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その頃ー屋敷の外で
短いので、早めにアップしました。
その頃―
スーツ姿の男達が二名、大野家の屋敷を眺めながら何か話している。
鋭い目つきは、何もかも射抜きそうだ。
小声で聞き取りにくいが
『…必ず…こを…』
とだけ聞こえていた。
一人の男がたばこをくわえる。
ライターの火が二人の顔を微かに照らす。
30代半ばと40代半ば…という印象を受ける。
『と…く、し…をつ…う』
小声で話す彼らの声は、誰にも聞こえない
通行人がやってくると、彼らは動き通行人のフリをしている。
そうやってやり過ごしながら、彼らは大野家を監視している。
「屋根裏の電気がつきましたね」
30代の男が言うと
「あぁ、情報によると、あそこは物置だと聞いているが…」
40代の男が答える。
「こりゃあ、相当裏がありますね…なにせここの次男は…」
「シッ…それ以上言うな、誰が聞いているのか分らないからな」
40代の男に制され
「そうでした」
30代の男は、反省したように呟く。
「あの事件は、まだ解決していない。彼女の訴えを無駄にしないようにしないとな」
決意を込めた声を40代の男は漏らした。