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彼女は貧乏人《おれ》のお嬢様で幼馴染で恋人です。  作者: 葵ソラ
一年生●三人の彼女と夏休み
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貧乏人と夏休み直前

新章入りました。

ノベルアップ+もよろしくお願いします。

「少しは休ませてくれ‥‥‥」

「現在進行形で休んでる」

俺たち四人以外誰もいない空き教室。

廊下は俺の名前を呼ぶ声だらけだ。

「春斗大人気だね」

「誰のせいだと思ってるんだよ」

「私達のせいですわ!」

「わかってるなら何とかしてくれてもいいだろ‥‥‥」


告白して二週間が経過した。

追われるのは初めてではないがここまで本気なのは初めてだ。

と、言うのも先週末まで期末テストがあった。

そりゃ勉強しなきゃいけないだろう。


「勉強なんてやってられるか!」って人たちが追っかけて来たわけだけどもね。


「んで、瑞季は家に戻らないの?」

「まだ、戻りたくないかな」

瑞季の腕の傷は治っていない。

もしかすると既に跡になってるかもしれない。


「跡になってたらなってたで良いかな。春斗と私を繋げてくれた『運命の傷』なーんてね」

確かにこの傷が無ければ俺と瑞季はギスギスした関係のままだったかもしれない。

いい気はしないけど。


「それで夏休みはどうするの?」

「バイトしたいかな。増やしたい」

「そうやって彼女をほったらかしにする‥‥‥」

「お前は告白を断っただろうが」

「だから今は三人と付き合ってるんじゃない」

俺はあのあと()()()()()()()()()()()()()()()告白された。

なので今現在、彼女(ガールフレンドの意)とはこの三人を指す。

三股。そりゃ追いかけ回されますわ。

因みに先生には「お前も苦労してるな‥‥‥」と言われた。

助けてくれよ。


「夏休みは平日も午前からバイトに入れるじゃない」

「だから私達の所にバイトに来て」

「私達は合える、春斗様はお金を貯めることが出来る。お互いに得しかありませんわ」


得、か。


「それじゃあ、そうさせて貰う。だけど週一は休ませてくれ」

夏休み専用に時間を変更した。

瑞季の家の曜日も一旦リセットして、曜日を組み直すことになった。


「そりゃ、そうか」

各自、月から土曜三日に一回会う感じになった。

月・木が瑞季、火・金が楓、水と土が藍の日となった。

とは言ったもののどうせ遊びに来るのだろうから毎日が三人の日と言っても過言ではないが。

日曜日はさっき言った通り、お休みだ。

日曜日なら亜季や雪も予定は出来にくいだろう。

少しは構ってあげられると思う。


「後は終業式を乗りきれば、」

「春斗と楽しい夏休み!!」

「楽しみですわ」


俺の夏休みはお嬢様だらけになりそうだ。




「「「夏休みだー!!」」」

一学期が終わった。

周囲がざわざわしてる。

主に真横。

「春斗、ついに夏休みが来たよ!!」

「くっつくな、周囲の視線」

痛いレベルです。

「関係ない!私は春斗の彼女だもん!」

『だもん』とか言うな。

可愛いだろ。

許したくなっちゃうだろ。


「‥‥‥」

先生も見て見ぬふり止めてください。

こういうのを虐めって言うんですよ。

あ、逆にこっちの仕返しもでかいからおあいこか。

いや、プラスの可能性も大きいな。



「本来はここにいるはずが無いんだよなぁ‥‥‥」

終業式は早く終わる。

その後はゆっくりするのが普通なはずだ。

なのに、今日から仕事のようだ。

仕事、よりかは必要不可欠なことではあるけども。

そう、宿題の処理。


特に瑞季と藍だ。

俺も良い方では無いけどね。


場所は楓の家。

てか、瑞季はどうにかして傷を治さないといけないのでは?

それまで帰れないだろうし。


「そういえば瑞季は心配されてないの?」

「一回送った。そうしたら、そこから返信が途切れちゃった」


送信内容『ちょっと禁断の恋の為家を空けます』

ちょっと、送る方法考えようか。

禁断の恋は三人と付き合うことを表しているのだろうか。

もしかして抜駆けの暗喩じゃ無いよね?


さて、俺の教え方はわりとゆっくりだからいい。

だけど‥‥‥

そう思った矢先、向こうから藍の悲鳴が聴こえた。

「春斗様、助けてください‥‥‥」

「すまない、俺には止められない」

楓によるスパルタ授業が行われていた。

とは言っても優しい方なんだろうな。

楓も藍のために自分の宿題をかなりの早さで終わらせてるし。

だけど、あれを一時間続けるのは辛いとは思うけど。



「休憩」

一時間の勉強が終わった。

藍の口から魂が抜け出出そう。

「それじゃあ、貰ってくるよ」

「行ってくる」

「行ってらっしゃい」

藍から言葉は発せられなかった。


「楓は疲れてない?」

「心配ありがと。だけど、心配ご無用。わりとローペース」

あれでか。

ハイペースでやったら魂はそのまま飛んでいきそうだ。


「瑞季あれ見て震えてたぞ」

「瑞季ちゃんはさっきより少しゆっくりやらないとすぐに倒れる」

「俺のですら少し失速してたし、楓のじゃ余計にそうなりそう」


なので三時間強の休憩時間を設けた。

これで二人も少しは回復してくれるだろう。

それよりも、

「俺は楓が心配だけど」

「‥‥‥私を選ぶ気になった?」

少し動揺が見えた。

珍しい。


「そうじゃなくて。人に教えることで手一杯で無理して倒れてもしょうがないだろ?」

「倒れたら看病してくれる?」

「それは、勿論」

それと、もう一つ。

「今日は()()()だし」

楓の持つトレイを片手で持つ。

これは、瑞季の家での仕事で慣れた。

「いきなりは卑怯。抵抗、出来ない」

「楓に言われるのは心外だな」

楓の方がいきなりの天才だろうに。

「でも、ありがと。だから春斗君、大好き」


だめだ。

これでは、楓に敵いそうもなかった。

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