貧乏人とGW
GWは終わったばかりですがGWの話です。
「どうしてこうなった。」
いわゆるプライベートビーチ、そこに俺は水着で座っていた。
大丈夫、頬はつねった。
今日はGW、体育祭の休みが途中の平日に挟まるので9だったか10だったか連続で休めるとかなんとか。
大体バイトだったしそもそもカレンダーが家に無いので確認を怠るのはしばしばある。
曜日理解だけならスーパー行くし。(どれが安いかで判別。)
「春斗、おまたせ!!」
「・・・見せるのは二回目。」
「私とはまだ一回目ですわ、私と優先的にお願いしますわ。」
うーん、どうしてこうなった?
「春斗、どうしたの?」
「とりあえずどうしてこうなったのかの説明を・・・」
「大丈夫、今回は藍ちゃんの家に泊まってて貰ってるよ。」
「そうじゃなくて・・・」
「あー、そっち?」
誰でも自分の身から心配するのは普通だと思うのだが?
「寝てた春斗を車に乗せて、フェリーに乗り換えて、ここ。」
「なんでなにも伝えずに乗せるんだよ・・・」
「断られたら困るから?」
確かにこの三人といると何が起こるかわかったものじゃない。
「一応聞こう。ここはどこ?」
「私のプライベートビーチ。本当なら春斗君と二人で来たかった。」
・・・ワンチャン俺の貞操が終わるところだった。
「そっちの建物は?」
「別荘。」
このお嬢様なにしでかすかわからないから怖い。
「他の人は?」
「お兄ちゃんは置いてきた。」
「前回同様つけてないわ。」
「向こうの仕事でこれないみたいですわ。」
・・・大丈夫なのだろうか。
いや、大丈夫か。
楓はともかく瑞季と藍も大抵の事は出来るだろう。
楓は出来すぎるのだが。
「じゃあ、最後、雰囲気ぶち壊すようで悪いがGW中の宿題は?俺は終わってるからいいけど。」
「大丈夫、終わってる。」
「「・・・・・」」
おいおい・・・
「大丈夫だから!!チャンと終わらせるから!! 」
「本気を出せばすぐ終わりますわ。」
「逆に本気をすぐだせよ・・・」
ここに滞在するだけでなく幾つか移動するらしいのでここにはあと二日の付き合いらしい。
・・・まあ、ここから本州に行ったとして自分の足で逃げられる自信は全く無いが。
ちなみにこいつらのやる気を出すのは本当に簡単なので後で利用する。
「それで、なにするの?」
「「「遊ぶ。」」」
「もう、俺が何の仕事をしてるのか分からなくなってきた。」
「春斗は仕事をしなくても私と結婚するから大丈夫だもんね。」
「違う、私と結婚。」
「私とですわ。譲るつもりはありません。」
もう、なんだこれ。
「そもそもあの借金の負担を押し付けるつもりは無いわけで・・・」
「私がしたいからするだけだから。」
話が通じない・・・
「そもそも暗い話をしに来た訳じゃないんだから遊ぶよ、春斗。」
「でもその前に、やることがある。」
「正しくはやって貰うことですわ。」
水着姿の三人は僕に近づくと、
「春斗、日焼け止め塗って?」
「私もお願い。」
「勿論私のもお願いしますわ。」と。
勿論逃げ道など無かった。
「・・・背中以外やらないからな。」
「でも背中はやってくれるあたり春斗は優しいね。」
「ほっとけ・・・」
「っ!冷たっ・・・」
「後で春斗にも体験させてあげるから。」
「その前に逃げる。」
「三人の前から逃れることは出来ないよ。」
「増援・・・」
こうして俺の日焼け止め塗りが確定した。
「・・・んっ。」
「楓でも反応した。」
「春斗君にシて貰ってるから。」
「言葉に悪意を感じる。」
「次は夜に二人っきりで。」
「夜まともに寝られなさそう・・・」
「ふぁ・・・んっ・・・」
「狙ってやってる訳じゃないんだよね?」
「ホントのホントに・・・んっ・・・」
「藍ちゃん背中弱い。」
「そ、んっ・・・なこと、ない、ですっ・・・んっ・・・」
「・・・・・」
「春斗君なんで目をそらしてるの?」
なんかイケないものを見た気がするのでそらしただけだ。
なんか可愛いとか思った訳じゃないから。
「じゃあ次は春斗の番だね。」
「しっかり逃げたはずなのに!!」
「リレー選の人舐めないで。あ、体を舐めるのは大歓迎。」
「楓ちゃんが何か言ってますが、キニシナクテ良いですわ・・・」
俺は今ブルーシートにうつぶせになっており上半身を楓、下半身を藍に押さえつけられて日焼け止めの刑に処されている。
「冷たっ・・・」
「私もこんな感じだったんだから覚悟しなさい。」
「足の方は頼んでないのに誰だよ!って藍か。」
ついでに腕は楓にやられていた。
「・・・なんで泳ぐ前に疲れなきゃいけないんだ。」
「ほら、春斗、行くよ。」
「競争。」
「負けませんわ!!」
「フライングだろ、くそっ・・・」
そして
「勝った。」
「私、何処からあの推進力が出てるか知りたいんだけど。」
「フライングした方だとしても勝てる気がしなかったんだが?」
「速すぎますわ・・・」
あっさり楓が勝利。
次いで瑞季、俺、藍。
「フライングずるいぞ、ギリギリだったんだからな。」
「実際普通にスタートしたら春斗が勝ってたね。」
「春斗君速かった。」
「一位の人に言われても嬉しくねぇな・・・」
ちなみに藍はシートの上で横になっている。
「それじゃあ休憩しましょうか。」
そして、スイカ割り、ボート等々遊んで時間が過ぎていき・・・
「やっぱり夜はバーベキューだよね!!」
夕御飯の時間になった。
肉を食べる現象が一月に二回も来るとは思わなかったぞ。
「はい、春斗。あーん。」
「それは私の仕事、春斗君、あーん。」
「二人ともずるいですわ!!春斗様、あーん。」
最近思うのはこの状況の突破方法を教えてほしい。
俺はケルベロスみたいに三つ首では無いのだから。
「一人一人受けてやるから、同時には止めろ・・・」
逃げた。でも、これ以外の方法が思い付かなかったから仕方がない。
「は、春斗ぉ~!!」
(肉が固くなる前に終わってくれよ・・・)
「春斗、あーん。他の二人にされるのは嫉妬するけど、そこを許すのが正妻の務めだよね!」
俺と瑞季は付き合ってすらいないのだが口答えすると何されるかわかったもんじゃないのでただ肉を食べる。
「瑞季ちゃんは酷いですわ、春斗様に分厚い肉を・・・」
瑞季はガッツリの串肉だった。
それに対して藍はこの間の薄めの肉を箸で俺の口の前まで持ってきた。
「春斗様とお付き合いも結婚も私の役目ですわ・・・瑞季ちゃんや楓ちゃんには渡しませんわ。」
独り言っぽい、というか本人が独り言として言ってるようなので口答えせず聞き流す。
「最後は私、正妻は最後でもちゃんと待つ。」
「待ってる間何してたの?」
「タイミング合わせて、焼いてた。」
その完璧な焼肉にご飯を挟んで口の前へ差し出す楓。
「お肉にご飯は大事。」
「流石。よくわかってる。」
「私は春斗君のなら心が読めるから。」
本当に読めてそうだと思ってしまった。
「はー、美味しかった。」
「・・・最高。」
「同意ですわ・・・」
正直怖かったのはここからだったのだがビックリすることに何もしてこなかった。
具体的に言うと、風呂とベッドなのだが。
部屋までは入られた。
勿論二時間ほどで解散した上やったのもパーティゲームのみだ。
ここまで来ると後で何かが起きそうだと心配になる。
その日は疲れもあってグッスリ眠った。
二日目、GW的には五日目。
「あれ?楓だけ?二人は?」
「宿題が終わってないって。」
「なんか言ってたな。」
「しかも全部残ってた。」
「うわー。」
「私は約半日で終わった。春斗君は?」
「約一日かな。休憩けっこう挟んでた。」
「春斗君頭いい。私はひたすらにやってた。」
「楓に言われても嬉しくねぇって。」
ちなみにその二人は部屋で宿題中らしい。
と、言うのも家にいる家族にその事が昨夜のうちにバレ、宿題が届けられたというわけである。
「でも予想より二人は早く終わると思う。」
「なんで?」
「ちょっと挑発してきたから。」
具体的には
『二人が終わるまで私は春斗君と二人っきりだから。』と一言言っただけだが。
二人には効果抜群である。
「それじゃあ朝食。昨日の夜あんなに食べたし量は少な目で良いよね?」
「よくわかってるな、お願い。」
「任された。」
休みなのにやたら疲れそうなGWの始まりだ。
GWの私?そんなのバイト三昧に決まってるじゃないですか~。
あ、一日だけ車で出掛けたのと、友達とカラオケには行きました。




