グループプロジェクト大混乱
午後の授業が始まる。とうもはまだ昼休みの余韻に浸りながらも、藤本先生の声で現実に引き戻される。今日はグループプロジェクト――新しい出会いと、思わぬトラブルが待ち受ける午後だ。
午後の授業、教室にはまだ昼休みの余韻が残っていた。藤本先生が黒板の前で立ち上がる。
「みんな、今日はグループプロジェクトをします。テーマは“学校生活と文化”です。」
教室は一瞬ざわめき、グループ分けが始まった。僕、とうもは、心臓が少し早くなるのを感じる。日本のグループ活動は初めてだし、どう振る舞えばいいか全くわからない。
「とうも君は…このグループね。藤原健人君と一緒にやってください。」
目の前の男子、藤原健人は落ち着いた雰囲気で、軽く笑った。
「よろしくな、とうも。初めての日本のグループ活動でも、まあ…なんとかなるさ。」
僕は少し緊張しつつも、彼の余裕ある態度にほっとする。ハルカは遠くからちらっと見て、目を細める。まだ僕が結衣に気を取られているのを気づいているようだった。
藤原健人は席に座ると、ノートと資料を広げる。
「まず、何から始めるかだな…とうも、お前は何ができる?」
「え、あ、僕は…うーん、何でも…頑張ります…」
彼は軽く笑って、ちょっと茶化す。
「その“何でも”精神が危なっかしいんだよな。でも面白そうだ。」
僕はドキッとして笑う。なんだ、この余裕。日本語もまだ完璧じゃないのに、どうしてこんなに落ち着いてるんだろう。
ハルカは相変わらず遠くから見守っているが、僕が少しでも結衣を見た瞬間、口元に小さなふくれた表情を作る。僕は気づかない。
プロジェクトを始めると、僕はさっそくトラブルを起こす。日本語の指示を勘違いし、ポスターに「学校の怪獣祭」と書きかけるところだった。
「…とうも、それ違う、文化の“祭”ね!」
藤原健人は笑いながら修正してくれるが、
「でも、怪獣祭って面白そうだから…そのままでもいいかもな!」と余計な提案をする。
僕はさらに混乱する。ハルカは小さく肩をすくめ、口を尖らせてふくれる。結衣は遠くで静かに作業している。やっぱり彼女は落ち着いている。
藤本先生は後ろから教室を見回し、両手を腰に当ててため息。
「とうも君…それはちょっと…でもまあ、楽しそうだからいいかしら…」
先生の少し困った顔に、クラス全体が笑いをこらえきれず、僕も赤面しながら笑った。
作業の途中、僕はふと結衣が別のグループに助言している姿を目にする。髪の揺れ、静かな笑顔、ちょっとした仕草――目が離せない。
「……あ、あれ、なんで心臓がこんなに…」
とうも、完全にゾーン状態に入る。
「とうも、大丈夫か?」と藤原健人が笑いながら肩を叩く。
「は、はい…大丈夫です…」
慌てて頭を振るが、結衣の姿はまだ視界に残る。
遠くから、ハルカが小さく唇を尖らせて腕を組んで立っている。嫉妬しているのかどうか、僕にはわからない。でも彼女の表情は少しだけ不機嫌そうだった。
最終的に、僕と藤原健人はなんとかポスターを完成させる。失敗だらけだったけど、完成した瞬間の達成感は大きかった。
「よし、とうも!なかなかいい出来だな!」
彼は拍手しながら笑う。僕も自然と笑顔になる。
藤本先生は後ろから優しく声をかける。
「とうも君、健人君、頑張ったわね。少し混乱はあったけど、努力は伝わったわ。」
ハルカは少し離れて、口元に薄く笑みを浮かべながら、そっと目を細める。気づかれないように小さく肩をすくめるその姿が、僕にはまだ見えない。
プロジェクトの後、僕と藤原健人は笑いながら片付けをする。僕のミスをお互いにからかい合い、少しずつ打ち解けていく。
「とうも、君ってやっぱり面白いな。最初はどうなるかと思ったけど、今日でだいぶ慣れたんじゃない?」
「はは…まあ、健人君がいなかったら、完全に迷子になってたかも…」
ハルカは後ろで静かに見つめて、口を尖らせる。僕が健人に夢中になっていることを意識しているのだろう。僕は全く気づかない。
Kentoと片付けを終え、僕は散らばった紙を拾いながら笑う。
「やっぱり日本の学校生活、なかなか面白いな…」
ふと、視線の端でハルカが小さくふくれた顔をしているのに気づく。思わず立ち上がって手を差し出すと、彼女はわずかに目を見開き、そしてふくれたままぷいっとそっぽを向く。
僕は再び散らかったノートを見て、結衣の後ろ姿を思い出し、頭の中でリピートする。
今日の午後も、笑いと小さな嫉妬、そして新しい友情に溢れていた――まだまだこれから、僕の高校生活は混乱と楽しさでいっぱいになりそうだ。
わー、書いててめっちゃ楽しかったです!みんなと同じくらいワクワクしながら書いてました。次の章もすぐに書きたくなっちゃう!




