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告白 1

良平は、みるみる内に回復した。

でも、まだ安静が必要なようで、入院している。

学校では、その間に生徒会役員選挙が、執り行われ

良平は、もう生徒会長ではなくなった。

私は、毎日のように良平の元を訪れて、学校の話をしている。

最初は、声が上手く出なかったけど、今じゃあ

『お前、しゃべりすぎ』

なんて呆れている。

そんなこんなで、良平はもうすぐ退院だ。

でも、大野総合病院は…

もうすぐ人手に渡る…

理由は、もちろん、文彦さんと祥子さんが起こした不祥事。

病院のイメージを著しく落とした…と、理事会でも話題に上がっている。

小父さまは、黙ってそれを聞いているだけだ。

そのうち、院長の席から外されるだろう、と言っていた。

だけど、ちゃんとした方に病院を託したい…と今は、様々な方面に手を回して、新院長に相応しい方を選出している。

病院名も変わるだろう。

小父さまは、黙って自分の罰を受ける、そう言っていた。

小父さまは、良平への虐待を知っていた。

だけど、祥子さんへの…浮気をした後ろめたさから見て見ぬふりしていた。

良平のお母様とは、本気だったようだ。

その為に、祥子さんとは離婚するつもりだった。

でも、祥子さんはそれに応じず…

良平のお母さんは、良平を身籠ってしまったらしい。

それもあって、離婚をしようとしたのだけど…

結局、良平のお母さんが身を引く形を取って、事態を収束させた。

嫉妬深い祥子さんは、良平のお母さんの居場所を突き止めては、その穏やかな生活の邪魔をしていた。

小父さまは、良平のお母さんが亡くなるまで、そんな事は知らなかったらしい。

そして、良平のお母さんが亡くなると

『あなたの息子だから、引き取りたい』

と、しおらしく言う祥子さんに騙され…良平を屋敷に招き入れた。

だけど、祥子さんは、良平を可愛がるどころか、虐待を続けていた。

小父さまは、止めようとしたが、祥子さんは言う事を聞かず…

文彦さんまで、良平を虐待するようになった。

小父さまは、諏訪さんに命じて、良平を守るようにしたけど…

祥子さんの虐待は、陰湿で、もう誰にも止められないレベルに達していた。

小父さまは、浮気した後ろめたさから何も言えなかった。

だが、その時、ちゃんと止めていたら…

そう後悔している、と言っていた。

今は、文彦さんも祥子さんも留置所にいる。

どちらも、無実を訴えて、反省の余地がない…という。

屋敷の人間の証言も、でっちあげだと主張している。

でも、たぶん、有罪になるだろう。

そうしないと、8年間の良平の苦労が…

水の泡になる。

でも、どうして良平は、8年間も堪えていたんだろう?

どうして…?

あんな扱いや暴力を受けて、どうして逃げなかったんだろう?

もしかして、逃げられない事情でもあったのかしら?

アテになる親族がいなかったのだろうか?

でも、養護施設だってあるよね?

疑問だけが頭をよぎるけど…

やっぱり本人に聞くのがいいよね?

そして、今日は良平の退院日。

私は学校があるので、お迎えは出来ない。

代わりに諏訪さんが、出迎えに行く、と聞いている。

学校帰りに寄ってみよう。

あ、でも、まだあの部屋かな?

そんなの可哀想だよ。

「ねぇ…ちゃんと告白したの?」

孝子の問いに、私は首を横に振る。

「退院したらって決めてる」

私が答えると

「ふうん…」

と呟いてから

「ま、今日が退院だし、上手くやりなよ」

孝子が背中を叩く。

「頑張りな」

陽菜まで背中を叩く。

…痛いんですけど。

放課後が待ち遠しい。

その日の授業には、もちろん身が入っていませんでした。


息を切らせて走ったので、門の前で深呼吸をする。

インターホンを押すと

『はい』

いつもの単調なメイドさんの声がする。

「あの…澤部瑛梨香です」

私が言うと

『瑛梨香様、どうぞお入りください』

そう言われて、門が開く。

深呼吸を、もう一度して中に入る。

胸が高鳴っているのは、たぶん、これから告白するから。

たぶん、今の私の顔、変だろうな…

「瑛梨香様、ようこそいらっしゃいました」

少しだけ、メイドさんの愛想がよくなった気がするのは気のせいかな?

メイドさんに連れられて案内された部屋は、以前の部屋じゃない。

ドアの鳴らして

「良平様、瑛梨香様がいらっしゃいました」

と告げる。

『どうぞ』

良平の声がした。

中には、ちゃんとした部屋、家具、ベッド。

きちんと、揃えられていた。

「…瑛梨香」

ベッドから起き上がって、参考書を読んでいる良平。

「では、失礼いたします」

メイドさんが去ると

「座って」

ベッドの脇にある椅子を勧められて素直に座る。

「退院、おめでとう」

私が言うと

「ありがとう」

と、言う。

良平自体が、この部屋に戸惑っているようだ。

まぁ、今までが、あんなひどい部屋だったしね。

戸惑うのも仕方ないよね。

それは、いい。

いいのよ…

そうよ、ここに来た目的を忘れていませんか?

そうだ、私は今から

「「あの…!」」

同時に声をかける。

「何?」

私の声に

「瑛梨香こそ何だよ?」

良平が聞き返す。


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