二人目は攻めて行く。
「そんなの、駄目に決まってるでしょ!」
告白を受けた矢先声を発したのは瑞季だ。
「瑞季ちゃんには聞いてない。春斗君に聞いてる」
「そんなの私が許すわけ無いでしょうが!」
「なんで?二人は付き合ってる訳じゃ無いんだよね?」
「そうだけど駄目なものは駄目!幼馴染として許さない」
「私と付き合うかどうかは春斗君が決める。瑞季ちゃんは関係無い」
どうやら引き下がるつもりは無いらしい。
「今すぐ返事が欲しい訳じゃない。学校は一緒だから好きなときに返して欲しい。でも、出来るだけ早いと私が嬉しい」
「わ、わかった」
「私のこと沢山教えてあげる。覚悟して欲しい」
すると楓は最初いた場所まで戻った。
「それじゃおいとまさせてもらうよ」
「春斗君、また、学校で」
そう言うと帰っていってしまった。
「えーと、瑞季、じやあ仕事にもどるから‥‥‥」
「ちょっと、一緒に来て。」
「えーと?」
「来て。」
「はい。」
気迫に押されて何も瑞季のいう通りにするしかなかった。
「入って。」
「お邪魔しまーす‥‥‥」
「‥‥‥」
鍵を閉める音がした。
「瑞季?」
「馬鹿ぁ!春斗の馬鹿ぁ!」
俺の服を引っ張って前後に動かす。
「痛っ!」
「告白してきた子にデレデレしちゃって!」
「してないよ!」
服を掴む力が強くなる。
「うそうそうそ!本当は内心嬉しかったんでしょ。楓ちゃん可愛かったもんね!!」
「瑞季は何を怒ってるんだよ。落ち着けよ。」
何に怒ってるかがわかんないんだけど一体どういうこと?
「今日はもう上がって!」
「もう、春斗の馬鹿ぁ!」
私のベッドは幾つかシミが出来ていた。
かなり時間は経っていたようで12時を回っていた。
「明日謝らなきゃ‥‥‥ね。」
そして次の日。金曜日の朝が来る。
「38℃風邪のようですね」
「うぅ‥‥‥」
「今日は無理をしないようにお願いしますね。春斗様には私から言っておきますので」
「多分来ないから、気にしなくても大丈夫だと思う」
「いえ、春斗様なら」
インターホンが鳴る。
「予想が外れましたね。お嬢様」
「うるさい。早く行ってきて」
「かしこまりました」
全く、春斗ったら昨日の今日で普通に接するつもりだったの!?
心配した私が馬鹿みたいじゃない。
「瑞季風邪ですか?」
「はい、申し訳ありません」
「大丈夫。時間があったらお見舞いに行くよ」
「はい、非常に喜ばれると思いますので、是非」
「じゃあ、行ってきます」
「はい、行ってらっしゃいませ。春斗様」
玄関の扉が閉まる。
「お聴き頂けましたか?」
後ろ手に隠していた携帯に話しかける。
「春斗様は全く怒っていないようですよ」
返信は無い。
「お嬢様は幸せなお方ですね」
そう言い携帯を閉じる。
「全く、春斗様も春斗様ですよ。お嬢様を選ばなかったら承知しませんからね」
誰もいない玄関でそっと呟いた。
次回学校と楓メイン(予定)