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告白 2

私は、深呼吸して

「私ね、ずっと文彦さんに憧れていた、と思う。それを恋とかそういうのと勘違いしていたの」

と、話を切り出す。

文彦さんの名前が出て、一瞬眉を顰めたけど、黙って聞いていてくれる。

「でもね、私、気付いたの。それがただの憧れだって。文彦さんが被っていた仮面に憧れていただけって。でね…」

そこで黙ってしまう。

「何?」

良平が首を傾げる。

「でね…」

私の声が小さくなる。

がんばれ、私!!

「私が本当に好きなの…」

言葉に詰まる

「好きなのは…」

続きが言えない。

もう少しだ!!

「…良平なの」

小さい声で告白してしまった。

固まっている良平。

「えっと…聞こえてなかった?」

確認するように聞くと、良平は首を横に振った。

恥ずかしい!!

恥ずかしいよぉ!!

「言いたい事それだけ…じゃあ…」

そう言って去ろうとした…けど。

「瑛梨香!!」

名前を呼ばれて、腕を掴まれて、そして、ベッドに押し倒される。

「…良平?」

目を丸くしている私。

真っ赤になっている良平。

「嘘だろ?」

良平の口から漏れた言葉。

「嘘じゃないよ!!」

私はムキになって言う。

良平は、私を抱きしめてから

「瑛梨香…好きだよ」

耳元で囁いた。

え?今、何と?

今度は、私が固まってしまう。

「ずっと、転校してきたあの日から、瑛梨香の事しか見ていない」

良平の言葉に涙が零れる。

「アイツ等に、ヒドイ目に遭わされても、ここに残っていたのは…」

そこで言葉を切る。

「瑛梨香に会いたかったら」

涙は、加速されていく。

良平は、その涙を唇で拭う。

「良平…」

「瑛梨香…」

私達は、唇を合わせた。

8年間の想いが…

やっと…

叶った…

しばらく合わせていた唇を離すと

「俺…すんげー嬉しい」

良平が、照れくさそうに笑う。

「…うん」

私も、何だか照れくさい。

お互いの額をコツン、と合わせる。

「夢じゃないよな?」

まだ、信じられない様子の良平に

「夢じゃないよ」

私は、笑いながら答えた。

良平は、真顔になり

「絶対に、幸せにするから…」

そう言ってから、もう一度キスを落とす。

良平…もしかして…震えている?

「やべ…俺、すっげー緊張してる」

それを口にする良平に

「何、緊張してるの?」

私は、可笑しくなってしまった。

良平は、そんな私を、何やら残念そうに見ている。

えっと…私、何かしましたか?

良平は、しばらく私を見つめてから

「まぁいいか…」

そう言ってから、私から体を離す。

私を起き上がらせて

「近い内に…会いに行こうと思う」

徐に言う。

“会う”って誰に?

「文彦」

短い言葉に、私は何も言えない。

「どうして?ヒドイ目に遭わされたのに?」

どうして?と、もう一度言おうとした言葉を飲み込む。

「反省…してないみたいだって…聞いたよ」

噂…だけどね。

良平は、頷いて

「全く反省してないって。無罪を主張している。二人ともね」

少し呆れているようだ。

何か、怒りが沸々と…

「瑛梨香が怒る必要ない。俺も、アイツ等のした事、許していないよ」

そう言ってから

「でも、文彦には、ちゃんと話しようと思うんだ」

「何で?また…嫌な思いするだけかもしれないよ」

私の必死の訴え。

また、良平が傷ついてしまう。

「あんな奴でも、半分は血が繋がっている兄なんだよ。それに…」

良平は、まっすぐ前を見据えて

「ちゃんと、瑛梨香を幸せにするって言わないと」

そう言った。

私は【何で?】的に首を傾げる。

良平は、笑みを零し

「分かってないなら、いいよ」

と、言ってから

「さ、俺も休んでいた分、頑張らないとな」

そう言って背伸びする。

「私も頑張る…出来るなら、同じ大学行きたいから」

私の言葉に良平は、少し顔を赤らめる。

「じゃあ、ビシバシ鍛えないとな」

意地悪そうに笑う。

う…確かに、今の成績じゃ無理かもしれない。

でも、頑張るよ!!

良平と一緒にいたいから…

頑張る。


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