貧乏人とクーラー
「そーとーにーでーたーくーなーいー」
「昨日はまだ、ましだったなぁ‥‥‥」
昨日は遊園地で一日遊んだが、そこまでの苦では無かった。
しかし、今日は、外に出るのも苦痛だった。
普段はつけないのだが今日は家でも扇風機が回っている。
「春斗は家より涼しいんじゃない?」
「‥‥‥嫌味にきこえるぞ、それ」
「ごめんごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど」
実際家より涼しいです。
これがクーラーという文明の機器か。
頑張って付けられたらいいんだけど。
「‥‥‥ねえ、春斗」
「どうかした?」
「昨日から今日にかけてしっかり寝た?」
「寝た、とは思うけど」
寝苦しくなかったとは言えない。
「隈、出来てる」
「え、マジで?」
「うっすらと。今日は誰もこれないのが救いだったわね、藍ちゃんにばれると結構言われるわよ」
医療系統らしいと言えばらしいのかもしれない。
楓が言わないのは大体わかる。
「じゃあ、今日の仕事は、私のお昼寝に付き合うことにしましょうか」
俺、逃亡。
‥‥‥しかし、逃げられない。
クーラーで適度に冷やされた室内。
その中にある、ベッドの上に俺は横たわっている。
隣には幼馴染、とはもう見れなくなった彼女が寝ている。
手は瑞季に捕まれており、逃げられない。
と、言うか腕を抱き枕にされてるんですが。
寝かせる気あるのかな。
あ、瑞季いい香りする。
「‥‥‥今何時」
「二時ちょっと前かな」
十時位から寝たので四時間ぐっすり寝ていたらしい。
よく眠れました。
「春斗って無防備だよね」
「‥‥‥何かしたの?」
「してないけど、これなら楓ちゃんが色々出来そうかなって」
心外だな、寝苦しさで寝れなかっただけ。
普段はこうじゃない。
「明日からもどんどん暑くなるみたいだし、熱中症もそうだけど体に気を付けないと」
「まだ、暑くなるのか‥‥‥」
夏は始まったばかりだった。
むしろ今からが本番レベル。
「キツいな‥‥‥」
「頑張ってね」
本格的にクーラーの設置を考えるべきかもしれない。
「あ、春兄、おかえり」
「ただいま、暑さ、大丈夫か?」
「私は、平気。ただ、雪が暑さに参っちゃってる」
「大丈夫そう?」
「一応扇いであげたり、扇風機を当てたりしてるけど」
やはり、深刻そうだ。
次の日
「エアコン?」
「流石に暑さでやられそうだからね」
「私の家とかに来れば問題ない」
「俺は、な。亜季とか雪が辛そうだから」
「解った、見に行こう」
涼しい車内で揺られること三十分。
ホームセンターの家電売り場に着いた。
「いつもの癖、発動してる」
「‥‥‥ほんとだ」
エアコン売り場ではなく、扇風機を見ていた。
安いものから見てしまうのは仕方ないのだ。
「五桁‥‥‥」
「多分六桁もあると思う」
見てすぐ、車に戻ったレベル。
食費をどれだけ削れば良いのだろう。
とりあえず、今日は引き返すしかない。
「最終手段として、誰かの家に行く。一応、考えておいて」
「それは、本当の本当に最終手段な」
昼間はまだ、図書館なり考えられるが夜は無理。
必然的に夜にお世話になるわけだから、部屋を借りることになるわけだ。
迷惑極まりない。
「お金は要らない。春斗君が欲しい」
一番の救いであり、一番の問題点。
何されるかわからないのが一番怖いです。
「帰るとき、どうする?乗る?」
「お願いします」
それでも、外はできる限り歩きたくないと思った。
また、次の日。
「それは、大変ですわ‥‥‥」
藍の家。
藍の部屋で昨日、一昨日の話をしていた。
「そもそもつけないで過ごすのも無理があると思いますわ‥‥‥」
今日はまた、昨日より暑くなったようだ。
藍の家に着く前に汗でベタベタになった。
藍のご厚意でお風呂には入れさせてもらえたけどね。
「それは、そうと‥‥‥」
藍はベッドの上で転がっている。
「春斗様とお風呂に入りたかった」
「何をしてくるかわからなくて怖いから、駄目」
入れさせてもらえたは良いが、藍がただをこねた。
「入れさせて欲しい」と。
全力で断りました。
「それに、他の二人にばれたら何をされるかわかったもんじゃないし」
「ばれなきゃ問題ありませんわ」
それ、ばれる奴が言う台詞だから。
藍はばれるタイプ。
「さて、宿題は?」
「‥‥‥」
「手伝ってやるから、頑張ろうな」
今日の主な仕事‥‥‥藍の勉強の手伝い
以上!
「明日は勉強休みますわ‥‥‥」
「じゃあ、次は三倍のスピードでやってあげるから」
「‥‥‥ちゃんとやりますわ」
「よろしい」
そもそも俺は頭が良いわけではないから、楽な方だから。
「あ、帰る前に!」
藍は何かを持って私服に着替えてきた。
「春斗様、屈んで貰えますか?」
訳がわからない。
とりあえず屈む。
額に冷たい感触。
「これで安心ですわ」
「‥‥‥なるほどね」
家にあったかな、冷えピタ。
「一箱、あげますわ、だから、帰り道一緒に行っても‥‥‥」
「ああ、そういう」
そもそも篠宮さんが車でスタンバイしてますし。
「良いよ、これ、貰ったし」
車内の方が涼しいし。




