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瑛梨香…心のうち

良平が、私と距離を置くようになったのは、婚約が決まってから。

中学に上がった事もあって良平とは、あまり遊ばなくなった。

でも、通学は一緒だったし、学校で会ったら会話が弾んだ。

だけど…

文彦さんとの婚約を承諾してから、良平は私を避けるようになった。

話しかけても、はぐらかされるだけだし…

それでも登下校は一緒だった。

会話の成立しない会話。

私が一方的に話しかけるだけ。

良平はいつも

『あぁ』

とか

『うん』

とか、曖昧な返答しかしない。

文彦さんとの婚約…嫌だった?

でも、あの時

『おめでとう』

って笑ってくれたじゃない?

もしかして、文彦さんに気を使っているの?

そんな必要ないよ。

だって、文彦さんと良平は兄弟なんだし、私達、義理の姉弟になる訳だし。

仲良くしたいじゃない。

良平は、私の気持ちも知らないで、距離を置いている。

どうしてなの?

それを考えると胸が痛くなる。

私は、良平と仲良くしたいのに、良平はそれを望んでない。

そう思うと胸が痛くなる。

良平、私の事…キライになった?

兄と婚約しながら、弟にベタベタしている私を軽蔑している?

不安が大きくなる。

私は、良平と仲良くしたいだけなのに…



何故、こんなに胸が痛いんだろう?



今日も良平は、生徒会の仕事で生徒会室にいる。

生徒会長になってから、ずっと

『生徒会の仕事があるから』

と言って、一緒に帰ることすら避けられている。

だから、せめて登校だけでもって思って、精一杯早起きして大野家に向かっている。

でも、良平は迷惑そう。

お兄さんの婚約者だから、邪険に出来ないんだろうな。

だけど、私は少しでも良平と話をしたいし、仲良くしたい。

だって、文彦さんと結婚したら、あの屋敷に入るんだよ。

ギクシャクしていたら、祥子さんや文彦さんを心配させる。

あんな、いい人たちを困らせるなんて出来ない。

だから、私、頑張らないと。

良平と仲良くなって…

これからもいい姉弟になって…

そう思っていた。




でもね、私は何も知らなかったんだよね?


あなたが、私を避ける理由が…


私の為だったなんて


知らないで


その時は必死に、距離を縮めようとしていた。



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