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折り畳み傘

作者: 非和田 銀

ある日の放課後、学校の最寄り駅に着いたところ、人身事故で電車が止まっていた。動き出すまでファミレスにでも入ろうとするとクラスメイトのAに声をかけられた。

正直なところ俺はAと大して親しくなかった。Aはいわゆる文武両道で、性格も誰にでも分け隔てなく親切なため、教師の覚えも良く、友人にも慕われていたが、俺はそんな完璧な男に胡散臭さを感じていた。

うっかりファミレスへ一緒に入ることになったが、親しげに話しかけてくるAに対して俺はその微妙な感情から愛想良く応えることもなく、やがてAの話題もなくなり気まずい時間となった。やっぱり別々に行動したほうがよかった。話すこともないので、俺は外で葉影が揺れているのをじっと見ていた。

気まずさが限界を迎え、電車も動き出して店を出たところ間が悪く大雨が降り始めた。Aは鞄から折り畳み傘を取り出した。こんなところまで完璧なのかと苛ついたので思わず、お前折り畳み傘なんて持っているのいけすかねえなと口に出してしまった。するとAは見たことがないような、まさに鳩が豆鉄砲を食ったような間抜けな表情になった。俺はうっかり笑ってしまった。駅までの20メートル程の道を、小さな折り畳み傘を2人で使って步いた。

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