7話:記憶の話
25/05/23
・意図しない文章の重複、誤字を修正しました。
暦に急かされるようにして、俺たちは駅から徒歩10分ほどの場所にあるネットカフェへと向かう。
重たく曇ったガラス扉を押し開けた瞬間、少し酸味の混じった埃っぽい空気が顔を撫でた。
2005年、つまり平成17年当時のネットカフェという場所は、令和のそれとはまるで趣が違っていた。
個室はほとんどなく、並んだブースの間には薄い仕切りがあるだけ。オープンスペースでキーボードを叩く音が静かに響いている。 俺は一応、大学を出てから公務員として働いていたが、高校時代の街の状況などは正直、記憶の彼方だ。
今になってようやく気づいたことがある。この頃から、街は静かに衰退の道をたどっていたのだろうと。
だが、どの程度深刻なのかまでは知らない。
俺は暦に手を貸すと決めた以上、何とかして少しでも力になりたいと思っていた。
「すみません、パソコン1台使いたいんですが、2人で入れますか?」
俺はカウンターの奥にいた、やる気のなさそうな店員に尋ねる。彼は面倒くさそうにまぶたを持ち上げ、「漫画喫茶の料金にPC利用料を加算すればいい」との返答。
俺は最低時間の1時間分を事前に精算し、指定された席へと向かった。
当てがわれたパソコンは、当時としては最新モデル──らしい。
だが、俺の目からすれば、あまりにも野暮ったく、旧時代的に見えた。
「……まあ、役所にあったパソコンも、こんなもんだったな」
ぼそっと呟きながら、椅子に腰を落ち着ける。
パソコンの電源は既に入っており、立ち上がりの遅さにイライラさせられることもない。
それだけでありがたいと思えるのは、ある意味でこの時代の”遅さ”に自分が適応していた証拠かもしれない。
「これが、インターネットですか……」
暦が小さく、感嘆にも似た声を漏らす。
青白い画面の光がその瞳に反射し、どこか神聖なものでも見ているような顔をしていた。
「いや、これはパソコンな。で、こいつを使って、インターネットってやつを使うわけだ」
「ほうほうっ!じゃあ、湊さんのお言葉通りなら……いろんな人がこのテレビの中で交流してるんですね!」
「まあ……そういうことになるな」
とはいえ、この時代に一般化されたSNSはまだ招待制。誰もが自由に使えるようになるのは、あと5年くらい先の話だ。
俺は試しに、“神影市”で検索をかけてみた。
もっさりとした動作の末、まだ発展途上な検索一覧が並ぶ。
「へえ……明治22年、西暦1889年にできたのか、この街は」
ちらっと隣の暦を見る。
つまり、彼女は──今、116歳。
「……何ですか?」
俺の鼻を鳴らす音に、暦が訝しげな視線を送ってくる。
「い、いやっ……何でもないぞ?」
慌てて検索結果に視線を戻し、近年の神影市の情報を漁り始める。
衰退の兆しが表面化したのは、やはり10年前の大きな災害がきっかけだったらしい。
それまでこの街を支えていた企業が隣県へと拠点を移し、さらに長引く不況により若者が流出。
過疎と空洞化が進行し、神影市は静かに崩れていった。
情報を追っていくうちに、じわりと無力感が胸を満たす。
俺ひとりの手でどうこうできる話じゃない。
目の前の現実が、まるで海のように広く深く、俺を飲み込もうとしている気がした。
やがて時間がきて、俺たちはネットカフェを後にした。
特に収穫があったわけではない。
扉をくぐると、すっかり日は落ちていた。
薄闇の中、街の灯がぼんやりと光り、その中に立つ暦の横顔はどこか儚げだった。
「湊さん……お力になれず、ごめんなさい」
沈んだ声。
点滅する信号機のダイオードが、彼女の金の髪を照らし、その影をより濃くする。
「気にすんな。街を救うってのは、そんな簡単なもんじゃないし、俺もどうすればいいかなんて、正直分かっちゃいない」
自分の無力さに苛まれる。せめて何か出来ることをないのだろうかーーと。
「ただ、どうするかだよなぁ……このあと3年後には、リーマンショックがあるわけだし」
雑に頭をかきながら、思わず愚痴が漏れる。
「わ、わたしは湊さんなら……何かを変えられると信じてます」
暦はまっすぐ俺を見つめて言った。
その声には不思議な重みと、揺るぎない信頼があった。
「その少し歩きませんか?ついて来て欲しい場所があります」
俺は静かにうなずき、彼女の隣に並んで歩き出す。
しばらく歩くうち、彼女がふと口を開いた。
「湊さんは、自分には何もできないと思っているかもしれません」
「……そうだな」
「でも、わたしは決してそう思いません」
「……どうしてだ?」
「そうですね……湊さんは、“未来”を知っているからです。今を生きる人にはない知識を、あなたは持っている。それって、すごく大きな力だと思うんです」
確かに、俺は未来を知っている。
だがそれは限定的なものに過ぎない。
全てを知っているわけでもなければ、未来を思い通りに操れるわけでもない。
例えば、この先スマートフォンが台頭してガラケーが廃れることは知っている。
けれど、それを知っていたところで、俺がスティーブ・ジョブズになれるわけじゃない。
やがて駅構内を抜け、大通りにかかる歩道橋へと差し掛かる。すぐ横を走る急電の赤黒い車両と、並走する旧国鉄の列車。
暦は一度足を止め、壁のようにそびえる鋼鉄の高架橋に目をやった。そこには、無数の穿孔が残されていた。
かつて太平洋戦争末期、米軍の戦闘機によって行われた機銃掃射による弾痕だ。戦争があった事など感じさせないほどに再生した街に残る過去の記憶。
暦は街についた銃創を細い指先で僅かに触れるとこちらを向いた。
日はとうに沈んでいる。彼女がどんな表情を浮かべているかは分からなかった。
「少しだけ、昔話をします」
暦の声が、ゆっくりとした調子で夜の空気に溶けた。
「かつて、この神影の街は、文字通り“地獄”になりました。燃え上がる家屋、焼けただれた地面、目の前で倒れる人々。あの時の光景は、今もはっきりと思い出せます。皮膚の焦げる臭い、焦土に積み上がる遺体、母親の亡骸にすがって泣く幼子……助けられない叫びと、無力な自分に押し潰されそうでした」
彼女は一度目を伏せ、言葉を選ぶように続けた。
その一語一語が、真綿のように胸を締めつけてくる。
「血と油が入り混じった泥濘を、ブーツで踏みしめた時の感触も忘れられません。袴の裾を、掴まれたんです。『助けてくれ』と、声にならない声でーー」
言葉のひとつひとつが、俺の胸に鈍く響いた。
ただ話を聞いているだけのはずなのに、彼女の記憶の中にある痛みが俺の心を貫いているように感じた。
暦はまた歩き出す。俺はただ、その背中を見つめながら、言葉を飲み込む。
「わたしは色褪せた街で1人の青年と出会いました。彼は臆病で、逃げ腰で、泣き虫で、誰よりも自分を責める人でした」
「……散々な言いようだな」
「わたし、嘘は言わないので」
少しだけ笑うような調子で言う彼女。
冗談と嘘の線引きはしっかりあるということだろう。
「彼はずっと苦しんでいました。なぜ、自分だけが生き残ったのか──それを何度も何度も問い続けていました」
やがて彼女の言葉が、静かに締めくくられる。
「でも彼は立ち上がりました。誰もが諦めた焼け野原に、もう一度“希望”を築こうと。それは最初、小さな、小さな一歩でした。でも、誰かが見ていたんです。応えた人がいた。彼は支えられながらも、街の再生のために人生を捧げました。名も残らなかったけど、わたしは彼の飛燕が飛ばず、彼をこの地に残したことに感謝しています」
飛燕ーー。
確か旧日本軍陸軍の戦闘機の名前。あまりメジャーな機体ではないが、戦時中はこの辺りに配備されていたはずだ。
俺は黙って進み続ける彼女の背を追った。
*
4月の夜風はまだ冬の名残をとどめていて、肌を撫でるたびにひんやりとした感触を残していく。その冷たさはまるで、春に成りきれない季節の未練のようでもあった。ふと気づくと、俺たちは市役所前のバス停に立っていた。そこはかつて、俺が毎朝、無表情のまま通っていた職場のすぐそばだった。
少し前まで俺が生きていた時代。疲弊し、惰性で日々を過ごしていたあの頃の自分が、ふいに記憶の奥から顔を覗かせる。そこに立っているだけで、胸の奥に小さな鈍痛が広がった。
その時を待っていたかのように、目の前に市バスが滑り込んできた。重たげなブレーキ音とともに停まり、車体に取り付けられた外マイクから、運転手の詫びるような声がかすかに漏れる。「遅れて申し訳ありません」と、まるで誰に聞かせるでもなく、それでも律儀に。俺たちは暦に促されるまま、無言でステップを踏み、バスの中へと足を踏み入れた。
後部の2人がけの座席に並んで腰を下ろす。驚くことに車内には他に乗客はいなかった。夕方のラッシュ時というのに、がらんどうのバスは妙に静まり返っていて、まるでどこか異世界に迷い込んだような感覚に襲われる。
発車したバスは、機械的な振動を足元に伝えながら淡々と道を進む。吊り革が重力に引かれ、車内のわずかな揺れに合わせて、規則正しくゆらゆらと軌跡を描いていた。目に映る景色は知っているはずの道のはずなのに、どこかよそよそしく、記憶から乖離していた。
停留所が近づいても、そこに人影は見当たらない。バスは止まることなく次々と通過していく。耳に届く運転士のアナウンスはくぐもり、音質の悪いスピーカー越しに語られるそれは耳には上手く届かない。
沈黙が長く続いた。静けさが耳に染みて、やがてそれが重たく感じられた頃、俺は口を開いた。
「……どうして、急にあんな話をしたんだ?」
俺の問いに、暦は車窓の外に目を向けたまま、わずかに息を吸ってから応える。
「彼と湊さんって、どこか似ている気がするんです」
「……弱虫ってことか?」
冗談めかしてそう言うと、彼女はようやく視線をこちらに戻し、穏やかな笑みを浮かべた。
「違いますよ。真面目なところが、です」
それだけ言って、また窓の外へ視線を戻した。彼女の返答は抽象的だったが、不思議と納得できた。
「……その青年ってのは、暦の恋人だったりとか?」
ふと、そんなことが気になって軽く問いかけると、彼女は一瞬だけ目を瞬かせた。そして次の瞬間、口元を緩めていたずらっぽく笑うと、俺の顔を覗き込むようにして言った。
「ふふっ!? 湊さん、面白いこと言いますねぇ〜? なんですかぁ? もしかして妬いてます〜??」
茶化すような口ぶりに、俺は顔をしかめる。
「はぁ!?んなわけねぇだろ! 暦がさっきまで、なんだか辛気臭い顔してたからだよ!」
「えぇ〜? どうなんでしょうねぇ〜?」
彼女はわざとらしく肩をすくめながら、太ももの上に手を揃えて置き、控えめな胸をちょこんと張って見せた。
「ご安心ください。彼には、ちゃんと愛する妻も子供もできましたので♪」
「そ、そうか……」
からかわれたことに少しだけ不貞腐れ、俺は肘掛けに肘を乗せると、その手のひらに顎を預け、顔をそらす。
恐らく恋愛感情とは別だが、その青年には特別な思い入れがあるのだろう。
すると、いつの間にかバスは終点へ差し掛かるとのことだ。バスが完全に停車すると、俺たちは立ち上がり、バスを降りた。
この終点は、未来で俺が住んでいた地域のすぐ近く。そして何より、暦と再会を果たしたあの場所にもほど近い。彼女が言っていた“ついてきて欲しい場所”とはここなのだろうか。
中心街から離れたということもあり、街中よりも星がよく見えた。光害に抵抗するそれの瞬きは夜空に散りばめられたアラザンのようにも見えた。
数多の季節を潜り抜け、自動車に何度も蹂躙されてきた劣化が激しいアスファルトでコーティングされた坂道を登りながら、暦はそう口にした。
「湊さんもことを焦る必要はないのではないでしょうか?」
数多の季節を潜り抜け、自動車に何度も蹂躙されてきた劣化が激しいアスファルトでコーティングされた坂道を登りながら、暦はそう口にした。
その言葉は、夜の冷気よりもずっと静かに、しかし芯を持って俺の胸に入り込んできた。
「小さな一歩でも、それは必ず未来を変える一手になると、わたしは歴史を見て、知っています」
彼女の言葉には、理屈ではない確かな説得力があった。語った戦中の大空襲の話。そして戦後の復興。それを彼女は、文字通りその目で見て、体で感じてきたのだ。瓦礫の中から這い上がり、希望を信じて進んできた一人の人間の姿をーー。
その言葉には、ひとりの少女としての思いだけでなく、この街、神影市そのものが持つ、歴史と魂が宿っているように感じられた。
俺は、暦の言葉に心を動かされつつも、内心では拭いきれない不安を抱えていた。
そんな悠長なことを言っていて、本当に間に合うのか?
自問自答するように、胸の内でそう呟く。暦の消滅には、確かに20年という猶予がある。だが、俺はそれを「まだ大丈夫」と安心して良い時間だとは思えなかった。未来というものはいつも、ある一点を境に巻き返しが効かなくなる。その“限界のライン”が、実際にはもっと手前に設定されているのではないかという焦燥が心の底で小さく警鐘を鳴らしていた。
それでも、かつて暦は「まだ間に合う時」だと確かに言った。その言葉を俺は何度も頭の中で反芻していた。ならば、いつから間に合わなくなるのだろうかーー。
暦が俺をこの状況を打開するカウンターステアとして信じている理由。それは記憶か何かにある青年と俺が似ているからだと、語っていた。だが、それが本当なのか、俺にはどうにも疑わしかった。第二次世界大戦という極限の時代を生き抜いた人間と、一介の地方公務員として日々をなんとなく過ごしてきた俺とでは、背負ってきたものも、考えてきたことも、覚悟の重さすら違うはずだ。
頭の中に、答えの出ない疑念のステンチがゆっくりと立ち昇る。モヤモヤとしたその感情は、まるで汚れた沼の底から這い上がるように、思考を濁らせ、視界を霞ませていった。
仮に俺が何もできなかったとしたら? もし間違えた選択をしてしまったら? その未来には、20年後に“消滅”というするという彼女の結末が待っている。
考えたくもない未来だった。けれど、現実にその可能性が存在する以上、考えずにはいられなかった。
それに俺は、彼女と“秘密”を共有する関係になってしまった。誰にも話せないこと。誰も知り得ない出来事。それを二人だけのものとして、共に抱えて生きることになった。
都市の擬人化と一人の人間。けれどその距離感は、ただの偶然の出会いにしては、あまりにも濃密で、あまりにも奇妙だった。
会ってからの時間は、決して長くはない。だがそれでも、こいつがいなくなってしまったら、俺の日常はひどく味気なく、空虚なものになってしまうのではないか。そんな感情が、ふと胸の奥に浮かぶ。
まったく、けったいな感情だ。
俺は暦の期待に、どうしようもなく応えたいと思っていた。
「ここです」
思索の迷路に入り込んでいた俺の意識を、暦の静かな声が現実へと引き戻した。
顔を上げると、彼女は小さな門の前に立ち、その先を見上げていた。そこに建っていたのは、時代を感じさせる洋館だった。
洋館と聞いて思い浮かぶのは、煉瓦造りの威圧的な建物かもしれない。だが、目の前にあるのはもっと素朴で、控えめな木造二階建ての西洋風建築だった。大きさもそれほどではない。むしろ今どきの普通の住宅のほうがよほど広く立派に見える。
建物自体も年季が入り、かなり傷んでいた。かつて白で塗られていた外壁は今やすっかり色褪せ、緑青が浮いた屋根には苔が生えている。場所によっては屋根材が腐り、ひさしが歪んでいた。中心街の保存地区にあるような丁寧に手入れされた洋館とは違い、ここには誰の手も入っていない。そんな印象を受けた。
「こんなところに、こんな建物があったなんて……全然知らなかった」
住宅地から少し外れた細道の奥にぽつんと存在しているせいか、この洋館だけが時間から取り残された別世界の建物のようにも感じられた。
「ですよね。正直、この建物について知っているのは、この周辺に住んでいる人くらいですよ」
暦はそう言うと、手慣れた様子で門を開け、小さな庭へと足を踏み入れていった。その後ろ姿を見て、俺は慌てて声をかけた。
「お、おい! 勝手に入って平気なのかよ!?」
振り返った暦は、少しばかり楽しそうに笑いながら、いたずらっぽく言った。
「さもありなんです」
そう言って、手招きをして俺を誘う。心配と好奇心が綯い交ぜになったような感情が胸をよぎる。俺は小さくため息をついてから、意を決して門をくぐった。 暦はすでに玄関扉の前に立っていた。次の瞬間、彼女は扉に手をかけ、ゆっくりとそれを開ける。そして、何のためらいもなく、そのまま屋内へと姿を消した。
「……う、嘘だろ?」
開け放たれた玄関扉が、風もないのにギギィ……と音を立てて揺れている。蝶番が緩みバカになっているのかもしれない。中の様子はまったく見えない。不気味な静けさが辺りに漂い始める。
「待てって、暦!? 何もこんな呪われた家みたいな廃屋に入る必要ないだろっ!?」
別に幽霊が怖いわけじゃない。いや、むしろこの世界に暦のような存在が実在しているのなら、幽霊だって実在しておかしくない。それでも彼女なら、幽霊の一人や二人くらい、軽く成仏させてしまいそうではあるが……。
けれど、俺が心配しているのはそういうことじゃない。老朽化した建物は崩れる危険がある。誰にも管理されていない場所に入ることの、物理的なリスクの方が問題だった。
「くそっ……!? 待てよ、暦!!」
心配が勝り、俺はついに意を決して、廃屋の中へと足を踏み入れた。
「うっ……!?」
扉を越えた瞬間、頭の奥がぐらりと揺れた。まるで重力が一瞬ねじれたかのような感覚。思わずバランスを崩し、近くの壁に手をついて身体を支える。
その時、聞き覚えのある声が耳に届いた。
「……全く、失礼な人ですね」
暦の呆れたような声だった。俺は閉じていた目をゆっくりと開け、恐る恐る目の前を見据える。
「……こりゃ、どういうことだ」
そこには、外観からは到底想像もつかない光景が広がっていた。
埃ひとつない床。丁寧に手入れされた家具。柔らかな光がステンドグラスから差し込み、空気を温かく彩っている。外見は今にも崩れそうな廃屋だったというのに、中はまるで時間が止まったように美しく保たれていた。
俺が呆然と立ち尽くしていると、暦はくるりとこちらを向いて、にっこりと笑った。
「ようこそ、わたしのお家へ」
その言葉は、俺の混乱をさらに深める一言となった。