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魔法少女物語ー2099  作者: 月
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2099

さて、この作品は魔法少女物でありながら推理をするものとなっております。不可能犯罪を盛り込みました。どうぞお召し上がりください。

魔法少女物語ー2099     月


人は何の為に生きるのか。それがわからない。

この世には魔法少女がいる。彼女たちは生きている価値があると思う、

だが、僕はどうだ、ただの一般人。

特別な才能があるわけでもない。

何かを成しえたことがない。

何物でもない。

なにもない。


大学の講義が終わり、人を待っている。それにしても最近寒くなったな。

ポケットからスマホをとりだし、魔法少女について調べる。どうやら、火事があったのだが魔法少女の活躍によって犠牲がなく事件は事なきを得たという。

彼女たちは凄いと思う。そんな子供じみた感想だけれども、そう思う。

「僕も魔法少女になれたらな。

何か面白いことが起こらないかな。」

僕は魔法少女が好きだ。

彼女たちには、、、生きる価値がある。僕とは違って。

なぜ生きているのか。それは、、、それは、、

単のために生きているのか。それは、、

彼女がいるからだろうか。

誤解がないように言っておくと、彼女というのはsheという意味でgirlfriendではない。

僕に恋人はいない。

だけれど、もし彼女が彼女になってくれたら。

そんなことを思ってしまう。思ってしまった。

「また魔法少女?」

「、、ま、まぁ、そんなところ。」

「そっか。じゃあ行く?カフェ。」

「あ、うん。行こうか。」


彼女の名前は田野月。僕は下の名前で月と呼んでいる。彼女の希望だからだ。

下の名前でねぇ、、別に距離が近くなったわけでもないんだけどな。なんとなく、不思議な気持ちになる。特別というか、なんというか。これを背徳感と言うのだろうか。それがなんであってもいい。特別と思えるのなら、なんだって。

そんなことを思っているといつものカフェに到着した。

いつも座るのは窓際のこの席。空いているならそこに座るのが習慣になっている。なぜカフェにいるのかというと、月の趣味がまさにそれなのだ。そして彼女一人で行くのはなんだか落ち着かないということなので僕が誘われたというわけである。月とは、まぁ幼馴染みたいなものだ。長い付き合いというものだろう。きっと彼女は僕に対して好意をもっていはいない。だから、カフェに誘われたのだって、きっと彼女お得意の気まぐれだ。はたまた気の迷いか。なんにせよ、一緒にカフェに行ったからといって特別扱いされていないのは理解していなければならない。でも、僕は月の横にいるのが、その、好きなんだ。隣では蹴ってない。横にいる。隣にいられたらと思うことは、暇な抗議の最中はずっとそうだ。きっと、僕は彼女に恋をしている。いや、これは恋ではないか。なんというのだろう。中のいい友達、ともちょっと違うような。言葉にはできないけれど、言葉にするならそんな感じ。


「この前、本屋で無人島に持っていくならこれって書かれた本があったんだよ。それが宗教関連の本でさ、私思ったわけ。無人島に持っていくなら絶対にサバイバルガイドだろって。だって無人島に一冊しか持っていけないんだよ?要は、そんな状況で悟りを開いている場合なのかなって思って。絶対に生き延びることを目的とした本の方が適切だろうなって、そう思ったの。どう思う?」

「そうだな、、。そうだなって思うかな。その通りなんだろうよ。」

僕たちの会話はいつもこんな感じである。月が日常で気づいたことを話し、それについて僕は軽く返す。本当はもっと気の利いたことでも返事ができればいいとはわかっているけれど、それができない。もっと会話が上手になりたいと思う。でも、それも、結局は彼女に好かれたいからだ。きっと、僕のすべての理由なんて結局そこに行きつくし、行きつかなかったとしてもそれはどうでもいいことなのである。世の中そんな感じだ。

世界で僕は一人しかいない。僕が居なくなったら僕はいなくなるわけだから、僕は絶滅危惧種なのだ。それは知っている。わかっている。しかし、そんな希少価値にいったいどれだけの意味があるのだろう。希少価値についての価値。たとえばそう、その人にしかできないことがあるのだとするのならば、それは希少価値があり生きている意味がある。大抵そんなもんだ。でも、それがない人がいる。いいや、それがない方が多数、というか、ほとんどがそうなのだろう。世界のほとんどの人は自分にしかできないことを持っているわけではない。ならばなぜ生きるのか。何のために生きるのか。僕にはそれが分からなかった。僕はきっと、それが知りたいのだろう。彼女が。もしも、彼女が僕の生きる理由になってくれれば。なってくれさえすれば世界は変わるのだろうか。しかしその一手はあまりにも大きかった。大きい。僕にとっては到底踏み出すことができないレベルの一手だった。王手をかけられているのに他の歩を動かすような、そんな危うい一手。正直に言おう。僕は告白が怖いのだ。きっと彼女は僕の事を仲のいい人くらいにしか思っていない。いや、都合のいい人くらいに思われているのかもしれない。それくらいのものだろう。それくらいの者で、それくらいの物だ。そんな相手から実は好きだなんて言ったらどうなるか。そんなことは明白である。距離をおかれる。それが相手がとる一手だろう。王手飛車取りだ。そんな拮抗状態にあるわけだが、だから僕は踏み出せないである。しかし、つまるところ、告白なんて必要ないのかもしれない。だって今の状態だってカフェに行けるのだ。提案すれば他の場所にだって行くことができるだろう。実際、一回だけダーツに行ったことがあるし。まぁ彼女の提案だったんだけれど。それでもそれは定義的にデートではないのか。男女が一緒に、二人っきりで楽しむ。それはデートだと思っている。そう、勝手に思っている。僕は思う。告白とはいったい何なのだろうと。だって、告白しなくても、付き合っていなくてもこうしてカフェに行くことができる。僕は踏み込んだことをしたいとは思っていない。だからこの状況が続く限り文句を言うつもりは一切ない。ないのだが、なぜか告白が頭をよぎるのだ。なぜだかよぎってしまうのだ。でも、現状でもデートはできる。、、おそらくこれはデートである。しかも、嫌いなやつをカフェには誘わないだろう。だから嫌われてはいないはずである。ならばそれでいいじゃないか。別に告白なんてしなくても。告白なんて、しなくても、。そんなのいつでもできるだからそれは今じゃなくていい。今はこの状況を、このティータイムを楽しもう。僕はそんなことを考えながらいつものカフェを終えた。


大学には実家から通っている。月も実家から通っている。そんな近いからという理由で決めた大学だ。別に後悔していない。特に公開するような予定もないし、この足歳たっさい市では名の知れた処だし就職には困らないだろう。なんにせよ、僕は月が好きだ。、、いや、そうじゃなくて。そう、僕は月の横にいるのが好きなのだ。

そういえば今日中にやらないといけない課題があるんだった。大学用のカバンからパソコンを鳥妥当としたとこで気づく。ん?なんだっけ。そこには封筒があった。真っ白な封筒。差出人もなにも書いていない。いつの間にかばんに入っていたのだろう。えーっと、そもそも僕宛の封筒なのか?僕に向けたものでないとするのならば開けることは躊躇られるが。うーんしかし、今日の朝にはなかったよな。講義中はずっとカバンを持っていたし。いや、トイレには行ったか。つまり目を離した時があったから誰かが忍ばせるのは可能だ。あとはカフェか。カフェでもトイレを借りたから。でも、カフェに行くなんて知っているのは月くらいで、、うん?もしかしてこれ月からの封筒か?そうなら僕のカバンにこっそり入れることができる。でも、自分のではない可能性も、いや、でも僕のカバンに入っていたのだ。これが間違っていたとしてもそれは入れた人の責任であって僕に他意はない。封筒にはなにか固いものも入っているらしかった。

悩んだ結果、封筒を開けることにした。入っていたのは一枚の紙と固いえんじ色のカード。カードにはえーっと、英語で書いてあるから読めないな。いや、でもこれはMagical countryって、魔法の国か!どういうことだ。紙を開いて読んでみる。

「この度は三日月荘へのご招待をと思いましてお手紙を失礼いたします。

同封したのは魔法の国の通行許可証でございます。忘れずにお持ちしておいでください。


日時:日本時間 2月11日 午後8時

場所:目的地 三日月荘 ※集合場所は足歳駅改札前ですのでお間違えなく


滞在は数日から一週間程度と予定しております。

是非おいてくださいませ。志熊ー様。」

どうやら僕宛の手紙で間違いなかったらしい。そんなことより、魔法の国に招待だって?あの魔法少女が拠点としている幻の国に招待されたっていうのか。この僕が。日時は一週間後。僕としては憧れの魔法少女に会えるかもしれないということで断る理由がない。大学は休んでしまおう。はっきりいってこのときの僕は行く決心を固めていた。


また月とカフェに行った。

「あ、そういえばはーちゃんは魔法少女好きだったよね?私のところに魔法の国への招待状が届いたんだけど、よかったら一緒に行く?」

、、、、「あ、もしかして三日月荘?僕のところにも来たよ、招待状。」

「え?そうなの?よかったら一緒に行かない?」

「うん、行こう。」

こうして僕と月、二人で三日月荘へと行くこととなった。

でもまさか、月も誘われていたとは驚きだ。月が持っていた封筒も通行許可証も同じものだった。ならば、あの封筒はカフェでカバンに入れられたのだと考えるのが自然か?

なんにせよ。僕にはちょっとしか考えがある。ちょっとしたプランが。日時は2月11日、そして予定滞在期間は一週間、つまりその間にバレンタインデーがあるのだ。僕はさりげなく月にチョコを渡そう。そう、こころの中で少しだけ嬉しくなった。


2月11日、午後8時に足歳駅に月と集合にした。今は7時半。ちょっと早く来過ぎたかな?

まぁ、待つことは得意だ。携帯で将棋を開き、指す。僕は先手だった。今日は居飛車でいってみようか。と、そんなことをやっていると月が来た。月も早めの行動なのか、7時40分には二人で魔法の国への時間を待っていた。うーん、改めて考えてみると、どうやって魔法の国に行くのだろう。特殊な電車でもあるのだろうか。

そんなことを考えていると突然目の前にゲートが開かれた。水色のゲート。

「どうぞお入りください。」

ゲートの向こう側にいる人が話しかけている。あ、僕たちにだよな。

「え、えと、失礼します。」

月は無言でゲートをくぐった。こうして僕たちは魔法の国に来ることができたのだ。

ん?

「もしかしてポータルさんですか?」

「はい。私がポータルです。よくご存じで。志熊さん」

ん、僕の名前を。

「あ、いえ、魔法少女が好きなもので。」

そうだ、魔法少女と言ったらポータルじゃないか。彼女たちが世界中を飛び回れるのはポータルさんのおかげだと聞いたことがあるが、あれがポータルなのか。初めて見た。

「ところで三日月荘でしたよね。ご案内します。」

そういうと、ポータルさんはまたポータルを開いた。

「この先が三日月荘です。行ってらっしゃい。」

「どうも、ありがとうございます。」

こうして僕達は三日月荘へ向かうのだった。


三日月荘へは一直線だった。ポータルさんが近い場所に転送してくれたらしい。えっと、チャイムがあるからそれを鳴らせばいいのかな。

ピンポーン

、、、、、、

ガチャリ。ドアが開く。

「ようこそ三日月荘へ。私はメイドを務めさせていただいているアンジュと申す者です。

お待ちしておりました。さぁ中へどうぞ。」

そういってメイドのアンジュさんは僕達を招き入れてくれた。そして、アンジュさんは魔法少女だった。これは一目でわかる。というか、魔法少女かどうかは見た目で判断できるのだ。なぜなら、容姿が整い過ぎているくらいに整っているからである。しかもメイドと名乗るだけあって所作が綺麗だ。

「こちらがルームキーになります。荷物をおいたら奥のリビングへおいでください。皆さんもそちらにいらっしゃいます。それでは、失礼します。」

そういうとアンジュさんは奥の扉へと行ってしまった。おそらくあそこがリビングなのだろう。というか、いまどっから鍵だしたんだ?スカートの中からのように見えたけど。

「えっと、じゃあ部屋に荷物置くか。」

「うん。またね。」

玄関からまず目についたのは螺旋階段だった。どうやらこの螺旋階段を上がっていった二階が宿泊施設になっているらしかった。あとは両サイドにドアが二つずつ。そして螺旋階段の奥にも二つの扉があった。つまり、この間は3面にドアが二つあり、残りは僕達が入ってきた玄関がある面の四角。そして真ん中に堂々と螺旋階段がある。アンジュさんが進んだのは奥の二つの扉のうち左側だった。右側の扉には何やら書いてあった。そうおもって見ると、両サイドの4っつの扉にはAからDの4つのアルファベットが描かれていた。そして僕が気に入っていたのは絨毯だった。真っ赤なじゅうたんがしかれている。一面全てにだ。今のところつなぎ目も見当たらない。つまり、この間の床は一つの絨毯で敷き詰められているのだった。

僕たちは螺旋階段を上がり各自の部屋へと向かった。とは言っても隣同士なのだが。どうやら玄関から見えていた二階に上がるための螺旋階段が宿泊施設へとつながっているらしい。というか、繋がっていた。まぁ、アンジュさんに説明されたのだけれど。


部屋の鍵はシンプルなものだった。てっきり魔法の国だからルームキーは電子キーや自動認識システムなのかと思っていたけれど、渡されたのは古典的な金属の鍵だった。どうやら本当にごく平凡な鍵らしい。そして、例の赤い絨毯だが、こちらも同じく床を一面覆うものとなっていた。僕はドアに鍵をさし、くるりと回して開錠する。ドアは平凡な物らしかった。こう、鍵をくるりと回して閂がかかる仕掛鍵。思ったより魔法の国というのは僕達の世界と同じなのかもしれない。なんだか親近感がわいてきた。と、絨毯を見てみよう。凄いぞ、ドアの下にも隙間がない。というか全てつながっているのだった。切れ目やつなぎ目がない。特注という奴なのだろうか。部屋に入ると鏡と窓、ベッドが見えた。他にはもう一つドアがあった。僕はとりあえずベッドに腰を下ろした。おお、いいベッドだ。僕はベッドが変わると眠れないタイプなのだが、これはよく眠れるかもしれないと思うほど気持ちの良いもので安心した。荷物をベッドのわきに置き、少しだけ部屋を探索してみる。とは言ってもけして広くはない部屋だ。本棚も何もない。本が趣味の僕にとっては少し窮屈だった。しかしここは宿泊施設。最低限の過ごすことのできる環境ということになっているのだろう。ベッドのほかには、えっと、窓があったので換気に窓を開けようとしたが鍵も何も見当たらなかった。どうやらはめ殺しらしい。天上をみると空調を管理するようなものはなさそうだけどエアコンを操作するパネルは見つかった。暖房も冷房も除湿もできるらしい。けれどエアコン自体は見当たらない。もしかしたらものすごい技術がここで生かされているのかもしれない。ドアは普通だったがここは評価できるなと、なんだか行論家みたいなことを思ってしまった。まぁいいや。他にヘアにあるものといえば鏡だ。これは普通の鏡らしい。というか化粧台といった方がいいのだろうか。前に椅子があるし、なにから小物を入れられそうな引き出しもついている。なんとなく座ってみる。これは普通の椅子で普通の鏡なのだと思った。特に何か仕掛けがあるわけではなさそうだ。と思ったら何かのスイッチを見つけた。押してみると鏡が光をおびた。照明機能はついているらしい。他に部屋にあったのはコンセントだ。英語でいうところのアウトレットだったが、日本で使われている物とは少し違うようだった。たぶんアメリカでこのような形になっていると聴いたことがある。たしかに、日本を基準に考えていたが、魔法少女は世界規模なのだ。日本を基準においていた僕がちょっと偏見というかうがった見方をしていたらしかった。あれ?なんだっけ。あ、そうだ、さっきの化粧台の引き出しのなかにプラグの変換装置があったのだった。何のためにあるのかと思っていたが、これは日本式のコンセントに変換するための物だったのだ。なるほど。あまり見たこともないような形の変換装置も3種あった。これがユニバーサルデザインなのかもしれなかった。うん?ユニバーサルデザインで合ってるか?まぁ、そんな細かいことはどうでもいいとして、部屋はだいたい見終わった、、いや、あとドアがあった。開けてみるとユニットバスだった。つまりトイレとお風呂が一緒になっているものだ。そしてなんとここにクローゼットがあった。、、なぜだ?普通水気のするところに服は干さない気がするのだが。うーん、謎だ。僕なら普通にベッドの横にでもクローゼットを置くけどな。そんなことを思っていると、

コンコン。ドアをノックする音。

出てみると月だった。一緒にリビングに行こうということだった。おそらく月も僕と同様に部屋を探索して用意がおわったということろなのだろう。

「うん。一緒に、

pーーーーーp-ーーーー

僕の携帯が鳴っていた。電話だろうか。

「あ、ごめん先に行ってて。」

「うん、わかった。」

それにしても電話か。誰からだろう。何も表示されていなかった。つまり、あいての電話番号が表示されていないのだ。こんなことあるのだろうか。というか、ここって電波入るのか。なんとなく魔法の国だからネットにでもつなげないと電話などは通じないとおもっていた。あ、でも部屋にネットの案内がなかったな。ならば普通に電波は入るという事なのだろう。そんなことを思いながら電話に出る。

「はい。もしもし。」

「ようこそ三日月荘へ。」

なんだこの声。変声期をつかっているような声。よくミステリーで犯人が使うようなこもった声。男性か女性か、それすらもわからないような声だった。

「だれだ。」

「私の事はマスターと呼んでくれたまえ。ゲームマスターだよよくあるだろ?つまり私は君にゲームを行ってもらいたいと思っているんだ。今回は人狼ゲームを提案させてもらうことにしたよ。そして君が探偵役だ。つまり、私の正体を充てることができたら君の勝ち。3回以内に当てられなかったら、まぁ、わかるよね?全滅ってことだね。それじゃあゲームスタートだ。」

そういうと電話は切られた。番号が分からない以上こちらから電話をかけたり調べたりすることができない。それにしてもどういうことだ?人狼ゲーム?つまり、自称ゲームマスターが人狼でそれを当てればいいってことなのか?

僕はどうするか悩んでいた。この奇怪な電話をどうするか。どう受け止めるのか。楽観的に考えるのであれば僕を楽しませるために仕掛けたゲームということになる。しかし、おかしい。なにがおかしいのかは言葉にしづらいが、なんとなく嫌な感じがする。気になる。

しかし、こちらからできることは何もない以上、どうすることもできなかった。

月を待たせている以上、僕はリビングに向かうようにと部屋を出ると月がそこにいた。なんと待っていてくれていたのだ。いや、ただ単に1人で魔法少女たちに会いに行くのが気が引けるから僕と一緒がいいとかそういう理由かもしれない。決して僕と一緒に行きたいからではない。1人で行くのが嫌だから二人で行こうという考えだろう。なんだかな、こんな思考になってしまう自分があまり好きではなかった。というか嫌いだ。僕は僕を好きになれない。

「待っていてくれたのか。ありがとう。じゃあ一緒に行こうか。」

「うん。、、なにかあったの?」

「、、いや、なにも。」

僕がこういう時は何かを隠していると月は感づいている。彼女は鋭いのだった。

とりあえずリビングに行こう。


リビングにはたくさんの魔法少女がいた。ダーツをやっている者、オセロをやっている者、紅茶を注いでいるアンジュさんなど。ざっと10人といったところか。もちろん、リビングに入ってきた僕達を皆は注目する。注目されてしまっている。うう。こういうの苦手なんだよな。

「あ、あのこんにちは。ぇと、僕は志熊一と言います。よろしくお願いします。」

「田野月です。よろしくです。」

「お二人はお紅茶お飲みになられますか?」

アンジュさんが聴いてくれた。

「月、どうする?」

「ミルクティーがいい。」

「えっと、じゃあミルクティーを二つお願いします。」

「かしこまりました。」

アンジュさんはすぐさまにミルクティーを二つ用意してくれた

「どうぞ。」

「ありがとうございます。」

そしてアンジュさんはオセロをやっている魔法少女たちの近くの席にミルクティーをおいてくれた。きっと近くに寄りやすいようにだろう。さすがメイド、気が利く。

「えっと、お邪魔します。」

「うん、よろしくね。私はイヤー。耳がいい魔法少女だよ。こちらはあやとりさん。」

「ど、どうも。」

オセロをやっていたイヤーさんとあやとりさんが挨拶をしてくれた。イヤーさんの耳はとがっていた。まるでエルフだ。うん?あやとり?

「あ、あの、あやとりさんは日本の出身で?」

「あ、はい。そうです。日本人です。ひも状のものを操ったりできます。よ、よそそくおねがいいます。」

あ、噛んだ。

「よろしくお願いします。」

「どうもこんにちは。僕はダート。投げたものを自由にコントロールできるのが魔法だ。ほら。」

と言ってダートさんは右手、左手、右手と立て続けにダーツの矢を投げた。そしてそれらは全部20のトリプルに入っていた。

「あ、あの、全員そろってから自己紹介をした方がいいんじゃないかにゃ

?」

うん?セーラー服姿の猫耳の子がそう言っていた。ネコの尻尾もあるみたいだ。肉球がないのは残念だが、かなり好みの格好だ。それに語尾がにゃ!これは魔法少女って感じの子だ。

「あれ?ネコさん。これで全員じゃないんですか?」

とダートが聞いた。

「あとは予知さんが来てないにゃ。」

「おっと、またせたかい?いや、そんなにまってないな。うん。ああ、そうだよ。私が予知だ。魔法は名前の通り予知をすること。さて、ちょっと中断させてしまったらしいけれどネコさん、自己紹介を続けようか。」

「うん、わかったにゃ。」


と、そこで語り部である僕は一つ提案をする。というか、これは僕の語る力が足りていないからの提案なのだが、誰が喋ったのかがわからなくなるので喋る時には名前を入れることにする。なにせ10人以上いるのだ。僕が描き分けられるか自信がないのだ。

さて、すこし業務連絡を失礼して戻ろうか。


ネコさん「じゃあ皆集まったことだし、自己紹介タイムとしゃれこむにゃ!」

まずはオセロをしていた二人組が名乗りをあげた。

イヤー「私はイヤー。耳がとってもいいというのが魔法で、エルフがモチーフです。よろしくお願いします。」

あ、本当にイヤーさんはエルフがモチーフだったのか。そして次はオセロの対戦相手であったあやとりさんが名乗った。

あやとり「ど、どうもよろしくお願いします。あやとりです。ひも状のものを操ることができまる。」

あ、噛んだ。

?「俺はレオンだ。透明になることができる。」

レオンさん。今まで気が付かなったけど、ダートさんとダーツをやっていた。え、全く気が付かなかった。もしかしてこれも透明になる魔法の効果なのだろうか。えーっと、レオンさん、透明になることができる。、、、、、あ、カメレオン、、これ結構覚えやすいんじゃないか?うん、レオンさんはカメレオンと同じで透明になることができる。ちょっと保護色とは違うけれど。色が変わるってところは同じだしね。うん、これで覚えよう。

ダート「僕はダート。こんな風に、、」

と言ってダートさんはダーツの矢を投げた。しかし、それはありえない軌道だった。まず下に向かってから上に行き、ゆっくり右に行き、素早く左に行ってダートさんの手元に帰っyてきた。

ダート「と、まあこんな感じで投げる前に軌道を描くと投げたものがそれに従うという魔法が使える。、、、、よろしく。」

?「あ、あの、、、、、、私はホールと言います。穴を空けることができます。よろしくお願いします。」

ホールさん。彼女は隅の方でケータイゲーム機をもって何かをやっていた。人と関わるのが苦手なのだろうか。まぁ僕も人の事は言えないけど。

?「じゃあ次は私かな。私はグラス。こんな感じのメガネに私の魔法を込めることができる。最近はまってるのはこれ。透視グラス。麻雀もポーカーも負けなし。効果範囲は1mだけど、もっと進めていくのが今研究してることかな。よろしくね。」

グラスさん。これは覚えやすい。彼女は首元にも服にも沢山のメガネ、、グラスを付けていた。うん?メガネは英語ではグラッシーズでは?いや、あれはレンズが二つあるから複数形なんだっけ。ということはグラスさんは片目だけのグラスを持っている、作ることができるのかもしれない。

、、、、、、、、、、、、、、

予知「おい、君。えーっと、志熊君か。君たちの自己紹介がまだだよ。」

僕「おっと、そうでした。僕は志熊一。見ての通り魔法少女ではありません。今回は招待状をもらったので来させていただきました。」

ネコさん「にゃ?招待状なんてだしてないにゃよ?」

アンジュ「すこし失礼いたします。ネコさん、まだ貴方の自己紹介がまだです。私はメイドのアンジュと言います。よろしくお願いします。」

ネコさん「そうだったにゃ!わたしはネコさん。こんな感じで自由に歩けるのが魔法にゃ。」

そういうとネコさんは壁を歩いた。そう、壁を歩いたのだ。まるで壁が地面であるかのように。今僕達とネコさんは90度違う世界にいる。そしてネコさんは天井近くまで平然に歩いていき、次は天上を歩いた。180度違う世界だった。としてネコさんは天上からジャンプして、つまり僕達の方向へ降りてきて、音もなく着地した。

ネコさん「これがにゃーの魔法にゃ。」

、、、、アンジュ「えーっと、ネコさんはこの館の主人であられます。」

え?そうだったのか。いや、でもさっき招待してないって言っていたな。そこからこの三日月荘の館、、荘なのか館なのかややこしいのはさておいて、主人が知らない招待状。そして、頭によぎるあの電話。これ、相談した方がいいのだろうか。

月「あ、あの、田野月です。よろしくお願いします。」

そういえば月の自己紹介がまだだったな。


さて、今の状況を整理しよう。館にいるのがこれで全員だとネコさんが言っていた。ネコさん、主人。それに使えるメイドのアンジュ。そして僕と月。これで4人。オセロをやっていたイヤーさんとあやとりさん。ダーツをやっていたダートさんとレオンさん。これで8人。あとはホールさん、グラスさん、そして最後にやってきた予知さん。全員で11人。

予知「ちょっと違うよ。これで全員じゃない。」

ホール「あの、それは予知ですか?」

予知「ああ、そうだ。あ、ちなみに私を敵に回さない方が良いよ。検索履歴も閲覧履歴の趣味嗜好もなにもかもバレたくなければ私を敵にしない方がいい。」

、、、、、、、、

予知「なに、冗談なんだよ。ちょっと、ごめんね。踏み込み過ぎた。反省するからそんなこと思わないでおくれ。」

予知さん。予知とは言っていたけれど、これじゃあ超能力だ。なんだか腹の内を全て知られているみたいで、正直に言って僕はこの人が苦手だった。いや、そうだな、初対面の人に抱く感想としてはちょっと可愛そうだけれど、僕はこの人のことを不気味だと思っている。

予知「不気味で悪かったね。いや、本当にごめん。普通の会話みたいに思えてしまうんだ。悪く思わないでおくれよ。それにしても君、魔法について、というか、魔法少女について興味があるんだって?いってくれればよかったのに。あ、また覗いてしまったね。ごめんね。」

僕「いえ。魔法に興味があるのはその通りなので大丈夫です。なので誰か、魔法について話していただけませんか?」

グラス「いいよ。私は魔法大学に通ってる身だから多分説明できると思う。えーっとまずは魔法少女についてだね。これはSFなどででてくる魔法少女と同じだと思ってくれて大丈夫だよ。変身すると魔法が使える、そして変身を解除すると元の人間の姿に戻る。ここまではいい?」

僕「はい。」

グラス「そして魔法少女には大きく分けて2種類存在するの。固有魔法を使う者とマジックアイテムを使う者だね。たとえばネコさんの壁を歩いたりするのは固有魔法だね。その人にしか扱えない、まあ魔法を道具に移したら別なんだけど、基本的に個人にしか扱えないものと思ってもらっていいよ。そしてマジックアイテム。これはその人用の武器だと思ってくれて構わないよ。実体化と非実体化、つまりマジックアイテムをしまえるのか出せるのかがその人の意志によってできる。そして重要なのが、魔法が入っているなら誰でも使用可能だということ。私のグラスはどっちかっていうと固有魔法なんだけど、グラスに魔法を移す、というかグラスを魔法物に変えるのが私の固有魔法だね。」

僕「なるほど。」

グラス「そしてこれが魔法の端末。これで変身や解除、魔法の補充などを行うことができる。今画面はついているけどみえないだろ?」

魔法の端末。それは一見ただのスマホのような物だった。

僕「はい。真っ暗に見えます。」

グラス「それはね、魔法の目を持たないと見えない特殊な光がでてるからなんだ。これは魔法の情報が露見しないようにだね。同じように魔法のインクも存在して、魔法の文献などはこれで書く決まりになってるんだね。ちょっとまってね。」

そういうとグラスさんは内ポケットからグラスを取り出してかけた。

グラス「はい。これをつければ魔法の画面がみえるはずだよ。」

そういってグラスさんは僕にグラスを渡す。一見ただのサングラスだ。でも重みがあってしっかりとした作りになっていることはわかる。僕はそれをかけてみた。

僕「あ、本当ですね。グラスさんの画面に表示されているのが見えてます。」

英語で描かれていたので内容までは分からなかった。

グラス「うん。それが魔法の目っていったところだね。魔法少女であれば誰でも持っているものだよ。あとはそうだな、私はロシア人なんだけどさっきから会話がわかるだろ?それも魔法少女がもっている基本的な魔法のひとつで言語の壁がないんだ。まあ会話だけなんだけどね。つまり読み書きはできない。」

僕「あ、たしかに。日本語に聞こえます。」

グラス「魔法の国では英語が公用語として用いられているね。だから魔法少女は最初に英語を勉強するところから始まると大学では習ったかな。」

予知「はい、君。質問があるならしてみればいい。」

また読まれてしまった。もう気にしてないけど。

僕「えっと、変身するときってどんな感じなんですか?」

グラス「どんな感じかー。うーん、変身にかかる時間は刹那と言われているね。つまり一瞬って事だね。だから特に何かを感じたりは、、あ、魔法少女は人間の五感の他に第六感として魔感をもっているよ。これは自分の魔法が足りているかどうかとかがわかるね。おなかがすいているのと同じ感覚だよ。あ、そうだ。ダート、あれを話してあげなよ。」

ダート「またその話か。、、、、分かったよ。僕が大学生の時、ああ、これは魔法大学ではないよ。ドイツの大学の話さ。風邪を引いてしまってだるかったんだけど、テストがあるから勉強しなくちゃならなかったんだ。だから勉強していたんだけどそこでふと気づいたことがあったんだ。それが魔法少女になれば風邪なんて治るんじゃないかなってね。だから変身したんだ。すると風邪なんてあっという間に治ったんだ。だから僕は変身したまま勉強した。魔法少女は飲み食いや睡眠なんてとる必要はないから結構集中して勉強できたんだ。そして変身したままテスト当日を迎えたんだ。そして変身をといてびっくり、また風邪の症状が出たんだ。僕はそこで悟ったんだよ。変身している時の体と人間の時の体は全くの別物だってことにね。記憶が同じだから勘違いしていたけど。それで変身してたおかげでテスト当日まで風邪を長引かせてしまったんだ。そしてそのだるさの中テストを受けたら途中で本当に無理だなってなってね、そこで単位を落としてしまったんだ。」

、、、、、グラス「ほら、続きは?」

、、、、、、、、、、、ダート「それで留年したんだ。」

グラス「何時聞いても面白い話だよね。私の好きな話だよ。というか、魔法大学を卒業すれば大学の卒業認定がもらえるんだから魔法大学で勉強した方がいいとさんざん言っていたのだけれど彼はそれをしなくてね。それで留年って!あはは・・・おっと失礼かな?」

ダート「もう気にしてない。いじられるのも分かってた。だから話したんだ。」

グラス「そう。魔法少女になっているとき、元の体の時間は止まっているんだ。だから、えーっと、なんていったかな?名前は忘れちゃったけど、6歳の時から20年間ずっと魔法少女で居続けた人が居るんだよ。だから脳は26歳だけど変身解除したら6歳なわけ。彼女はスパイとして働いているね。だってまさか6歳の子が26歳の頭脳をもってしかも魔法少女とは誰も思わないからね。むいているんだね、スパイ。」

僕「魔法ってどこからか来るんですか?それともずっと使えるものなんですか?」

グラス「魔法はねお金と同じなんだよ、魔法の国では。本当にお金なんだ。魔法の端末に入っている魔法の元で買い物ができるんだ、魔法の国で。そしてお金の引き下ろし方は3ステップあるだろ?まずは銀行からお金をおろす。そしてお金を財布に入れる。そしてお金を使う。この3つだ。それがそのまま魔法でも同じことが言えてね、まず銀行っていうのは魔法の国の事だね。銀行の魔法は私たちの仕事によって増えるんだ。仕事によって銀行の残高が増えるのと同じだね。そして最初の引き落としなんだけど、これは魔法の端末に魔法を入れることをさすんだね。そしてお金を財布に入れるのは魔法端末から私たちの体に魔法をいれるってことだね。そして最後のお金を使うっていうのは私たちが魔法を発動させてるってことだね。わかった?」

僕「はい。なんとなくですけど。それで魔法がお金ってどうやって使うんですか?」

グラス「買い物の時に魔法の端末を機械に付けるんだよ。魔法の端末に入っている魔法じゃないとお金にならないからそこは注意だね。だから体にも魔法をいれないといけないし、魔法の予備って意味でもお金って意味でも魔法端末に魔法を入れておくのが普通だね。みんなそうしてるよ。」

あやとり「ちなみに自己紹介タイムというのは魔法少女の挨拶になっているんでふ。相手の魔法が分からないと怖いですからね。なので自己紹介に魔法を見せるのが決まりになっているんです。あ、私の魔法見せてないですね。たとえば、、」

途端に僕の頭が引っ張られる感覚がした。ほんのちょっとだけど。

あやとり「どうですか?ちょっと髪の毛を動かしてみました。髪の毛もひも状なので動かすことができるんです。」

なるほど。たしかに、言われてみれば髪の毛もひも状か。

僕「うん、ありがとう。魔法を見せてくれて。」

あやとり「どういたしました。」

ホール「じゃあ私も魔法を見せようかな。ほい。」

ホールさんの下に穴ができた。ホールさんはその穴に入っている。

ホール「こんな感じだよ。地面に穴を空ける魔法だけど。」

というと、ホールさんは穴から浮き上がってきた。いや違う。穴が無くなったのだ。

ホール「うん。私の魔法は一次的なもので穴をふさごうとしたときに穴に入っているものは押し上げられることになるんだ。」

つまり何かを埋めることはできないわけか。

レオン「じゃあ俺だな。見てろよ。」

というと、レオンの姿が消えた。見えなくなったのだ。」

レオン「これが俺の魔法だ。簡単だろ?透明になるだけだ。」

アンジュ「皆様失礼いたします。お食事の準備が整いました。」

ホール「今日のご飯は何?」

アンジュ「志熊様と田野様が来たということでバイキング形式にいたしました。なのでいろんなものが揃っております。日本からのお客様ということでお寿司も用意させていただきました。」

あやとり「お寿司、、、」

僕「ありがとうございます。あ、失礼でなければなんですけど、アンジュさんはなんの魔法を使うんですか?」

アンジュ「私は夜に目が効きます。明るさに関係なくはっきりとみることができます。お見せするのは難し、あ、グラスさん、からの魔法グラスを貸してください。」

グラス「はい。」

アンジュがグラスをかけてなにやらやっている。

アンジュ「はい。私の魔法を込めました。これで暗い部屋も見えるはずです。」

アンジュさんに渡されたグラスをかけて暗くなっている外を見てみた。たしかに昼のようにはっきりと見えた。


ネコさん「さて!みんな集まったところでカンパーイ!」

みんな「カンパーイ!」

予知「だから足りないんだけどな。まだ一人来ていない。」

あ、そんなこといってたな。

ネコさん「うにゃ?これで全員のはずにゃ。」

予知「いや、違うんだよ。まだ眠ってるやつがいる。えっと、君、えっと、なんだったっけ。そう志熊君。倉庫に将棋盤があるからそれをとっておきにきてくれ。」

僕「え?僕ですか?、、、まぁいいですけど、倉庫って何処にあるんですか?」

アンジュ「二階、宿泊施設の一番左の部屋です。これが鍵になります。」

アンジュさんから鍵を渡されてしまった。これは行くしかないな。しかし将棋ね。


僕は螺旋階段を上りながら思う。まずは倉庫についてだなんで宿泊施設のところにあるんだ?そして予知さんがやりたいといっていた将棋だけど、あれって日本の物だよな。いや、そこじゃない。そう、予知さんなら将棋などのゲームは簡単に勝ててしまうのではないか。そこがひっかっかった。まぁ、どうでもいいけどな。ちなみに渡された鍵にはクマのストラップがついていた。かわいい。鍵には何やら言葉が書いてあったが、全く知らない言語のようだ。ただのマークかもしれない。そんなことより、あれはなんだんだ?

倉庫の前に着いた。鍵を回して中に入る。電気を付ける。うん?スイッチを入れてもなにも起こらなかった。電球切れだろうか。あ、だからここが倉庫になっているのか?とりあえず目が慣れるまで、、あ、そうだ。アンジュさんの魔法が入ったグラスがある。それをかけるとはっきりと内部を見ることができた。色々なゲームが置いてあった。確かに倉庫って感じだ。たぶんイヤーさんとあやとりさんがやっていたオセロもここから持ってきたのだろう。そして、えーっと将棋、、あ、違うこれはチェスだ。うーんと、なんだかな。日本の物ってそうそうないような。と思い壁に手をついた。

ピコッ!

どうしよう。僕が壁だと思っていたのは壁ではなく何かの装置だったようだ。そして作動させてしまったらしい。えっと、どうしよう。どうすれば。

?「おはようございます。マスター。」


結果的に言うと、僕は機械の魔法少女と出会ったのだった。


?「どうしましたか?マスター。何なりとお申し付けください。」

僕「え、ちょっと、ちょっとまって。僕はマスターではないし、あ、あなたは?」

?「私に名前はありません。そして貴方は私を起こした。故にマスターなのです。私は魔法ロボット。名前はマスターが選択してください。」

僕「、、、、(どうすればいいんだ?)えっと、起きてきてもらって申し訳ないけれど、戻ってくれないかな?間違えて起こしちゃったみたいで。」

?「いいえ。マスターとあれど私の機能を停止させる権限は持ち合わせていません。私が判断いたします。私はマスターと一緒に過ごしたいです。なので戻りません。」

意外と頑丈、じゃなくて頑固なのかも知れなかった。頑丈なのは体だった。

僕「えっと、将棋を探しているんだ。だから将棋をみつけてほしいかな。」

?「承知いたしました。、、、、マスターの左後ろに発見いたしました。」

え?と見てみると本当に将棋があった。

僕「あ、ありがとう。僕はもう満足したよ。だからもう戻ってもらっても ?「いいえ。私はまだ一緒にいたいです。」

うーん、頑丈で頑固なのだった。いやまてよ、予知さんがいっていた1人眠っているって、もしかしてこの子のことか?あ!将棋を探しに行かせたのってこうなるからか!予知さん、隅に置けない、じゃなくてなんだっけ?えっと、油断ならないな。

?「私は名前がほしいです。名付けてください。」

僕「、、、、、(機械、ロボット、魔法少女、、、)じゃあ、ギアで。」

?「分かりました。私は今からギアです!!」

僕「えっと、よろしくね。」

ギア「はい。よろしくお願いいたします、マスター!」

これで屋敷にいるのは12人になったのだった。


僕「はい。将棋です。」

予知さんに渡す。

予知「おつかれさん。で、ロボットちゃんはどうよ?」

僕「、、、、ギア、入っておいで。」

ギアがリビングに入る。

ギア「皆様お初にお目にかかります。マスターからギアという名前を頂戴いたしました。魔法ロボットです。」

あやとり「よろしくお願いいたします。」

レオン「よろしく。」

と、みんなギアに挨拶をしていた。あれ?そういえばネコさんは何処だろう?

僕「あの、ネコさんは?」

ホール「仕事だって。電話がかかってきてた。」

ネコさん「あーーーーーーー!!!!!!!!!!起動させちゃったの?!!!!」

ネコさんが帰ってきた。

僕「、、、、すみません、、、、、、」

予知「違うよ。君が謝る必要はない。私に責任がある。せめるなら私にしてほしい。」

ネコさん「、、、でも、どうやって起動させたのにゃ?」

僕「?普通にさわったら起動しましたけど。」

ネコさん「おかしいにゃ。普通は起動できないはずなのににゃ。だってパスワード知らないにゃよね?」

僕「パスワード?いえ、本当に触れただけです。」

ネコさん「おかしいにゃ。、、、、、、、、」

ネコさんは何やら考えているらしかった。さて、席についてお寿司食べよう。さっきは一口しか食べられなかったから。ギアは椅子には座らずずっと僕の横に侍っていた。

あやとり「予知さん。この人が最後の1人ですか?」

予知「そうだよ。ギアが必要だったんだ。」

ん?必要?なににだ?

僕「あ、そういえば予知さん。思考が読めるあなたなら将棋は簡単に勝てるのではないですか?」

予知「将棋なんてルール知らないよ。」

どうやら僕にギアを起動させるのが目的だったらしい。僕が簡単に見つけられず、ギアを起動できるのが将棋ということだったらしい。たぶん、他のゲームでもなんでも良かったんだ。

ホール「それより、グラスさん。他の魔法少女についてなにか教えてくれない?ほら、月ちゃんもいるんだし、教えてあげようよ。」

グラス「ん?そうだな。、、、、、誰にしようか。じゃあアラウンドさんはどうだろう。有名人だけれど、月ちゃんは知らないんじゃないかな?アラウンドさんは剣士なんだ。しかも魔法少女も倒せるくらいの実力の持ち主なんだ。、、、、あとは魔法と言ったら空を飛ぶかな?ウィングさんという音速の24倍の速度で飛べる魔法少女だよ。あとはウォーターさんとかアクアさんとかアイスさんとか変身さんとかふわりさんとか、まあいろいろいるね。」

僕「ウォーターさんとアクアさんって違う魔法なんですか?」

グラス「うん。ウォーターは水を作り出す魔法。アクアは水を操る魔法。この二人はコンビを組んでるね。お互いがお互いを必要としてるから。」

僕「変身さんってどういうことなんですか?」

グラス「見た人に変身できるんだよ。よくお偉いさんの影武者として働いているね。」

僕「もっと紹介してください。お話聞きたいです。」

グラス「わかった。じゃあ思いつく限り列挙していくね。炎、回避、エール、ポケット、シールド、魔法、ポータル、ガード、ラプラス、ソルブ、機械、チップ、サイズ、タイム、ハック、、ネット、レーザー、ビーム、、、ゾンビ、、、、ベクトル、、、、、、アン、ロック、、、、、、、、、hime、、、、、レコード、、ワイヤー、、、、、、、、、、威嚇、、、、、、くノ一、、、、、、、、、、、、、だめだ、もう出てこない。」

ダート「因みにくノ一さんから手裏剣とクナイを沢山もらってるよ。僕のダーツの矢は有限だからね。」

たくさんもらっているという割にはダートさんは身軽そうだった。今は持ってないってことなのかな?

予知「ダートは4次元袋を腰にぶら下げてるだろ?そこに入っているんだよ。」

アンジュ「失礼します。志熊様と田野様。滞在予定はどのようになされますか?」

僕「あ、えっと、招待状に一週間と書いて、(あ、その招待状は偽物なんだっけ)、えっと、4日程度だと思います。月、おまえは?」

月「私もそれで大丈夫。」

アンジュ「わかりました。変更されるのでしたらおっしゃってください。それによってs直材などのご用意が変わってきますので。」

僕「あ、そうだ。さきほど魔法少女に食事は必要ないという話でしたけれど、あれはどういう意味なんですか?」

ダート「ああ、確かに魔法少女はなにも食べなくても、たとえ寝なくても大丈夫なんだけど、食べなかった分の栄養素は体に入っている魔法で賄われるんだ。だから魔法の消費が大きいから食べてるんだよ。睡眠も同じ。寝ない代わりに体の魔法消費が激しくなる。だから魔法少女も人間と同じように食べたり寝たりするんだ。」

僕「あー、なるほど。あ、そうだ。ここって時差あったりするんですか?日本と比べての話ですけれど。」

アンジュ「ここは太平洋の支部ですので2時間程度時差はあります。」

(ふーん、面白いね。)予知「いいことを教えてあげるよ。今夜、魔法少女が殺される。ちなみに、犯人に言っておくと、私は君の見方だから何もしないと約束するよ。君だって私を殺す気はないだろうしね。

ああ、そう。

この屋敷、閉鎖されてるよ。事件が起こったら開放かねぇ?」

なんだって。殺される?今殺されるって言ったか?

予知「うん。言ったよ。」

まてよ、人狼ゲームは誰かが夜の間に殺されるじゃないか!

もしかしてあの電話は、、

予知「そうだよ。君の考えで合ってるよ。」

なら、なんで止めな、、あぁ、そうか。予知さんが動くと予知さん自身が危ないんだ。だから関与できないと。、、、、

ギア「マスター、どうかしましたか?」

そう。マスター。ゲームマスター。もちろん僕の事ではないけれど、ゲームマスターと名乗るやつは、、、

あやとり「あの、魔法の国に連絡した方がいいですよね?」

予知「無理だね。魔法もネットも何もかも遮断されているよ。

君たちにできることはせいぜい頑張ることだね。私は力になれないけどね。頑張ってね。」


予知さんが悪いというわけではないのだろうけど、予知さんの予知によって空気が悪くなってしまったので自然と解散するという流れになった。因みに皆で館が本当に閉鎖されているのかを確認したところ、しっかりと閉鎖されていた。鍵はかかっていないのに動かないのだ。びくともしないらしい。なにか魔法で固定されているだろうとの事。ガラスも打ち破ることができないようになっていた。つまりは館は密室なのだった。魔法の端末は魔法で連絡をとれるらしいが、連絡が取れない状況にあるとの事だった。もちろん、僕のスマホも圏外になっていた。ネコさんはネットが使えるように制御室をいじってみたけどなぜだか使えないとのことだった。ホールさんは穴を空けて脱出を試みたものの、なぜか穴に限界があるらしく、そこからどうしても穴を空けることができないとのことだった。

どうみても人為的だよな。

皆は黙って自室にこもることになった。ギアは僕の部屋で待機するらしい。

僕「月、その、今日は一緒にいないか?」

月「、、、、、、いや。ちょっと1人にさせて。」

そういうと月は自室に入ってしまった。

きっと月も僕と同じことを考えているのだろう。今夜魔法少女が殺される。それは大変なことだった。しかし、殺されるのは魔法少女。つまり、人間である僕たちは不幸中の幸いで安全なのだった。

なんだかな。

僕の自室にこもった。


僕「なぁ、ギア。どう思う?」

ギア「そうですね。予知さんのいう事が本当だとしたら大変な事になると思われます。私も魔法少女の定義内なので不安ではあります。」

、、、、、、、なんだかな。


p-ーーーp-ーーー

ん?電話?何で電話がかかって、、ゲームマスターか、また番号は記載されていなかった。

どうしようか。僕に今できることは電話にでてゲームを止めることくらいだ。

僕「もしもし。」

?「いやー出てくれてうれしいよ!それで君はどうするつもりなのかな?」

僕「ゲームをやめろ。僕はゲームを降りる。」

?「そんなことは関係ないよ。ゲームは始まるんだ。じゃあハンデとして質問を追加することにしよう。もともとそんな案もあったしね。さあ、正直に答えるからなんでも質問するがいい。」

僕「(質問?ふざけているのか。)お前は誰だ。」

?「いや、だからゲームマスターさ。まさかそれが質問ではないだろうね?」

僕「(なにを質問する?)、、、なぜこのゲームを始めたんだ?」

?「うーーん、目的があってね。それには必要なのだよ。目的が何なのかはわからない。だから快楽殺人ではないよ。

じゃあゲーム一回戦!君が人狼とするのはだあれ?」

僕「、、、、、、、予知。」

?「ブブー、残念外れ!!それじゃあね。きみにやる気を出させるためのプレゼントをよういしてるからお楽しみに!」

電話は切れた。スマホには圏外と表示されていたのに電話がかかってきた。


ギア「マスター、失礼いたします。」

というとギアは僕の部屋の窓に向かってパンチをした。魔法少女らしく、とても重いパンチを。しかしガラスは割れなかった。



ギア「マスター、眠れないのでしたらあやかしましょうか?」

僕「、、、、、頼む。」


ギアのおかげで少しだけ眠ることができた。


翌日、月が自室で殺されているのが発見された。


全員リビングに集合していた。というか、事件発覚の前から皆はリビングにいたからその流れでいたのだが。全員。昨日までは12人だった。しかし今は11人。欠けているのは月だった。それがおかしかった。昨日の話では魔法少女が殺されるという事だった。しかし、今や肩の中にいる魔法少女は全員生存している。僕は自室からでて最初に月の部屋をノックした。そのときに返事はなかった。だから僕はリビングにいるのかと思った。だからリビングに行った。そこに月はいなかった。少しだけおかしいとおもった。次々と魔法少女がリビングに集まってくる。まるで示し合わせたかのように。そして全員が集合した。集合してしまった。月を除いて。だから、だから!僕は急いで月の部屋へと向かった。あやとりさんもついてきてくれた。ドアをノックする。また返事はない。どうする。鍵はかかっている。

あやとり「どいてください。」

というとあやとりさんはドアを蹴破った。え、あやとりさん?てっきりあやとりさんは幼いから、そんなことはどうでもいい。部屋の中は!暗い!グラスを付ける。そこに浮かび上がってきたのは月の死体だった。思わず駆け寄る。声にならない声をあげながら。月の体は冷たかった。この部屋も相当寒い。僕はここで現場をあらすことはしない方が良かったのだろう。ミステリーの鉄則だ。現場保存。しかしそんなことは全く頭になかった。

これが月殺害事件の発覚までの流れである。


アンジュ「紅茶を用意、、いたしました。」

そういうと全員に紅茶を配るアンジュさんだった。全員がリビングに集まっていた。全員が椅子に座っていた。いや、アンジュさんは紅茶を配っているから立っていたのだった。

、、、、

ホール「あ、、、、、その、、申し訳ない。」

ダート「そんな。ホールさんが謝ることじゃないです。」

、、、、、

パン!

ネコさんが手をたたいた。

ネコさん「起こってしまった事は仕方がありません。今私たちにできることは事件がなぜ起こったのかを解明し、犯人を特定する事です。」

ネコさんは語尾のにゃも忘れて淡々というのだった。

そう。殺されたのだ。月の体にはナイフが刺さっていた。しかも4つ。

月はうつぶせの状態だった。背中に3本のナイフが刺さっており、そして今度は前から心臓を突くように胸に堂々とナイフが刺さっていた。計4本。つまり、事故死や自殺では絶対にありえない。

ネコさん「とりあえずアリバイ調査から行きましょう。、、、私は自室にこもっていました。なのでアリバイはありません、、、」

アンジュ「わたくしは一晩ずっと予知さんとリビングで将棋をしていました。いえ、戸締りを確認したのでずっとというわけではありませんね。ダートさんもリビングでずっとダーツをやっておられました。なので、予知さんとダートさんにはアリバイはあるかと思われます。」

ダート「そうですね。確かにアンジュさんは一度抜け出しましたけど、それでもそれ以外はずっとリビングに居ました。なのでアンジュさんにもアリバイは、、、。予知さんはずっとリビングに居ました。なので予知さんのアリバイは証明できます。」

ホール「私は、、、ずっと自分の部屋にいたので、、その、アリバイというのはありません。」

グラス「私はレオンさんとずっとカラオケルームに居ました。歌は歌いませんでしたけれど、その、アリバイ?というのはあると思います。」

レオン「ああ、俺とグラスは今までずっと一緒にいた。アリバイは俺が保証する。」

予知「えっと、田野さんの行動は、あれだな、君がロボットちゃんといちゃついてる時にトイレに行ったな。いや、違うよ。ほら、ネコさんが仕事をしに書斎にいっているときの話だよ。」

そんなことがあったのか。


結果から言うと、完全なアリバイがあったのは予知さんとダートさん、グラスさんとレオンさんの4人だった。それとほとんどアリバイがあるアンジュさん。それ以外の人は、僕も含めて自分の部屋にいたり、図書室にいたり、1人で行動していたのでアリバイは無いようだった。そう、僕は寝てしまったのでギアのアリバイも証明できないのだった。


あやとり「あ、あの。少し気になることがあるんです。私が壊したドアなんですけど、ああ、ドアを壊しちゃってすみません。でもその、壊したのは鍵がかかっていたからなんです。そしてあの宿泊施設には他に出入りできるところはないはずです。なのでその、どうなっているんだろうって。だって田野さんは殺されたんですよ!そして鍵はヘアの中にありました!でもヘアには鍵が!これって密室というのでは、、、、ないでしょうか。」

、、、、、アンジュ「ここにマスターキーがあります。私がずっともっていました。なので、そうですね、私はこれを使ってはいないのですが、、なので、密室ということになると思われます。、、、私がマスターキーを使っていない証明はできませんけれど。」

そう。あの部屋は密室だった。アンジュさんが犯人でない限りは。あの部屋の窓ははめ殺しだった。だから出入りはドアだけ。でもその部屋の鍵は月の死体のそばにあった。それは僕が確認している。そして、なんとなく僕が今も持っている。

イヤー「あの、その鍵についてなんですけれど、マスターキーは何本あるんですか?」

アンジュ「この一本だけです。あとの鍵もそれぞれ一本ずつしかありません。」

さきほどからアンジュさんが言っているマスターキーには小さいクマのぬいぐるみがついていた。あれはマスターキーだったのか。ネコさんの趣味だろうか。

予知「大切なことを忘れているよ、君たち。魔法はどうなったんだい。」

あ、そうだ。魔法少女。だから魔法が使える。

イヤー「あの、私趣味で推理小説を読むんです。なのでお力になれればなと思います。」

予知「じゃあイヤー、密室について推理しておくれ。」

イヤー「はい。まずは私の魔法ですが、聴覚がいいというだけで密室は作れません、あと、アンジュさんの魔法も夜目が利くということなので除外していいと思います。あ、密室の定番だと犯人が部屋の中に隠れているというのでレオンさんの透明になるものがあげられますけれど、レオンさんにはアリバイがあるんでしたね。なので除外していいと思います。あとは糸をつかった密室ですね。あの宿泊施設の鍵はサムターンを回すことで内側から鍵をかけることができるタイプなので、、、、糸、というと、あやとりさん、ですかね。」

あやとり「ち、違います!私が操れるのは見えている紐だけです!なので見えていないドア越しは操作できません!ほら!そうやって書いてあるでしょ!」

そういってあやとりさんは魔法端末を皆に向けていた。

予知「それにしても、まだ厄介なことがあるよ。今もみんなが踏んでいる絨毯だけれど、これはドアの隙間を無くすほどに敷き詰められていたね。だから糸のトリックは使えないんだよ。方法があるとしたら絨毯を剥ぐことだけれど、剥いだところで今度はその絨毯をどうやって元に戻すのかが問題になってくるわけだね。あの部屋にはベッドもあったし、血痕は絨毯についていた。だから絨毯がある以上問題は解決しないわけだ。」

イヤー「あとは、そう、犯人が密室の中にいるパターンですけれど、ネコさんなら天上にでもいて存在を隠せる、、、いや、事件発覚前からいままで私と一緒にリビングにいましたね。今のは忘れてください。すみません。ちょっと考えさせてください。」

あやとり「いいですよ、あせらなくて。」

イヤー「うーんと、あとは本当は月さんが本当は自殺僕「月は自殺なんてしません。」

イヤー「気持ちは分かります。でもその、、あ、いや、すみませんでした。予知さんも言っていた通り殺されるんでしたね。自殺ではない。すみませんでした志熊さん。」

ネコさん「うん?なにかひっかかるにゃ。なんだろうかにゃ。」

ネコさんの語尾がにゃに戻っていた。

ダート「とりあえず皆で捜査しませんか?」

ダートさんの提案により事件の捜査が始まったのだった。


捜査とはいっても、とりあえずは異変がないかを調べることだった。皆がバラバラに探しているようで、なんだか敵を恐れているみたい、、いや、恐れているのだろう。でもなんだろう、この違和感。僕とギア、グラスとあやとりさんは現場検証にいった。とはいっても僕は部屋の中には入れなかった。ギアがずっと横についてくれていた。だからあやとりさんとグラスさんが調査に乗り出した。僕は本当に月なのかを確認させられた。でも間違えるはずがない。うん?なんだろう、また違和感だ。鍵は右手に握られていた。僕はてっきり床にあるのだと思っていたけれど、それは僕お得意の記憶違い、、、、なんだかな、そんなことを言っている気分じゃない。見間違えだ。動揺して記憶が混乱しているのだ。


またリビングに集まった。小一時間の間調査していたのだろうか。

グラス「みんな、これをかけてほしい。」

といってグラスは全員分のグラスを出した。僕も一つ受け取り、かける。

グラス「いまからはVRグラスに私が記録したものをそのグラスに映す。だから、その、志熊君は見ない方がいいかもしれない。現場検証で、これが見取り図。まずはユニットバスだけれど、ここには何もなかった。だから部屋の方だけに集中してくれればいい。そして気になったことがある。それが冷房が入っていたことだ。それも最低温度の-20度にね。とりあえず今も触らずにそのままにしておいている。窓が凍り付くくらいの寒さだ。ほら、窓が白く曇っているだろ。そして窓なんだが、当然殴っても割れなかった。だから、部屋の出入りはドアだけに限られるわけだね。そして月さんが握っていた鍵は間違いなくあの部屋の鍵だったよ。あやとりさんと二人で確かめた。そして月さんには4本のナイフが刺さっていた。背中に3本と胸に1本だね。そしてこのナイフは魔法製だった。4本とも全部魔法物だった。私が見た限りでは毒物は検出されなかったけど、魔法の毒や特殊な毒ならば私のグラスでは確かめようがない。と、まあこんなところだ。」

イヤー「私、少し考えました。そして二つ思いついたことがあります。魔法で密室が作れるのかということです。そして時間的トリックを思い出しました。これは時差を使う方法です。、、、最初に謝っておきます。ダートさんならおそらくできてしまうことなんです。、、、ダートさんは軌道を描いた通りに投げたものをコントロールできます。なのでナイフを4本、月さんが部屋に来る前に投げておいて空中に制止させておくんです。そして一定時間がたったらナイフが動くように軌道を設定する。そうすれば鍵は月さんが中からかけたと考えれば密室の謎は解けます。どうですか?ダートさん。これはできますか?」

、、、、、、、、ダート「できる、だろうね。しかし反論させてもらうとすると、月は部屋の真ん中で亡くなっていた。狙うならベッドじゃないかと思うんだ。だって月が何処にいるかなんて分かりようがないからね。僕の魔法は投げる前に軌道を設定しないといけない。だから設定するならベッドを狙う。そこが確実だからね。」

イヤー「それについて、月さんが部屋に入る少し前にセットしてベッドに向かう前に刺さるように軌道を調整すればいい。」

ダート「いや、ベッドに行くと分かっているならそこを狙う。どこにいるのかわからないなら当てようがない。」

イヤー「はい。だから4本も用意したのではないですか?私、4本は多いと思ったんです。でもしれは部屋を縦横無尽に駆け回るナイフは1本じゃたりなかったから。」

ダート「でもそれにしては4本すべて命中しているな。しかも1本は心臓に命中だ。あとは背中に集中していた。」

、、、イヤー「そうですよね。少し無理があると承知の上でした。貴方にはアリバイもありますしね。すみません。ですが案はもう一つあります。これならどうです?ホールさん。貴方の魔法を教えてください。」

、、、、ホール「私の魔法は穴を開けることです。」

イヤー「そう。そして穴はふさがるんでしたね。ならは単純です。壁に穴をあければいい。」

ホール「待ってください。私の魔法は真下にしか穴を空けることはできません。」

といってホールさんは魔法端末を全員に向けて見せる。

イヤー「いえ、それでいいんです。床に穴を空けられる貴方ならば、こんなことができる。二階から一階に降りるための穴を作ることが。」

あやとり「あ、」

、、、、、ホール「た、たしかにそれならできるかもしれません。でも、でも!」

予知「おいおい、グラス。気づいてるなら答えてやれよ。かわいそうだろ。いいか皆、見取り図を見るんだ。そして現場の真下は何処につながっている?」

アンジュ「あ、私たちのいるリビングですか?」

予知「そう、正解。でもおかしいよね。私とダート、そしてアンジュはずっとこのリビングにいたんだ。さて、ホールは見たかい?」

アンジュ「見ていません。」

予知「そう。だからイヤーの方法は使えないってわけだね。良かったよ。ルールも知らない将棋を一晩中アンジュとやっていた甲斐があったってもんだ。」

嘘つけ。それを読んだうえで将棋を指してたくせに。

、、、、、、イヤー「すみませんでした。本当にごめんなさい。それと、私が思いついたのはこれで全てです。

ネコさん「それで異変調査チームはどうだったかにゃ?」

予知「そうですね。昨日と全く変わりませんでしたよ。」

イヤー「あ、あと、部屋の冷房は死亡推定時刻が分からないようにするためだったと思います。月さんと最後にあったのは誰ですか?」

、、、、僕「、、、、僕、です。」

イヤー「それは何時くらいの事ですか?」

僕「えっと、皆で夕食を食べたでしょ。ほらお寿司とか。それが終わってまっすぐ宿泊施設に向かいました。えーっと時間は、、」

ギア「私が目覚めたのは7時30頃でした。」

僕「あ、じゃあえっと、ざっと8時というところですね。」

イヤー「ありがとうございます。そして月さんの遺体が発見されたのが今朝の7時。つまりこの11時間の間に事件は起こったのですね。あ、8時より後に月さんに会った方はいますか?」

沈黙だった。

この流れで解散となった。


自室に戻る。

隣は事件現場だ。

事件、ゲームマスター、、もしかして連続殺人になるのか?たしか3回勝負と言っていた。そして昨日得られた情報は予知さんは犯人ではないということ。

なんだか、どうでもいいや。僕の責任でもないし。僕は何も悪いことをしていないんだから。

終わった。バレンタインデーも何もかも関係なく終わった。終わってしまった。

ギア「マスター。何か隠しておいでですね。昨日の電話は明らかにおかしかったです。この状況で電話がかかってくるわけありません。マスター、何か知っているのではないですか?」

僕「、、、どうでもいいだろ。そんなこと。もう終わったんだ。いまさら

パチン!!

痛い。叩かれた。ギアにビンタされた。

ギア「月さまが亡くなられて悲しいのは分かります。でも、話してください。私でなくても他の信頼できる方にでも。どうか、お願いします。これを見てください。」

そういってギアは魔法の端末を僕に向けてきた。僕は魔法少女の視界になれるグラスをかけてそれをみる。英語だった。ごめん。わからない。でも、MagicのところにはAliveとかかれていた。

ギア「私の魔法は生きる事。私のこころがある。それが私の魔法なんです。生きているというのは魔法と同じくらい凄い事なんです。」


僕「ギア、、、僕が悪かった。皆をリビングに集めてほしい。」


ホール「人狼ゲーム、、ですか。」

僕は怪しげなあのゲームマスターの事を皆に話した。話してはダメだと言われてはいないので大丈夫だろう。覚悟はできた。いや、僕には守るものがない。だから強気にでられるのだ。

予知「おいおい、将棋までやらせておいて犯人扱いかね?君はもっと人を勉強した方がいいよ。」

まだその話はしていないんだけどな。

僕「えっと、それで質問で貴方は予知さんですかと尋ねたところ違うという答えが帰ってきました。」

予知「それと、本当の人狼ゲームなら私が殺されていたところだぞ。まぁ私は犯人の半中外だからいいけどさ。」

そう。人狼で指定した人が死ぬ危険性があった。だから安全圏である予知さんの名前をだしたのだ。

予知「そうだったのかい。ありがとう、と言っておこうかね。さて、それで私は本当の意味で安全圏にいるわけだけれど、君たちはどうするんだい?ああ、そうだよね。君の意見に従った方がいいよね。」

僕「そう。提案があるんです。皆さんでずっとここにいませんか?僕達が恐れなくてはならないのはこれが連続殺人に発展する事だと思うんです。なのでお互いがお互いを監視、、そう、監視しあう状況を作れば大丈夫。どうです?」

あやとり「私は賛成です。犯人さんが動けなくなるんですからね!」

ダート「それが妥当だろうね」

予知「それじゃあ皆の意見が決まったことだし、さて君、ルールを話したまえ。」

僕「はい。人狼ゲームは夜に殺人が行われます。なので夜が一番危ない。だけど本当に夜だけに起こるか分からない。だから今から皆で一緒にリビングに居るんです。今ギアにゲームを持ってきてもらってます。そしてこの輪から外れる時は1人だけというルールをもうけましょう。2人でも片方が犯人だった場合に手出しができないように思いますけれど、殺人は可能ですからね。犯人が正体をバレてもいいと思って犯行を犯すかもしれない。だから外出は1人だけ可能という事で。今はギアが出ていますけれどそれと同じです。できるだけこのリビングにいる。そしてでたいときは自分一人しか輪からでないように気を付ける。これで殺人は起こらない。起こせない。どうです?」

沈黙

予知「うん、全員意見一致で賛成ということで、それでいいんじゃないかな。よくやったよ少年。」

しょ、少年、、

ギア「お待たせしました。」

といって倉庫からいろいろなゲームを持ってきたギアであった。チェスにオセロにバックギャモン、それと見たことのないようなゲームも沢山、あ、これはマンカラだ。ギアからマスターキーを渡される。ちなみに他の不要な鍵は全てアンジュさんが保管しているとのこと。

グラス「はい。できたよ。英語と日本語の翻訳しか付けられなかったけど。」

僕「ありがとうございます。それで僕は魔法について勉強するために図書室にいって本を持ってきます。」

図書室というのは螺旋階段の右壁の扉、Cと書かれた部屋の事だった。グラスの力を借りて事件解決に必要そうな本を10冊程もってすぐに戻る。長くなると僕が危険になるしね。

僕は本を抱えてリビングに戻ってきた。本のタイトル「悪魔と天使」

僕「これはなんですか?」

グラス「ああ、それは魔族対戦の時のものだね。いまは平和協定が結ばれているからあまり関係ないかな。」

僕「でも、この本には悪魔は天使を殺し、天使は悪魔を殺すと書いてありますけど。もしかして月は悪魔だったとか、そういう説はないですか?」

グラス「悪魔、つまり魔族なるためにはまず魔法少女になる必要があるんだよ。天使も同じで魔法少女じゃないとなれない。簡単に説明すると、魔法少女が素の状態。で、そこから魔族か天使になれるというわけ。一度悪魔か天使になったら元の魔法少女に戻ることはできないとされているね。あ、あとイヤーさんは天使だから天使の事はイヤーさんに聴いた方がいいですよ。」

え?天使だったのか。というか、天使と悪魔、つまり魔法少女の所属する種類みたいなものなのだろうか。それを知ったのが今さっきだったのに天使だと言われても。

僕「イヤーさんとは付き合い長いんですか?」

グラス「いや、この三日月荘で出会ったよ。」

僕「あれ?じゃあなんて天使だと知ってるんですか?」

グラス「悪魔は天使を探知できるんだよ。逆もしかりね。」

僕「。。。。うん?グラスさんは、、、」

グラス「あ、うん。悪魔だよ。」

な、なんだって!

グラス「ちなみに探知できるのはお互いのみで同じ悪魔同士は感知できないよ。だからほかの人が悪魔なのか天使ではない魔法少女なのかはわからない。」

ギア「マスター、知らなかったのですか?」

あれ?このロボットには煽る機能でもついているのか?

ネコさん「あ!それにゃ!!分かったにゃ違和感の正体!!昨日予知は魔法少女が殺されるっていったにゃ!でも殺されたのた田野ちゃんで魔法少女ではないにゃ!」

あ、確かに。いや、でも魔法少女かどうかは、、え?もしかして月って魔法少女だったのか?!いや、でもそんなことは一言も、、

予知「自分が魔法少女であるかどうかは他人には明かさないものだよ。だからもしかしたら月ちゃんは魔法少女だったのかもね。」

僕「もし、もしも月が魔法少女だとして、それで、えっと、そう!月の魔法が密室を作れるものだったら、、、」

グラス「いや、魔法少女で殺されたなら魔法少女の格好で殺されてるはずだ。変身は解けない。ほら、ダートの風邪と同じさ、体は全くの別物なんだ。だから、えーと、月ちゃんが魔法少女だとすると、そして密室を作れるものだとすると犯人を逃がしておきながらさらに変身を解いて犯人に刺されたことになるね。」

僕「うーん、、、、あ、そうだ。もう一つ。この招待状なんですけど、僕と月のカバンに入れられていたんです。これも誰が、、やはり、犯人でしょうか?」

グラス「うーん、今のところそう考えるのが妥当じゃないかな。あ、あと月ちゃんが変身しているところは見たことないから天使かはわからないよ。この中に天使はイヤーさんだけだね。」

僕は次の本に目をやる。魔法は量子力学である。うーんと、よくわからないな、

グラス「ああ、それは今は関係ないよ。魔法がどのような原理で発動しているのかを示したものなんだけど、大学でも学ぶ人は少ない分野だからね。えーとね、この中なら、これかな。私が今一番疑ってるやつ。」

それは影と呼ばれる組織についてだった。

グラス「影というのはね、簡単にいうと悪の秘密結社だよ。魔法を悪用して魔法少女を殺したりしてる敵連中のことだね。まだわからないことだらけなんだけど、アラウンドさんによると今は説明できない目的の為に動いてるんだとよ。記憶を捜査したりなんでもありなやつらなんだけどほら、魔法少女を殺すという点では似てるだろ?もしも月ちゃんが魔法少女なら狙われる可能性はある。変身していないところを狙うのは定石だからね。」

影という組織。魔法を悪用する組織。

僕「影と悪魔は関係あるんですか?」

グラス「今のところは完全にあるとは言い切れないかな。でも繋がってはいるだろうね。多分陰に入っているやつは悪魔が多いんじゃないかな。」

僕は次の本へと手を伸ばす。ランクと階級について。

グラス「ランクというのは最初から決められている魔法のレベルの事だよ。例えば私はBレベルだよ。」

予知「私はAクラスだ。」

別に聞いてないんだけどな。

グラス「ランクはSからFまでの7段階ある。それとは別に階級が存在する。階級は0級から9級だね。初心者は9級。これは特定の魔法試験を突破したり活躍が認められたりすると伸びるもので受ける依頼もほとんど階級で決まる。そしてアラウンドさんはDクラスでありながら0級をとった最初の魔法少女だね。」

僕「彼女の魔法は何なんですか?」

グラス「目を閉じると360度の景色が見えるだったかな。だけど使ってる伝刀が強力でね。それを使いこなせるから0級になったんだ。いまのところ0級になったのは2人だけだよ。」


僕「あの、イヤーさん。あなたは天使だと聴きましたが本当ですか?」

イヤー「うん、私は天使だよ。悪魔なのは、予知さんとグラスさんとあやとりちゃんだね。それが事件と関係あるの?」

僕「いえ、今魔法の勉強中でして。」

あやとり「うーん、こんなときはクルミルクさんかロックさんがいてほしいところだよ。」

僕「それは誰なんですか?」

イヤー「探偵だよ。クルミちゃんとミルクちゃんは双子で探偵、そしてロックさんは単独の探偵。どちらも魔法探偵だね。しかもロックさんは2級だからね。いたら心強いんだろうな。(うん?)

ごめん。ちょっとでるね。えーっと、みんないるよね。じゃあ今から出るのは私だけってことになね。それじゃあね。」

そういうとイヤーさんはリビングから出て行ってしまった。

あやとり「あの、志熊さんは魔法について勉強しているんでしたよね?私でよければ教えましょうか?」

僕「あぁ、うん。頼むよ。」

あやとり「私、今回の事件には魔法が絡んでいると思っています。でも、ここにいる人たちの魔法ではそれはできません。なので別の魔法が絡んでいると思います。たとえばマジックアイテムです。それは本人以外でも、たとえば志熊さんでも扱える魔法の道具のことです。私はあまり詳しくありませんが、もしかしたら密室を作れるマジックアイテムが存在するのかも。あとは、、、その、、疑いたくはありませんが、この中に魔法を隠している人がいる、、とかですかね。つまり偽造です。」

僕「うーん、えーっと、じゃあ考えてみるか。ネコさんは天上にいるところを見てる。予知さんは疑わなくても、いいだろう。レオンさんも透明になるのを見ている。ダートさんも見ている。あやとりさんも見せてくれたよね。グラスさんは僕の要望通りのグラスを作ってくれたからな。アンジュさんはグラスに魔法を移していたから違うよね。あとはギア、あいつは大丈夫。残るのはイヤーさんだね。後で聞いてみるか。」

、、、、あやとり「あの、その、アンジュさんの事なんですけれど、グラスさんのグラスに魔法を移したとのことでしたが、最初から暗視グラスを作っておいてそれをアンジュさんに渡す。そしてアンジュさんは魔法を移すふりをする。それならアンジュさんの魔法は不確定ではありませんか?」

は。そうだ。確かに。僕達にはグラスが空なのかは分からない。アンジュは魔法を入れるふりをした。それなら説明がつくかもしれない。

僕「じゃあグラスさんもグルだと?」

あやとり「そこまではわかりません。でも、これが本当ならそういう事になります。」

犯人の協力者。考えていないことでは無かった。

なんだかな。

僕「あ、そうだ。あやとりさんは陰って組織について何か知ってる?」

あやとり「はい。有名ですからね。例えば、そうですね。例えば治癒さんという方がいます。名前の通り傷を治すのが魔法です。でも彼女には復讐したい相手がいたんです。その人をしばりつけて、その、攻撃をしたんです。死なない程度に。そしてできた傷は魔法で治します。そしてまた傷つける。これの繰り返しで彼女は今でも復讐をしていると聞いています。このように魔法を悪用する人たちを集めているのが影という組織なんです。」

僕「、、、そっか。、、教えてくれてありがとう。」


あれ?イヤーさん帰ってくるの遅いな。


イヤーさんが倉庫で殺されているのが発見された。またしても密室なのだった。


10

イヤーさんが帰ってくるのがあまりにも遅すぎる。それを伝えたらみんなで探しに行こうということになった。そして各部屋を順番に見て回ると、倉庫でイヤーさんが死んでいたのだ。いや、正確に言おう。イヤーさんなのかは分からなかった。なぜなら、彼女は変身していなかったからである。

現場の状況。密室。倉庫は宿泊施設ということで僕達と同じ構造をしていた。つまり、出入りは窓かドアか。当然窓は出れない。ドアには鍵がかかっていた。アンジュさんがマスターキーで空けるまでは。確かに鍵はかかっていた。それは僕も確認した。みんな施錠がされているのかのチェックとしてドアノブを回して鍵がかかっている事を確認してからマスターキーを使うようにしていた。本来のここの鍵もアンジュさんが持っていた。それも確認済み。つまり、鍵を閉めることができるのはアンジュさんだけということになる。第一の事件と同じように。そう。第二の事件が起こった。連続殺人だった。しかも今回は凶器が見当たらない。第一の事件と同じようにナイフが使われたのであろう傷があった。しかし、今回はナイフも何も見当たらなかった。死体は生ぬるくなっていた。

ネコさん「これはどういうことにゃ?!だってみんな一緒にいたんだよね!ね!」

そう。今回の事件も複雑だった。死体が冷えている。それはつまり、殺されてから時間が立っているということ。体温から考えると死後1時間との事だった。そんなことをグラスさんが言っていた。でもそれはイヤーさんがリビングをでてった直後ということになる。でも、その時僕たちは全員が全員を見ていた。監視していた。イヤーさん以外は。全員一緒にいたのだ。でも殺された。今回も前回と同様、後ろからの切り刻み。つまり、事故や自殺ではない。さらに凶器がない。しかも密室。

なんだかな。


皆でリビングに行った。今回はドアを修理することなく、ただ単にマスターキーで閉めてから、鍵をかけてから皆でリビングに行った。

アンジュ「えっと、その。申し訳ありません。」

だれも謝ってほしいことじゃないと分かっていた。それはアンジュさんも同じこと。でも、言えずにはいられなかったのだろう。あぁ、わかった。この違和感の正体。だれも発狂していないのだ。殺人が起こったら誰か一人くらいは籠城するなりと言い出すところだが、だれも、正常だったのだ。異常に正常だったのだ。それが魔法による精神的な強化であることは本に書いてあった。いや、そんなことはどうでもよくて。

ギア「すみません。整理します。皆さんは全員が全員このリビングに居ました。そしてイヤーさんだけがその輪から外れた。そこで殺された。ということで合っていますか?」

、、、、、、、沈黙。それが答えだった。

今回はアリバイ云々ではない。不可能そのものだった。仮に、仮に誰にも見つかることなくイヤーさんと同時に出ていったとしても、密室が残る。凶器の消失が残る。いや、凶器の消失は今回は考えなくてもいいのかもしれない。密室だったのだから、その時に持ち出せばいい。でも、なぜ犯人はナイフを持ち去ったのか。

レオン「あの、すまんけど、俺、部屋に行くわ。」

レオンがリビングを出た。だれも止めなかった。

そして、なんとなくみんなが順に部屋に戻っていった。無理もない。監視は関係なかったのだ。拮抗状態になんの意味もなかった。アリバイも何もへったくれだった。そんな状況なら自分は関係ないと部屋をでるのは当然の事である。


そういう僕もギアと一緒に自室に戻っていた。

電話。また電話だ。

?「私が誰かわかったかな?」

僕はあやとりさんの推理に乗ってみることにした。

僕「アンジュ。」

?「ブブー外れ!!

じゃあ質問だね、どうぞ!」

、、、、、僕「この三日月荘には何人いる。」

?「えーっと、12人だね。もちろん私が殺した人も含めてだけど。あとは君のそばにいるロボットちゃんも含めての人数だね。それじゃあねー」

僕は思った。あの中の誰にも殺人はできなかった。だからあの中にいない人が犯人なのではないか。でもその可能性も消えた。つまり、犯人は僕の知る人物ということになる。


今夜はギアにあやしてもらっても眠ることはできなかった。


11

翌日になった。二つの事件。二日の夜。

コンコン。

ギアが出てくれた。アンジュさんだった。睡眠薬があるからもしよかったら使ってくださいとの事だった。ああ、そうか。魔法少女は眠らなくてもいいもんな。人間である僕を心配して持ってきてくれたのだ。アンジュさんは犯人ではない。この睡眠薬もちゃんとしたものなのだろう。

ギア「マスター。これを使ったらいかがですか?」

いや、そんな気分では無かった。いや、でもしっかりと眠らないといけないのかも知れなかった。白い3つの錠剤だった。3回眠れるということだろう。


なんとなく部屋の外に出てみた。

あやとり「あ、あsの、大丈夫ですか。その、あの、、」

僕「うん、大丈夫。」

あやとり「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

なんとなくギアとあやとりさんと3人で捜査をする事にした。眠る前にやっておきたいことがあったのだ。現場をもう一回見る事。そして目覚めるともしかしたら密室が解かれているのかもしれなかった。

アンジュさんに頼んでマスターキーを貸してもらった。

倉庫にいく。やはり、というか、現場保存という意味で昨日と何も変わらない様子だった。遺体のそばに2つ落ちている物があった。それが普通のスマホと魔法の端末だった。スマホにはロックがかかっており、中身を見ることはできなかった。電話がかかってきたくらいしか、、電話か、、、。魔法の端末については基本的に本人でなければ起動することもできないらしかった。だからこれがイヤーさんの魔法の端末かはわからないのだった。そして刺されている場所もまた同じく前からは心臓、背中に3か所とのこと。これはギアが解析してくれた。

第一の事件現場に向かう。倉庫の横の横なのだが。因みに倉庫の横はレオンさんが泊まっているらしかった。マスターキーを使って開ける。冷房は切られていた。つまり部屋は常温になっていた。誰かが冷房を消したのだろうか。まだそこには月の遺体がある。

僕「あ、」

わかった。ここでの違和感。月はこの部屋の鍵を握っていた。右手に。そう。右手に。だが彼女は左利きなのだ。だからおかしく見えたのだ。いや、でもドアノブが右にあるのだから右手に持っていても別に、、いや、包丁、、かナイフか分からないが、さされているのにまだ鍵を握っているのがおかしいのだ。そう。それだ。それがひっかかった。それともう一つ気づいた事がある。昨日は窓の白いものは冷房による結露だと思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。今でも窓は白くなっていた。縁にそって白くなっていた。


今回得られるのはこれくらいの情報だった。そのあとも色々調べようとしたのだが、眠くなってきた。あやとりさんには悪いが、ギアと二人で部屋に戻った。

睡眠薬を飲む。眠る間に考えていた。第一の事件が起こったのは時間が不明。だけれど二つ目の事件は8時半ごろに起こったと判明している。だから、今回も、、、、今回も殺人がおこるとするのならそれくらいの時間なのかも、、、、、しれな、、、か、、、、、


ドンドンドンドン!!!!

ギアが出てくれた。事件だそうだ。三度目の事件。殺されたのはアンジュさん。ネコさんの仕事部屋で、書斎で殺されていた。今回もナイフが4本。手元にはマスターキーがある状態で。密室で。


12

リビングにて。また会議。

ネコさん「にゃー、、私の部屋はマスターキーでしか鍵がかけられない。あ、外からの話だに、、ゃ、、。」

つまり、今回も使える鍵は一つだけ。それが部屋の中にあった。つまり密室。今回の殺人で使われたナイフも魔法製らしい。魔法製というのは恐ろしいもので、人間にとってのナイフみたいに、魔法少女にとってのナイフという事らしい。魔法少女の体は頑丈だから、普通のナイフではまず傷が付けられないとのこと。だから魔法製のナイフが使われたわけだという事らしい。つまり、計画的。そんなことは分かりきっている事だったけど。でも、これで3回目。そして3回勝負。これがラストということだった。僕は何としてもこの中の犯人を見つけなくてはならない。でないと全滅だ。

グラス「誰か、アリバイのある人っている?」

レオン「ずっと部屋にいたよ。」

あやとり「私は予知さんと一緒、だったと思いますけど、そもそも犯行時刻は何時頃なんですか?」

グラス「、、、、わからない。魔法少女が殺されるなんて事、そうそうないからね。」

そう。今回は魔法少女が殺された。そう。魔法少女に変身している状態で、だ。

予知「まずは発見当時の事を行った方がいいだろうね。」

発見当時。僕は駆け付けた側だからあまり知らなかった。


ネコさん「にゃーが気づいたんだ、にゃ。にゃーの部屋はマスターキーでしか開けられないからアンジュを探したにゃ。でもいなかったんだにゃ。リビングにもキッチンにも居なくて、焦って色々さがしたから順番までは覚えてにゃいけれど、にゃーの部屋しか残ってない状態になったんだにゃ。」

グラス「それはそうだね。私もアンジュを探すのを手伝っていたからね。ネコさんが慌てていて、そして、」

予知「私と合流したんだよね。そこからは簡単だよ。鍵はかかってた。だから殴ってドアを壊したよ。ああ、壊したのは私だよ。そしたらあんな状態でね。あんな状況だったというわけさ。」

あの状態と状況は僕は知っている。アンジュさん。今回も使われたナイフは4つ。前からは心臓を、背中には3か所。刺さった状態で倒れていた。ネコさんがアンジュの遺体に抱き着きながら泣きわめいていた。

予知「ああ、そうだ。ほら、あっただろ、あのクマのキーホルダー。あれも今は血で染まっているけれど、つまり、アンジュの近くにあったんだ。ちゃんと鍵もついてたよ。そしてネコさんがあの状態になってね。そして皆を呼んできて、今に至るというわけさ。」

あやとり「それは本当にマスターキーでしたか?」

予知「うーん、それを拾っていろんな部屋の鍵を回してみたけど本当にマスターに働いたからね。」

あやとり「、、、そう、、、ですか。」

部屋の状況。密室。しかも今回は窓もなしだ。本当にドア一つ。あの螺旋階段の奥の右の扉。そこが唯一の現場の出入り口だった。鍵は確かにかかっていたらしい。最初に確認したのは予知さんとのこと。そのあとでグラスさんも確認している。密室ね。

なんだかな。

グラス「えっと、その話が戻るけれど、、いや、なんでもない。」

、、、、おそらくグラスさんはアリバイについて聞きたかったのだ。話が途中でそれてしまったから。でもそれは第二の事件で確認されている通り、アリバイなんてものはここでは通用しない考え方だったのだ。魔法。やはり論理ではたどり着くことのできない領域。不可侵領域。そういうことなのだろうか。


リビングをでて調査を開始した。といってもほとんど得られる情報は無かった。部屋には本棚があったりしたけれど、どれもなにも、密室には関係なさそうだった。マスターキー。ストラップがついているこれね。ああ、あったなこんなマーク。うん?また違和感だ。


よし。整理してみよう。紙とペンをもって、知っている情報をとにかく書き出す事にした。自室で。

第一の事件。田野月、ナイフ4本、密室、冷房、白くなった窓。

第二の事件。イヤー、変身解除、凶器消失、密室、全員にアリバイがある。

第三の事件。アンジュ、ナイフ4本、密室。

届くのか、真相に。

僕に探偵役は務まるのだろうか。でも、やるしかない。

倉庫はくらいため、暗視グラスを、、暗視、アンジュさんの魔法、、、、暗視グラスをかけることにした。

現場検証に行こうとしたところであやとりさんにあった。

あやとり「あの、その、細かいことかもしれないんですけど、気になってることがあって。その、イヤーさんはどうやって倉庫に入ったのかなって。」

僕「あ、」

確かに。倉庫には僕がいった。そこでギアに出会った。そのあとはちゃんと鍵を閉めた。あのマスターキーで。そしてマスターキーはアンジュさんに返したのだった。いや、そのあとでギアがゲームを取りに倉庫に向かっている。

僕「ギア、倉庫の鍵はどうしたんだ?」

ギア「うん?鍵はかかっていませんでしたよ?」

僕「じゃあ鍵は閉めてないのか?」

ギア「そうなりますね。」

なるほど。じゃあどうやって倉庫に入ったのかは簡単な話だ。鍵が開いていたのだから。でも、問題はそこじゃない。どうして鍵が開いていたかだ。鍵はアンジュさんが管理していた。彼女はスカートの中に鍵を持ち歩いているような魔法少女だった。そうだ。僕達は招かれたんじゃない。だから彼女には僕達が来ることは想定できないはず。なのにあのとき自然と鍵を渡してきたということは、何時も全ての鍵を持ち歩いているんじゃないか?

第三事件現場。

僕「ギア。確認してくれ。」

ギア「はい。、、、、、あ、確かに鍵がありますね、スカートの中に。えっと、これが倉庫の鍵ですね。」

そう。倉庫の鍵も彼女が持っていた。つまり、誰も開錠できないはずのドアが開いていたことになる。なんだか逆密室みたいだ。閉じられた謎ではなく、開けられた謎。

倉庫に向かった。もちろんイヤーさんの物と思われる、いや、イヤーさんだな。12人しかいないん、、、、!あ、、、そうだ、その可能性が、、、。窓だ。この部屋は窓とドアしか出入りができない。そしてさきほどドアの可能性は消えた。だから、窓が、、ギアが手伝ってくれた。


窓が外れた。窓枠ごと。嵌め殺しの窓が開いた。

これだ。これこそが鍵だ。


電話がかかってくる。

最後の電話だ。

?「さーて私は誰でしょう?と、言いたいところだけど、それだと楽しくないよね。フィナーレはちゃんとしなくちゃ。明日だ。明日までに答えをだしてこい。そして全員を集めて最後のゲームをしよう!さて、質問は何にする?」

僕「、、、、昨日言っていた12人の中に僕の知らない人はいるか?」

?「うん。いるよ。いいね、正解に近づいているね。それじゃあ明日で最後だ。私を指定できたら君の勝ち。解放してあげるよ。間違えたら全員死亡。わかったね。それじゃあねー」


わかった。さっきの違和感の正体。マスターキーだ。あれの向きが違うのだ。鍵についているマークは片側だけだった。そして鍵にキーホルダーを付けるのには実は2通りある。それが事件前と事件後で向きが変わっていたのだ。これがドアなのだ。

ピースは揃った。これでいける。

睡眠薬を使い、明日に備える。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

読者への挑戦

さて、どうも作者のルナです。さあ情報は全て与えました。

誰が犯人なのか。どうやって事件を構成したのか、あなたには推理できますか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


13

皆をリビングに集めた。これで最後。最終議論。1人を選択する。それだけ。

探偵皆を集めてさてと言う。

僕「さて、事件の真相がわかったので今からご説明いたします。」

大丈夫。しっかりと寝むれた。大丈夫。大丈夫。

僕は説明した。電話の内容、倉庫の鍵の問題。そして真実に向けて手をうつ。

僕「倉庫のドアは外からでは開けることはできませんでした。なのでドア以外の処からあのヘアに入るしかありません。だから犯人は窓を使った。犯人は窓から倉庫に入った。そしてドアから出たんです。なので鍵は開いていたんです。

ホール「えーっと、それだと犯人は自由に出入りできたってこと?」

僕「正確には違います。この館には脱出する方法が二つあったんです。それが倉庫の窓と、月が泊まっていた部屋の窓です。」

予知「いいね。面白いね。」

僕「そう。最初の密室は単純だったんです。窓から出ればいい。それだけなんです。あの窓は嵌め殺しだけれど、窓枠ごと外せたんです。だから犯人は外に出ることができたんです。そして倉庫の窓からまた屋敷の中に入った。それが第一の事件の真相です。」

ダート「うーん、あ、もしかして窓が白いのって、」

僕「そうです。接着剤です。接着剤を使うと周りが白くなる。だからあの窓は白くなっていたんです。それを隠すための冷房です。でもこれはバレても問題はなかった。だからあんな粗末な密室になったんです。

そして第二の事件。あれで殺されたのはイヤーさんでした。いや、イヤーさんの人間の時の姿ですね。そう。その変身解除に鍵はあったんです。ダートさん、風邪の時の話を覚えていますよね?」

ダート「ああ、風邪が治らなかったってやつか。」

僕「そう。つまり変身とは体の交換です。全く新しい体になる。これが鍵なんです。結論を言いましょう。イヤーさんは事件より前に亡くなっていたんです。」

ネコさん「え?ちゃんと生きてたにゃ!」

僕「それは魔法少女の体の事です。つまり、本当の体はとっくに致命傷を負っていたんです。それが変身解除によって再発した。だから凶器も存在しないし、だれも犯行現場に行かなくていい。」

あやとり「でも、致命傷だなんて負っていたら変身なんて解除しませんよ!」

僕「忘れられていたのでしょう。犯人に。確か、影という組織は記憶操作も行える、そうでしたよね。」

グラス「あ、確かに。でもなんで変身を解除したの?」

僕「それはイヤーさんの魔法が関係しています。おそらくですけど、最初にイヤーさんのスマホにメールが来た。僕の電話と同じで犯人にしか使えない回線で送ったのでしょう。そしてその通知音がイヤーさんには聞こえた。だって彼女は耳がいいんですからね。多分、名前を扉を閉めろと言名前でメッセージが送られた。だから彼女は倉庫の扉を閉めた。ああ、スマホは倉庫に置いてあったんですよ。そしてその通りに行動した。なぜなら電話がかかってきたから。

そして彼女は電話に出たんです。さて、どうやって電話にでるか。このとき、スマホのパスワードは変えられていたのでしょう。だから彼女は指紋認証を使うしかなかった。そう、人間の時の指紋を。」

あやとり「だ、だから変身を解除したんですか、、、」

僕「はい。そして変身を解除するためにもっていた魔法の端末と彼女のスマホが残される状態にあったんです。たぶん影という組織は彼女の人間の姿に致命傷を負わせた。そして魔法の端末を渡して変身させた。わざと魔法少女にしたんです。そしてその記憶を消した。そんなところでしょう。」

グラス「事件の犯人は影のメンバーだと?」

僕「たぶん。もしそうでなくても記憶操作ができれば誰でもいい。そして第二の事件は起こった。全員にアリバイがある状態で。

そして第三の事件です。これは鍵のすり替えです。僕達は鍵の形をよく覚えていない。そんなに注意深く見ないですからね。だからストラップがついていればそれがマスターキーだと錯覚するそういうことです。」

ホール「でも、予知さんが調べた限りではちゃんとマスターキーだったよ?」

僕「はい。事件後は本当にマスターキーだったんです。でも事件前は違った。別の鍵がついていたんです。予知さんが見たのはその偽物の鍵です。そして犯人が本当のマスターキーと入れ替えた。そう、アンジュさんの遺体に近づいたときに。

そうですね、ネコさん、、、、、」

、、、、、、、、、、、、、


ネコさん「ち、違うにゃ!私は何もやってない!!」

僕「マスターキーのキーホルダー、このクマですね。これが逆になっていたんですよ。それはマスターキーからキーホルダーを外した証拠です。そして、この事件は館の主でる人にしか起こせないんですよ。まずはイヤーさんと僕達をこの三日月荘に呼ばなくてはならない。そして鍵が古いタイプで無ければならない。嵌め殺しの窓が外せなければならない。しかも2か所です。そしてマスターキーに近づいたのはネコさんが最初だ。その時でなければ鍵を交換することができない。だってネコさんに気づかれてしまいますからね。あの状況で他に鍵に手をだせる人物はいなかった。だからネコさん、あなたなんです。」

ネコさん「ち、ちがうにゃ!えっと、えーっと」

僕「もう終わりにしましょう。」


僕は宣言する。最後の勝負。事件の真相。


僕「犯人はおまえなんだろ?月!」


14

僕は宣言した。犯人は田野月であると。宣言した。これでゲームは終わり。


ホール「え、えっと、どういうことですか?月ちゃんは最初に殺されて、、」

僕「あれはフェイクですよ。死体の偽装です。ほら、月って左利きなんですよ。なのに鍵を握ってるのは右手だった。おかしかったんです。」

ホール「でもそれだけじゃ、、」

僕「あとはそうですね。ほら、最初の食事の時、全くしゃべらなかったでしょ。あれは入れ替わりが露見しないようにしていたんです。ほら、いたじゃないですか他の人になり済ませられる人が。」

グラス「、、、、変身さん、ですね、、、、」

僕「そうでしたかね。ま、別に誰でもいいんですけれどね。」

あやとり「えっと、いつ、何時入れ替わったんですか?」

僕「そうだな。順を追っていくとこうなるね。最初の電話が車では確かに本物の月だった。そして電話が終わって待っていたのは偽物だった。僕が倉庫に行くまでも偽物だった。だから喋れなかった。そしてほら、倉庫に言っている間に月が席を立ったでしょ。それもネコさんと同時期に。その時に入れ替わった。」

あやとり「ちょっと待ってください!つまり月さんの正体は、、」

僕「ネコさんだよ。

ネコさんは魔法を見せる必要があった。だから最初の電話の時には入れ替わっていた。荘じゃないと壁を登れないから。だから月が偽物だった。いや、変身さんが月になり替わっていたんですね。そして僕が倉庫に言っている間に今度は変身さんがネコさんになり、月はネコさんの変身を解除する。そうすることによって入れ替わった。あとは、そう、事件の時ですね。もう一回変身さんを月に変身指せたんです。そこで殺した。アンジュさんは殺されてもその格好のままだったし、暗視グラスは使えていた。つまり変身していても魔法は消えないんです。それは変身さんも同じなはず。おかしいと思ったんですよ。月の体にはナイフが4本も刺さっていた。4本も。ただの人間を殺すのにこんな数はいらない。それもひっかかった。そして予知さんによれば殺されるのは魔法少女。なら簡単な話です。魔法少女が殺されている。だからナイフも4本必要だった。

ついでに言っておくと、変身さんを殺してから倉庫の窓にどうやって行ったかなんですけど、あれはもうわかってますよね。ネコさんの魔法は壁を歩くこと。だから単純に歩けばいい。それくらいの時間が無いと接着剤も塗れない。あ、ほら、最後の電話での質問、他の魔法少女がいるって話。あれもヒントでしたね。まぁ思いついていたので聞いたんですけど。あのヒントは重要だった。他の魔法少女がいる。それなら入れ替わりがないとおかしい。だから入れ替わる人を探してみても、やっぱり月とネコさんしかいない。

まぁ、そんなところでそんな感じです。細部は自分で考えてください。」


ネコさん「はーちゃん。やるね。面白かったよ。」

そういうとネコさんは指輪をはめた。青い宝石が光っている指輪だった。

変身解除。そこにいたのはやはり月だった。

あぁよかった。僕の知っている月だ。

ダートさん、クナイを月に投げる。

あやとりさんは髪の毛などを掴もうとしてなのか、月に手をかざしていた。

しかし、クナイは弾き飛ばされ、あやとりさんの魔法も発動していないみたいだった。

月「面白かったでしょ?」


15

パチン!!!!

ギアに叩かれた。

ギア「マスター。あれはないですよ。あんな自殺行為。」

僕「マスター権限だ。もう俺に暴力をふるうな。」


そう。僕の推理は穴だらけだった。例えばそう、入れ替わりはイヤーさんでもできた。だって変身が解除されていたのだから誰の死体でも運用可能だった。死体が月の言っていた人数に含まれているのかも知らなかったし。

ギア「あの推理は月さんが生きていると仮定したうえで成り立つものです。もしも月さんでなければ、ネコさんを指定していたら、」

僕「損なのに価値はないんだよ。」

君は何の為に生きているのかと聞かれたら僕はこう答える事にしている。

念の為だと。

人間が生きる理由なんてその程度のものだし、結局はその程度でしかなかった。

つまり、月が居ない人生に価値はない。だから、月が生きていないのであれば全滅を、月が犯人であってくれるのなら生存ルートを選択した。

結果は生存ルートだった。めでたし。めでたし。

ギア「もう二度とこのようなことはしないでください。」


なんだかな。


因みに、もう一度ネコさんに変身した月は屋敷の窓ガラスを割って逃亡した。

どうやらもう閉鎖は無くなっていたらしい。まぁ、もともと完全な閉鎖では無かったのだが。


僕「予知さん。あんた月とグルなんでしょ。というか、あなたは予知なんて名前じゃない。たとえば、ロックなんてどうです?あの名探偵と呼ばれているロック。」

ロック「見事なものだね。まさか気づかれるとは。」

僕「まぁ、予知なんて結構外れていましたからね。閉鎖もされていなかったし。」

ロック「そう。月は私の仲間だよ。影のね。だから計画は知らされていた。でも、どうして私だと?」

僕「まず疑似閉鎖空間を作れる人が必要だった。そして真っ先に思いついたのがロックという魔法だった。つまり閉鎖を意味する、鍵を閉めるのが魔法のね。そして実践的な魔法の人はロックではない。だとするとあんただ。」

ロック「ほう。で、どうするんだ。」

僕「聞きたいことがある。月はどこにいった。」

ロック「そんなの家に帰ればいいだけの話なんだけどね。あ、ちなみに私の職業分かる?」

僕「知りませんよそんなこと。」

ロック「メンタリストだよ。結構上手いこと行ったと思ったけどなー」


家に帰る。

当然のように月が居る。

ネコさんに変身した彼女は渡すものがあるらしい。

月「はい。これははーちゃんのだよ。」

渡されたのは魔法の端末だった。

月「変身したいと思ってごらん。」

すると僕の体が一瞬だけひかり、僕は魔法少女になった。変身した。

月「おめでとう。よろしくね、ウィッシュ。」

ウィッシュ。それが僕の名前らしかった。

魔法。願い事が叶う。Sランクだった。


翌日魔法の端末に招待状が届いた。

また招待状か。嫌な、いや、面白い気分しかしないな。

えーっと、たのしんでください、か。

これは面白くなりそうだ。


THE END 魔法少女物語ー2099

さて、次回作はもう決まっています。もちろん推理物です。でも次次回作をどうしようか。いろいろな話がありすぎてどれにしようか迷いますw

ではではー。読んでくれてありがとうございます。

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