お嬢様達と昼食
50部分なのに短いとか言うね。
人のこと言えないですはい。
「午前中終了・・・」
「今日ってこんなに暑かったっけ?」
「わかんない、けど、疲れた。」
こういうイベント事って疲れるよね。
まあ、俺の場合このあと疲れるはめになるんだろうけど。
午前が終わったということは昼休憩があると言うこと。
今日は瑞季、楓、藍、三人の親が来ているのだ。
その上・・・全員から昼食のお誘いが来ているわけで。
今日は体育祭であること。
つまり・・・
誰かしら三人の身内はいそうだな・・・
と、思ったんだけど。
「こちらです、春斗様。」
「やあ、久しぶりだね、春斗君。」
「いらっしゃい、こっちどうぞ。」
「あ、はい。」
順に篠宮さん、翔さん、そして瑞季母。
篠宮さんにはわりと合ってるけど他の二人は久しぶりだ。
遅れて亜季と雪もやって来る。
「春兄はいつ出るの?」
「午後イチかな。」
「なんだ、午前中から見てたのに・・・午後イチなら母さん呼べるね!」
「それ、逆に午前中にあったらどうするつもりだったんだよ。」
明らかに無計画の妹である。
「お兄ちゃん、帰っていいよ?」
「ぐはっ・・・妹よ、辛辣な言葉を向けおって・・・」
「瑞季ちゃんが怯えてる。」
うん、明らかに震えてるな。
だからって俺の後ろじゃなくても良くないか?
「す、すまない・・・」
あ、翔さん折れた。
「うむ、許す。」
こうして前途多難ではあったけど昼食タイムの始まり・・・
と、思ったんだけど・・・
「三人とも、食べにくいんだけど。」
「私が食べさせてあげる。あーん。」
「それは私の仕事ですわ!!」
「春斗は私のを食べるんだよね。ね!!」
どうしたらいいんでしょうか?
三方から差し出された箸。
逃げることは無理だろう。(この三人もそうだが他の視線も痛いので。)
「・・・いただきます。」
まずは瑞季から貰う。
これは瑞季が作ったのだろうか、だとしたらかなり上手になっているだろう。
・・・まあ、自他共に認める貧乏舌ではあるのだが。
口のなかが空になったら他の人が口を挟む間もなく楓のを貰う。
ヤバイ超美味しい。
どんどん上手になってる気がする。
何処までも上手になるんだけど。
でも、貧乏(以下略
最後、藍のを貰う。
直前まで涙潤ませてるの止めてくれないかな・・・
罪悪感が半端ないんで。
その直後に笑顔になったからプラマイゼロかな。
藍も練習が感じられる。
料理より機械操作を出来るようになって欲しいけど。
・・・これ以上はなにも言わないよ?
「さて、誰が一番上手だったか教えてもらおうじゃない。」
「決められないは駄目。」
「私達はそんなことは望んでいませんわ、素直に答えてくださいませ!!」
「うーん。」
三人はそれでいいかもしれないけどその後ろからの視線が痛い。
「率直に言うと楓。」
「やった。」
「やっぱり経験の差があるかぁ・・・」
「もう少しで追い付けるはずですわ!!」
「そのぶん突き放す。」
毎回の様に美味しさを増してるからいつの間にか何処かの雑誌にでも乗るんじゃないか?
そのくらい成長が早い。
「それじゃ次。」
「春斗が私達に食べさせて。」
「お願いしますわ。」
完全にこれ目的だったわけか。
三人からはそれぞれ三人の弁当をひと口ずつ頂いたわけだからこっちも自身のお弁当からひと口ずつ渡すとしよう。
「はいよ。」
瑞季、楓、藍の順番でひと口ずつ食べさせる。
久しぶりに存分に料理したから味が不安だ。
「・・・美味しい。」
「やっぱり春斗は料理上手だね。」
「流石春斗様。」
大体こんな反応するだろうね。
俺よりこの三人の方が貧乏舌に感じてきてしまった。
昼食を終えた頃、亜季たちが帰ってきた。
「連れてきたよ!!」
「動いて大丈夫か?」
「そこまで無理してないから平気。それはこっちの台詞じゃないのかい?」
「ほざけ。」
ここまではいつも通り、なのだが。
「お久しぶりです、直球ですが春斗君を私にください。」
「抜け駆けはずるいと思いますわ。ここは私に!!」
「幼馴染権限!!春斗は私の!!」
予想の斜め上の反応に俺は思考停止状態。
まさか直接行くとは思ってないしそもそも体育祭中はなにも起こらないと信じていたかった。
「駄目ー!!!」
歯止めをかけたのは亜季、そしてその後ろにいる雪だ。
「春兄はまだ結婚できない年歴だから無理!!」
「私達のお兄ちゃん・・・取っちゃ・・・駄目。」
亜季はともかく雪まで止めてくれるとは思っていなかった。
「ん、こんなところで話す話題じゃなかった忘れて。」
暴走(いや、常にこんな感じだから通常運転なのかも知れないが。)は止まった。
「今度は家に直接貰いに行く。」
いや、止まってなかった。
『そこそこ午後の部が始まります。クラス対抗種目に参加する生徒は入場門に集まってください。』
やはり校内放送やチャイムは俺の味方のようである。
「呼ばれたね。」
「よーし、頑張ろう!!」
さて、遅すぎるけど、俺らの出番だ。
最近眠いんだよね~(投稿時刻)




