貧乏人と体育祭ですよ!?
改めて私は体育祭まともに参加してないことに気が付いたよ・・・
「ここに体育祭の開催を宣言します!」
そんな開会宣言の声高らかに体育祭がスタートした。
一日の練習とリハーサルを経ているもののやっぱり本番が一番重要である。
「春斗君、今日は敵同士だけど頑張ろう。」
「ちゃんと応援もしますわ。」
「嬉しいけど同じクラスの人も応援してあげてね?」
「全体では勝つ。」
それならいい・・のかな?
本人たちが良いならいいか。
俺達のメインの種目は午後なので午前中はやることは少ない。
「今日は頑張りましょうね!」
「お、アリス。」
「早めに繋げるように頑張るからな。」
「百合も・・・ありがと。」
「元々は私が言い始めたことだしね。私が頑張らなくてどうするよ。」
「全く、僕が参加しなかったらどうするつもりだったのさ。」
「そりゃ誰かしら無理にでも誘うつもりでいたよ。でもアリスは来てくれたから。」
「そりゃ頼まれたからね。あんまり断りたくはないよ。」
「ほら、断らないんだから関係ないの。」
「・・・そうだね。」
二人はいつも通り仲良さそうだ。
開幕は女子徒競走。
その次に男子だ。
女子は100メートル、男子は200メートルだ。
どのクラスも応援の声だらけだと思っていたのだが・・・
思ってたより小さかった。
声の大きさもだが規模が。
あからさまに勝算が無い人に対しては誰でもわかるレベルで声が落ちる。
最早見ていない人もチラホラ見える。
これが普通なのだろうか。
「あれ?楓ちゃん出てる!!」
「え、どこ!?」
「ほら、あそこ!!」
「ほんとだ。出るならいってくれれば良かったのに。」
「ね。」
お、一気に回りが活気づいた。
流石楓。スクールカースト高いな。
「まあでも楓ちゃんなら大丈夫でしょ。」
「・・・そんな気がする。」
身体能力は決して低い方では無いはずだ。
だから負けることは無いだろう。
結果。ぶっちぎりの一位。
楓ちゃんの後に数組が走っていたのだが楓ちゃんの話題で揉み消されている。
女子が男子と入れ替わりで帰ってくる。
勿論その中には楓ちゃんがいるわけで・・・
「ただいま。」
「楓ちゃんすごく早かった~!!!」
「頑張った。後でリレーもある。」
「リレーも出るの?」
「言おうとしたんだけど・・・当日でも言いかなって思った。」
その後、「それに、」と続けて。
「春斗君にはきちんと顔をあわせて言いたかったから。」
突然そう言うのやめてもらって良いかな!?
ヤバイ完全に押され気味だ。
1学期末までに誰かの誘惑に負ける自信がある。
「春斗様、私次の騎馬戦に出ますので応援してください。」
「上?」
「上ですわ。私体重は軽いですから。」
身長は絶対に女子の中では高い方だが軽い方の女子らしい。
女子に体重を聞くなんて常識外れみたいなことはしないけども。
「ほら招集、かかってるぞ。」
「勝ってきます!!」
勝ってくるってつまりは俺らは負けてる訳なんだけど。
そんなこと言ったところで関係はないか。
ちゃんと応援することにしよう。
そうそう、この学校女子も騎馬戦がある。
こちらも男子と入れ替わりで立て続けに行われる。
明らかに男子の見ている人が増えたのは言うまでもないだろう。
「結局勝ってきて貰っちゃうと私達負けてることになることわかってるのかな・・・」
「良いんじゃない?別に。勝ってきて欲しいんでしょ?」
「それはそうなんだけどね・・・」
こちらも複雑ではあるから考えすぎないでほしいんだけど。
土台が安定していたせいかあっさりとハチマキを奪っていく藍。
これじゃあ騎馬戦のMVPは確定だろう。
ましてや二年生や三年生がビックリしているレベル。
土台の人もかなりすごい人だろう。
「また、離されてる。」
「そりゃあ圧勝も良いところだったからね。」
結局二本共藍たちのクラスに取られてしまった。
こういう団体競技の配点は多い。
大分痛手だろう。
また、士気は下がる一方だ。
リレー等の競技は後半にあるので見るに映えないからだろうか?
『次は部活対抗リレーです。』
得点にならない競技。
俺らは部活になど入っていないので関係は一切無いのだが、参加している人がいた。
「ねえ、あれアリス君だよね!!」
「・・・ほんとだ。」
苦笑いしか出ない。
アリスの部活は演劇部。
アリスの名前の通り不思議の国のアリスの格好での参加だった。
この競技の後に新入部員を増やすつもりなのかは分からないが一年生があれをやらされてるのを見たら入るのも入らないと思うが・・・
「うわあ!可愛い!!」
「本人の前で言わないであげてね?」
傷つくから。
演劇部は勿論見た目重視だ。
他の文化部に置いていかれている。
他の人がバトンを渡したタイミングで半分に差し掛かる所だ。
大分遅れて二人目にバトンが渡る。
見た感じ赤ずきんだろうか?
赤ずきんは籠が邪魔そうだ。
三人目大分離れてしまったがバトンは通った。
シンデレラだ。
流石に硝子の靴を履いては走れないので普通の靴を履いて硝子の靴の片方を持っていた。
四人目は他の人が半周に対して一周半走る。
ここの人が一番大変だろう。
基本的には部長が出てくるのが当たり前とかはあるのだろうか?
他の人と半周に離れて最後の人に渡った。
最後の人は看板を持って首にメガホンをかけていた。
「演劇部、来週月曜日放課後演劇やります!!場所は体育館、時間は16時半からです!!是非来てください!!また、学校外の方は二学期の文化祭でそれまでの演劇をできるかぎりやるつもりです!!覚えておいてくれると嬉しいです!!」
全力疾走しながらひたすらに宣伝をする男子。
体はでかく演劇をしそうな人ではなかった。
・・・ましてやそのまま一位を取るとは思わなかったわけで。
会場は過去一の盛り上がりとなった。
一方その頃
「なんで僕があんな服を・・・」
「はいはい、お疲れ様。」
人気の無い場所でアリスを百合が慰めていた。
体育祭の話は流石に二話が限界だと思います。(知識不足)




