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お嬢様と逃走劇そして別の騒動。

この話で大きく話が動くんじゃ無いかな?

「ばれたく‥‥‥ないよ。迷惑かけちゃうし」

「全く、わかってるなら次はやるなよ?」


今度こそロープを下ろす。

瑞季の片腕は無理させると更に血が出る恐れがあるので俺の体に縛り付けた。


あの扉には鍵がかかってるし暫くは開かない。

後は下にどれだけいるか‥‥‥


そんなことを考えていたにも関わらず地上には人の気配は無い。

おかしいな‥‥‥


「篠宮!!」

「はい、お待ちしておりました、お嬢様」

「私の家まで全速力ですわ!!」


藍が助手席に、意識が上の空な俺を楓が後ろの席に引っ張る。

俺に付いている瑞季も同様だ。


「任務完了」

「むちゃくちゃな事しますね、お嬢様も皆様も」

「普通はしないけど()()()()()()()()

「‥‥‥なるほど」

篠宮さんが少し不思議な顔をした気がするが気のせいだろう。


とりあえず瑞季の縄をほどく。

今だ血の滲んだ腕は見るに耐えない。

尚、当の本人は部屋での一言以降一言も発していない。

ずっと俺の服を掴んでいた。

そしてやっと口を開いた。


「どうして、助けたの」

小さい声で言った。

「春斗は私達にもう少し怒ってもいいんだよ?助ける理由なんて無かったじゃん。だって春斗は、」


()()()じゃん。


「まあ、随分な事には巻き込まれたかな」

怒ってるわけではない。

「瑞季が何かするだけで百人単位で迷惑かかるんだから」

ただ、

()()()()()()()()()()の気持ちも考えろよ」

「え?」

「‥‥‥察しろ」

流石に瑞季も察したらしく、少し赤くなった。

さて、こうなれば問題ない。

流石に普段通りとはいかないにしろ緊張くらいはほぐせただろ。


「私の事が好きって‥‥‥誰のこと?」

とぼけやがった。

絶対わかってる顔してやがる。

楓の兄を言っても正解っちゃあ正解。

だが俺が答える上では不正解であるから逃げ道がない。

「誰が、私のことを好きなの?」

追い討ちも良いところだ。

公開処刑だ。

まだ、処刑されるには若すぎるだろう。

「俺に、決まってるだろ‥‥‥」

死にたい。消えたい。ここから逃げたい。逃げられない。


「じゃあ私に告白してよ。もしかしてまた、私からさせる気?」

「いつ、何処で」

「今、ここで」

考えうる最悪の答えが帰ってきた。

後ろの二人は一体何を考えてその目をしているのだろう。

嫉妬なのか喜びなのか、にやけてるのかジト目なのか。


まあ、そもそもこの現実に逃げ場なんて無いから仕方ないんだけど。



「瑞季、俺と‥‥‥」

「ごめんなさい」

言い切る前に切られた。

と言うか切る気満々だったと言わんばかりの笑み、と涙。

瑞季は笑顔で泣いていた。


その後一言も会話は起きなかった。



瑞季は楓と藍の家に泊まるらしい。

俺はというと、帰った。

連絡手段が無いからしょうがない。


失恋、したはずだ。

なのに涙は出ないし、心が痛くもない。


嬉しかった。

いつも通りに戻った気がしたから。


だけど、勿論()()()()()()()()()()()()()()()()が。





遠回りをした。

目の前の道を通ればすぐに学校だ。

だけど、なんとなく、通りたくなかった。



瑞季は、学校に平然と来ていた。

他クラスだから確証は無いが他の二人も来ているということで間違いないだろう。


しかし二人の間に会話は生まれない。

昨日と同じだ。



手には再度包帯が巻かれていた。

クラスメイトから「どうしたの?」等聞かれているのは聞こえた。

そのたびに百合が阻止しているのも聞こえた。



―――いつぶりだろう。()()()()()()()()()()()()()

まだ、1ヶ月しか経ってないから最高1ヶ月前なのだが。

しかし一人で食べるのは初めてだな。あと、こんなに不味く感じるのも初めてだ。


あの3人に毒され過ぎて舌が肥えた説。

‥‥‥無いな。


「ま、一人で食ってるから、だよな」

立ち入り禁止の屋上。

そこに無断で入って食べていた。


また、半分以上残ってるけど、食べる気が無くなった。

なお、空腹の状態で行動することは慣れている。

何年も前から鍛えられてるから。


「帰るか」

屋上の扉を開けようとしたのだが、開かなかった。

鍵は掛かっていないし、ましてや屋上側からなら開けられる。

考えられる事は誰かが扉を押さえてること。これ一択。

「‥‥‥瑞季だろ」

「正解。アリス君とかに教えてもらったの。帰る前で良かった」


わりと見られてたのか。


「春斗は私を()()好き?」

「当たり前だろ。俺から告白したのはお前だけだ」

「じゃあ、二人を、楓ちゃんと藍ちゃんを振ってよ。」

それも当たり前だろう。

三人ともの気持ちに答えることは出来ない。

「私は、楓ちゃんも藍ちゃんも好き。気持ちは尊重したい」

だから、と続けて

「三人で決めたの。『いっそ、全員で結婚しよう』って」

暴論だ。

「これは三人の決断だからもう一人に聞かなきゃいけない。春斗はどう?」

そんなの断る一択だろう。

「だから春斗には高校生の間に二人を振ってほしいの。そしたら()()()と結婚」

でも、

「一人でも振ることが出来なかったら仲良く()()()結婚」

「‥‥‥それって」

「そう、振っても振らなくても私とは結婚できる。後は春斗の気持ち次第」

やっと、扉が開く。

そこにいたのは一人ではない()()

それと()()()

「屋上以外のスピーカーに今の会話を流した」

「これで学校の人気者ですわ」

「これでも私は人気な方。告白されたことあるよ」

「私もですわ。勿論、お断りしましたわ」

今の会話はその告白した人に届いている事だろう。



瑞季はマイクを切る。


「期限は卒業まで。よろしくね、春斗」

暗い話はここまで!!

もう書いていられないよ!!


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