瑛梨香の日常ー良平の心の中ー
俺の心―良平サイド―
いつもながら、瑛梨香は無邪気だ。
何も知らないで、笑っている。
知らない方が幸せな事がある。
あの事だけは、瑛梨香に知られたくない。
誰の為じゃない、瑛梨香、お前の為に。
でも、このままいけば…
本当は、教えたい。
アイツ等の本当の目的を。
そうすれば、瑛梨香を助ける事が出来る。
だけど、それは瑛梨香を傷つける事になる。
今まで信じていたモノを根底からひっくり返す事になる。
あの事を知っているのは、俺の他にもいる。
そいつらも、瑛梨香の事を思って黙っている。
瑛梨香は、いつも幸せそうで…
でも…このままいけば…
情けないな…俺
守ってやりたいのに、守る方法が見つからない。
俺は…瑛梨香…お前が好きなんだ。
この想いは、叶う事はない。
お前は、アイツの婚約者なんだから。
分かってる。
諦めないとならない事ぐらいは。
あの事を教えれば、瑛梨香は俺を見てくれるかもしれない。
でも、そんな卑怯な真似はしたくない。
傷つく瑛梨香を見たくない。
…結局、俺の為なんだよな。
俺が、瑛梨香を傷つけたくないから、傷つく瑛梨香を見たくないから黙っている。
本当、俺ってヘタレだよな…
今日も無邪気に笑う瑛梨香。
その笑顔だけは、これからも守ってやりたい。
たとえ義姉弟となったとしても…だ。
「ねぇ、どうしたの?」
無邪気な顔して瑛梨香が俺の顔を覗き込む。
近すぎだっての。
俺の心臓、バクバク言うから止めてくれよ。
真っ直ぐ俺を見つめる眼差し。
「別に、何にもないよ」
俺は、そう答えてから、学校へと足を向ける。
ちょっとふてくされた瑛梨香が見える。
「もう!!何でそう仏頂面なのよ!?」
瑛梨香の問いに
「別に…普通だって」
俺は、いつものようにぶっきらぼうに答える。
余計にふてくされる瑛梨香。
その表情の一つ一つが愛おしい。
でも、俺の想いは、叶わない。
分かっているさ。
分かっているのに、俺は未だに瑛梨香を諦めたくない。
女々しいよな…俺。
それに、アイツにだけは瑛梨香を渡したくない。
どうしても、アイツ…文彦にだけは。
でも、二人の婚約は、決まっている。
アイツがドイツから帰国したら、結婚する。
そう決まっている。
アイツが、どうして国内の大学に行けなかったのは知っている。
それを告げれば…瑛梨香は…傷つく。
だから…言えない。
せめて、心の中だけでも瑛梨香をいっぱいにしていいか?
瑛梨香…好きだよ…
初めての投稿に緊張しております。
長ーい目と広ーい心で、見守っていただけましたなら、嬉しいです。
まだ書き始めなので、感想は何とも言えないとと思いますが、何か文面などに不備などがありましたら、ドシドシ言っていただけますと、それが糧になります。
よろしくおねがいします。