇居くらいの面積の建造物が宙に浮いていた!しかも2層構造!!よくみると鎖で地面と繋がれている。


「昔は巨大な柱だったんだけど、いかんせん木だと腐るからね、もう浮かせちゃったんだ。」


「っはー!確かにあれなら800万の神様を収容できますね!!」


「あと、下にもう一つ建物が浮いてるだろ?」


「ああ、あれですか?」


「あれが本当のお宿だ。地面にあるのは縮小模型だよ。」


「じ、じゃあ、さっきのぎゅーぎゅーって話は...?」


「あれは冗談だよ!」


 とりあえず宴開始まであと15分!大鳥居のある丘から急な階段を登り、本殿に到着した。


「おお、やってるやってる。」


 すでに宴ムード!沢山の神々が座り込んで飲酒解禁を今か今かと待っている!


『それじゃあ、日も沈んだから神在月の宴を始めようと思う!』


 大国主が挨拶を始めた。


『ここにいる全員、一年間よく疲れたと思う。今日限りだが、正式に飲酒解禁だ!たっぷり飲んで会議へのモチベーションとしてくれ。それじゃ、乾杯!!』


「宴開始じゃあぁぁあぁぁぁ!!!」


「酒ぇぇぇ!!」


 神様は酒が大好き。一応、この宴以外での飲酒は認められていない。が、普段飲むのも黙認されている。


「やっぱ後ろめたくない酒はいいなぁ!」


「ん!んみゃい!」


「じゃーとりあえず大国主たちのところ行こうかー。」


 座り込む神をかき分けて、中心へ向かう。中心では大国主や天照大御神、スサノオにツクヨミが酒を呑んでいた。


「こんばんは!おじいちゃんにおばさんとおじさんとお父さん!」


「おいタケミナカタ!なんで私が最後になっとるんだ!」


「ウルセェ!オメェの指揮が甘くて戦争に負けたんだろが!」


「何を言うか!私が圧かけまくったからこんな立派な屋敷が手に入ったんだろうが!!」


 大国主とタケミナカタって仲良いんだなぁ。高天原と出雲国とで戦争になった際、出雲が負けてしまったそうなのだけど、大国主が怨霊となって子々孫々神々を苦しめてくれる!!って言ったのがタケミカヅチに相当効いたらしい、鎮魂のためにと出雲大社をつくり祀らせたそうだ。


「まあまあ、親子喧嘩もそこまでにして酒飲んだらどうだ!ほれ!こいつはオロチ倒した時に使った酒だぞ!」


「お義父さん!これはただの兄弟喧嘩じゃないんですよ!」


「なんだと!?娘と駆け落ちした野郎が何を言うか!!」


「おじいちゃん!お父さんに怒っても無駄だよ!」


 うーん、見れば見るほど面白い。


「そういえばお姉ちゃん、なんで私を出雲呼び寄せの官に異動させたの?」


 アマテラスは胸を張って答えた。


「あなたにはその方がいいと思ったのよ。反応からして当たりだったみたいね。」


「うーん、いろいろ大変だけどね。」


「笑ってるだけ、前の職とは大違いじゃない!」


「そういえば娘達はどうしとるんだ。」


「スセリ達は今女子会を開いてるようですよ。大国主妻の会なんて言い出して。」


「てめぇはほんとに女にモテる...いいか!娘を側室に落としたりしたら許さないからな!」


「えーえー結構です!そんなことは誓ってありませんからね!」


「それじゃーそろそろ始めよーかー。」


 大物主が腰を上げた。


「おお!もうあれか!」


 スイッチを押すと、空中からスクリーンが出てくる。


『皆さーん!毎年恒例、出雲くじの時間ですよー!』


 ワァァァァァアァァァァァァ!!


『もうすでに投票用紙は配られていることと思います!今から筆を一本ずつお配りしますので、投票用紙に時間内に記入してください!時間になったらペンは消えてしまうので注意してくださいね!!』


 タケミナカタさん、楽しそうだなぁ。


『はいじゃぁ締切でぇす!これから発表していきますよぉ!それでは発表するのはこの方!』


 スポットライトがいきなり私を照らした。


『3日前に異動してきた新人!結御神ちゃぁぁん!』


 ワァアァァァァァァァァァァァァ!!


「え!?私!?いきなりなんてとても...」


「いいからいいから!ノリでなんとかなるって!」


 ノリって...ノリって!!ええいもうやけだ!!


『それじゃぁ発表します!1人目は...』


 大物主が箱を差し出してきた。どうやら365人発表するのではなく、その中から無作為に選ばれた5人を発表するみたい。


『えー、1人目は...茨城県在住、芦田哲夫43歳!!』


「い、いたぁぁあぁ!!!」


「いた!いた!」


「やばぁぁい!」


 ちらほらと、いた、という声が聞こえる。今度はタケミナカタがマイクを取った。


『最初なのに結構当たった人がいたみたいですねぇ。その方達はランクアップもあるのでご期待を!そのほかの方達もまだまだチャンスはありますから!』


『それじゃあ2人目!2人目は...沖縄県在住、金城誠12歳!!』


「キタァァァァァァァ!!」


「いよっしゃ2人目ぇぇ!」


『どんどんいきますよ!3人目は...東京都在住、浅野雄平16歳!!』


「年齢低くねぇか?」


「3人目ぇ!!きてるぞ!キテルゾ!!!」


「こい!こい!」


『4人目は大阪府在住、吉井瑞穂65歳!!』


「あと1人!あと1人ぃぃぃ!!」


「やっと1人キタァァァ!!」


「次こそ...次こそ...!」


『さあ最後5人目ぇ!!一等は現れるんでしょうか!!さぁ、最後の1人、5人目は...京都府在住、西園寺アリス24歳!!』


「ビンゴォォォォォ!!」


 会場がどよめいた!まさかの一等!!走ってきて項垂れる天照を踏んづけたのは...


「きんちゃん!?おめでとう!!」


「やったね!一等賞!!」


「じゃあ、はいこれ一等の景品!葦原中国6日間旅行券!」


 説明しよう!!これは葦原中国で6日間分、好き放題できる特別な券なのだ!とにかくなんでもできる!ちな、2人同時に使って3日間というのもアリ!


「やったぁ!それじゃ、ゆいちゃんも一緒に行く?」


「いいの!?」


「2人の方が楽しいでしょ!」


「やぁったね!得しちゃった!」


 とりあえず一旦きんちゃんと別れて、ほかの人達に景品を渡していく。最後の1人が終わった時に、2人の男が大国主に訪ねてきた。


「大国主様、今年はどうでしたか?」


「おお、出雲と令和!今年も大変だったなぁ!コロナなんて変な病気も流行ったし...」


「ええ、ええ、確かに大変でした。」


「あの、この方々は?」


「ん、ああ、こいつらは...」


「ああ!自分で言いますので大丈夫です。私は出雲です。出雲大社の管理を行なっております。」


「っへー、管理も神様だったんですねぇ。」


「はい。私自身がやるわけではないのですが、神官達にいろいろと命令しています。そしてこちらが...」


「令和と申します。令和天皇の幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)です。」


「ああ、天皇も確かに神様でしたね。」


「昭和殿までは本人が直接参加していたのですが、平成からはただの人にされましてね、以来幸魂奇魂がかわりに参加するようになったんです。」


「葦原中国も大変なんですね。」


「おい出雲テメェ!!まぁた熊野にいちゃもんつけられやがったなぁ!?」


「大国主さぁん!そこは毎年のことでしょうよ!こっちだって毎回工夫して餅作ってんです!」


 その後は酒を飲んだ。飲んだ。飲んだ。そして、沈没した。夢の中で、なぜか意識ははっきりとしていた。まあ、あれだけ頑張ったんだ。異常が起きてもなんらおかしくはなかろう。


「3日間駆け抜けたなぁ...」


 来年もあるのか...なんだか口元が緩んでいく感じがした。うん、この仕事、大変だけど、大好きだ。多分今までの生活で一番楽しかった3日間だ。今後の神生(じんせい)に期待しながら、深い眠りへと落ちていった。

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