表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/42

文化祭の後処理

お母さんと一緒に保健室に行った。

その後、ずっと私は注目の的になっていた。

皆が私を見て、何か囁き合っている。

噂の恰好の的だろうな…

だって、仁徳者とされていた先々代の生徒会長が実は…って言うんだもの。

私は、襲われそうになったんだものね。

居たたまれなくなって逃げ出しかったけど

現実って、そういうのを許さないんだよね。

しっかり、文化祭が終わるまで、学校にいました。

そして、今はキャンプファイヤー。

皆、昼間の騒ぎは、どこへ行ったのやら…

文化祭で使った燃える物を焚き火にくべている。

燃えない物は、明日業者さんが取りにくる…と思う。

明日は学校が休みだけど、たぶん良平は登校してくるんだろうな。

生徒会長だもの。

最後の仕事だもの。

文化祭が終われば、生徒会役員選挙が執り行われる。

それが、終われば、もう良平は生徒会長じゃなくなる。

一介の生徒。

受験生。

そういや、良平どこの大学受けるつもりなんだろ?

成績いいからなぁ。

出来れば、一緒の大学に進みたいな。

でも、それって迷惑かもしれない。

そう思うと、胸が重い。

でも、私決めたんだ


【ちゃんと、自分のキモチを告白する】


って…

良平には迷惑かもしれないけどね。

だって、良平、私に冷たいし…

あの…強姦に襲われそうになったのを助けたのは、生徒会長だからだし…

私、ずっと、文彦さんの事を無邪気に話していたから、すごく嫌な思いさせたし…

きっと、良平は…

私の事なんてなんとも…

思ってないよね?

でも…それでも、私は期待してしまう。

あの時の抱きしめてくれた、あの時の事を思い出して

もしかしたら…なんて考えてしまう。

分かっている。

きっと、夢をみていたんだって。

良平は…私の事なんて…

きっと何とも思ってないって。

分かっているのに…

期待してしまう私がいる。

キャンプファイヤーの炎が瞳に映って揺れる。

「何、たそがれているわけ?」

孝子が顔を覗き込んでくる。

「…別に」

そっけなく私は答える。

【私は良平が好きです】

なんて、言えない。

だって、孝子のお姉さんを傷つけた人間の腹違いとはいえ弟だもの。

言えるハズがない。

「もしかして…会長ドノの事でも考えていたのかな?」

陽菜が、図星をついてくる。

「…そんな事、ないわよ」

とりあえず、否定してみる。

「またまたぁ、無理しちゃって」

陽菜が無邪気に言う。

だから、孝子の前で、そんな話しないでよ…

孝子、大切な親友なんだから。

「ねぇ、瑛梨香」

孝子が、真顔で

「どうして会長に告白しないの?」

ダイレクトに聞いてくる。

思わず咳き込んでしまう。

「な、な、な…」

【なんで?】という言葉は、上手く紡げない。

「何でって、見れば分かるわよ。瑛梨香が会長の事好きだって事ぐらいは」

孝子は、気付いていたんだ。

私が良平を好きだって。

「自分の気持ち…気付いてなかったもんねぇ」

陽菜が、笑いながら言う。

「だって…私は…」

「あの悪魔と婚約していたから?」

文彦さんを【悪魔】だなんて…孝子、言うわね。

「あいつの被っている善人面した仮面に、騙されていたから?」

さらに、突っ込んできますね、孝子さん。

「ずっと、瑛梨香は会長の…大野の事、見ていたんだよ。昔からね」

孝子に言われて、改めて自分の気持ちを確認する。

そうだ、あの日…

良平が転校してきた、あの日から…

私は、ずっと良平が好きだったんだ。

でも、私は紳士的な文彦さん(それが仮面だと今更分かる私)に憧れて

それで、良平への気持ちを、勘違いしていたんだ。

本当は…ずっと…

私は良平の事が好きだったんだよね。

口元が緩む。

「じゃあ!早速!告白と行きますか!!」

そう言って陽菜は私の背中を叩く。

「このキャンプファイヤーに紛れて、奴に告白する女子が倍増しているからね」

孝子の言葉に

「一緒にダンスを踊ってください、的に?」

陽菜が同調するかのように言う。

だけど、私は首を横に振る。

「いい…」

私は言った。

「何で?」

陽菜の問いに

「だって…なんか嫌だ…流されてるみたいで…」

私は答える。

二人は、プッと笑い

「確かに、そうだね。告白は、ちゃんとしたいよね」

孝子は、そう言う。

「だから…明日…たぶん、良平、学校にくるだろうから…」

私の言葉に二人は頷いた。


だけど…


良平が…


次の日に学校に来る事はなかった…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ