貧乏人と必要経費。そして、条件の再確認。
「悩んだ末、買ってしまった‥‥‥」
夏休みが始まって二週目。
家にクーラーがつきました。
「春兄ありがとう!」
「‥‥‥ありがと、お兄」
「また、頑張れば良いだけだからな。使いすぎるなよ?」
「わかってる!春兄も行ってらっしゃい」
「春斗の家にクーラーついたんだ」
「つけました、頑張りました」
とは言っても、一番安いやつなんだけど。
「わりと悩んでた気はするのに、案外すぐ決めたね」
「妹たちが暑そうだったから、見ていられなかった」
加えて俺だけ他の人の家で涼んでるのに罪悪感を感じたからです。
「‥‥‥春斗って結構シスコンだよね」
「結構聞き捨てならないんだけど」
「実際春斗が自分の家のクーラーにお世話になる確率結構低いよね。さっき言ってたけど、妹たちの為に買ってるじゃん。春斗ってそう言うところあるよね」
「無いです」と断言できないのが辛い。
確かに妹の為に、とかを使いやすい言い訳に使っている。
改めてシスコンって言われると胸に刺さる。
「でも、春斗は私が好きなんだもんね、ねー」
「顔、近い、近いから離れて」
「昔だったらこのくらい普通だったような気がするけどな~」
「昔と今はだいぶちがうんです」
理性が保ててる間に離れてください。お願いします。
「あはは、春斗顔真っ赤」
「誰のせいだよ」
でも、
「私のことを襲っちゃ駄目だよ?だって、まだ、二人を振ってないし。あ、キスなら大歓迎」
ボーダーがわからん。
耐えられなかったら、キスだけでもさせてもらおう。
「後はギブアップでも、良いよ?もう三人と付き合い始めちゃえば、色々なことして良いよ」
ぶっちゃけ、しそうになった。
でも、留まった。
「まだ、しない」
「そうでなくっちゃ」
瑞季も結果はわかっていたのか、お気楽な様子だ。
「あ、キスする?」
「‥‥‥する」
このくらい折れてもバチは当たらないと思うんです?
「キスして」
「しないです、楓とは」
翌日。
やっぱり瑞季ネットワークは早かった。
そして瑞季がいるのは藍の家。
藍にも伝わってるだろう。
「画像つきで来た。ムラムラする」
いつのまに撮ったんだ。
カメラとか無限にありそうだから探すだけ無駄。と言うか、めっちゃ出てきて、同速くらいで補充されるんだろうな。
「じゃあ、首すじ。そのくらいは許して」
返信をする前に楓が飛び込んできた。
くすぐったい。
「満足」
「長い」
二十秒ほどされてました。
まだ、唾液の感触が残ってる。
「やっぱり口にしたい」
「だから、それはダメだって」
「ケチ、今は私も、彼女」
「それでも、駄目です。楓は振る相手なんだから」
「振るのを失敗するのを期待してる」
実際、振り方を指定されてる訳ではない。
こっちが、振ったと思えば降ったことになるのだろうが、振る要素が少なすぎる。
『瑞季が好きだから』は使えない。
二人と付き合っていたとしても、瑞季とは結婚できるからだ。
とりあえず今は振れそうもない。
そのまた翌日。
「さあ、私とキスをしましょう!」
知ってた。
勿論、口にはさせない。
藍は「耳がいい」と言って耳を舐め回してきた。
昨日よりくすぐったい。
「今日のところはこれくらいで良いですわ」
「十分舐め回しただろ‥‥‥」
「声を我慢してたのも、面白かったですわ」
ばれてたのか。
‥‥‥くそ、また瑞季に戻る。
これが毎日のように繰り返されたら、体がもたない。
片方だけでも、振る要素を探さないと。
「帰りましたわね」
「本当なら三人で集まった方がいいんだろうけど、もう遅いからね、仕方ないか」
三人で作ったトーク
『春斗(君、様)と付き合い隊』
『今日の収穫ですわ』
『あれ?打つの早くなった?』
『声でやってますわ』
『チートツール』
『作戦勝ちですわ って、話がそれてますわ!』
『なんか収穫があったんだっけ。って、私は知ってるんだけど』
『私も泊まりに行く』
『わかりましたわ、用意させときますわ 今は篠宮に頼めないので、後で』
『やっぱり篠宮さんと言うチートツール』
『あ、私も隣にいまーす』
『ズルい』
と、トークが続いていく。
そしてやっと、春斗の話題が出た。
『春斗様は耳が弱いですわ』
『首すじも』
『でも、力が強くなってたよね、押し返された』
『同感』
『私と楓ちゃんはまず口にさせてもらいたいですわ‥‥‥』
『頑張る』
『私が一番影響力強いから、なんとか考えてみるよ』
二人からありがとう的なスタンプが。
もっとも藍ちゃんからは真横からハグと共に飛んできて、スタンプ事態は篠宮さんが押してた。




