方向音痴と二度目。
結局他の二人の行動は書けませんでした。
何処かで書きます。
「本当にはぐれたらまずそうだな。」
「私のことを心配してくれるなんて、春斗様は優しいですわ。」
「当たり前のことだと思うけど。」
「そんなことはありませんわ。」
「春斗様は今までにであった中で一番ですわ。」
そんなこと言われるとそうなんじゃないかなとか思ってしまう。
「春斗様、楽しまないと損ですわ。」
「そうだね、どうしようか。」
「まずはジェットコースターと相場は決まっていますわ。」
「わからなくは無いけど、大丈夫なの?」
「大丈夫ですわ。」
「ならいいんだけど。」
俺も乗ったことは無いけど1回転するのは危険な気がする。
「さあ、行きますわ。」
「心配だな・・・」
案の定であった。
俺は楽しめていたのだが藍には刺激が強かったようである。
「思った以上に速かったですわ・・・」
「大丈夫かよ・・・」
「だ、大丈夫ですわ・・・」
「ならいいけどさ。」
藍は俺のベンチで俺の膝に頭を乗せている。
「こうしていると落ち着くから気が楽になるわ。」
「なら良かった、動けそうになったら行ってくれ。」
「じゃあ、少し失礼しますわ。」
その後数分間俺の膝に頭を乗せていたが頭をあげた。
「春斗様ありがとうございます。もう大丈夫ですわ。」
「無理はしなくていいからな?」
「はい、大丈夫ですわ。」
「じゃあ、信じておくか。」
無理してそうなら篠宮さんをすぐにでも呼ぶし。
「では少し落ち着いたものでも乗りましょう、さっきのは激しすぎましたわ。」
「じゃあ、どうする?」
「じゃあ、メリーゴーランドにしますわ。」
高校生でも乗ってる人がいるし変では無いかな。
ただ、乗ってるのはカップルばっかりなのは気になるけど。
「私達もあれにしましょう?」
指差す先は二人乗りの馬。
「あれは恋人同士で乗るものなんじゃ・・・」
「いずれそうなるから問題ありませんわ。」
やはりどのお嬢様も引かないのは変わり無いようだ。
「わかったよ。」
後ろに落ちないようにと俺は後ろになった。
二人乗りに作られているが所詮は馬である。
かなり密着した状態になってしまった。
こりゃ恋人同士じゃなきゃ乗れねぇなぁ。
個人で納得してるのも束の間、メリーゴーランドは動き出す。
「意外と揺れますわね。」
「同じことを思った。」
スピードこそ遅いものの上下に動いたためバランスが崩れそうになる。
「捕まってないと振り落とされますわね・・・」
「俺らでもそうなるから子供は振り落とされる事故起きたんじゃないかな・・・」
ジェットコースターとは別の驚き方をした。
「春斗様。」
どのタイミングで買ってきたのか、チュロスを持っていた。
自分の分と俺の分で二本だ。
俺は普通の、多分藍のはイチゴかな?
ピンク色だし。
「あ、お金・・・」
「構いませんわ、付き合ってくれたお駄賃とでも考えてくだされば。」
「ありがと。なら、頂こうかな。」
こういうのを食べるのも遊園地の楽しみなのだろうか。
やはり来たことがないとわからないものである。
来たことがあったとしても食べられなかっただろうけど。
「もう、半分も食べちゃってる・・・」
「えっ・・・ごめん。こういう場所とか来たことなくてわかんないから・・・」
「まあ、いいわ。」
すると藍は俺のチュロスをひと口食べた。
「何のために違う味で頼んだと思ってるの?」
「このためだったの?」
「わりとこの手のシェアは皆やりますわ・・・」
無知でごめんなさい・・・
「だから、ほら。」
差し出されたピンク色のチュロス。
「春斗様もひと口。」
「・・・頂きます。」
皆がやってること、皆がやってること、と謎の暗示をかけつつひと口。
あ、やっぱりイチゴ味だ。
「なんでそんな固い顔をしてるのよ・・・」
「・・・ナンデモナイデス。」
「?」
全く瑞季や楓は毎回のように間接キスを口にしてたけど、気にしない人もいるのか。
「もう一口貰える?」
「了解。」
「春斗様ももう一口いかがですか?」
「あー、自分のぶんだけでいいよ。」
「じゃあ、私が食べてしまいますわ。」
変に意識してしまったことは言わないでおこう。
「やはり遊園地に来たらここですわ。」
「本格的過ぎない?」
ついた先はおばけ屋敷。
遊園地に来たら乗るものベスト3(藍調べ)らしい。
俺はと言うとそもそもテレビを見れなかったので恐らく耐性は無いと思われる。
「さあ、行きますわよ。」
「わかったから引っ張らないでよ・・・」
中はかなり暗い、ってあたり前か。
そういう施設だもんな。
「うわあ!?・・・こんなに唐突に出てくるのかよ。」
何処から出てくるかわからなくてビックリするな。
「・・・・・」
「おーい、大丈夫か?」
「・・・駄目。」
駄目だった。
さっきから小刻みに震えてるなとは思ってたんだけど、案の定。
「どうするかな。」
流石に途中で抜けられる場所はあるだろうしその場所まで行くか。
でもどうやって?
藍完全に動けなくなってるし。
藍はお嬢様だしわからないこともあるか。
ん?お嬢様?
「藍、怖かったら耳塞いで目も瞑っときなよ?」
藍は無言で頷く。
「それじゃ失礼します。」
俺は藍をお姫様だっこする。
藍はお嬢様だからお嬢様だっこ
なんてアホな考えは放っておこう。
まずは出口だ。
できる限り揺らさないように心掛けつつ進んでいく。
ありとあらゆる方向からおばけなりゾンビなり出てくるがお構いなしだ。
お、リタイアって書いてある。
ここからでいいか。
「藍、出たよ。」
藍の肩を軽く叩き耳を塞いでいた手を下ろさせる。
若干涙のあともあった。
「怖かったんだ。」
「・・・少し強がってしまいましたわ。」
「無理しすぎは駄目だって最初に学んだはずだろうに。」
「デートだから、デートだから入りたかったのですわ・・・」
「あー、そういう。」
ジェットコースターもメリーゴーランドもこのおばけ屋敷も全部デート向けだったのか。
だから自分が苦手でも、無理してでも一緒に乗りたかったし入りたかった。
「それじゃそろそろ暗くなってきたし、最後かな。最後に乗るのは多分あれかな。」
藍の手を引き歩き出す。
向かったのはこの遊園地一番の目玉。観覧車だ。
「なんでわかったんですの?」
「チラチラ見てたからね。無意識だったのかもしれないけどさ。」
偶然かもしれないとは多少思ったけど多分あっているだろう。
どのアトラクションにも乗っていない間、高確率で見ていたのがこの観覧車だった。
「春斗様、今日はデート、ありがとうございました。」
「俺も楽しかったから問題ないよ。」
なら、ごめんなさい。
そういって俺の正面に座っていた藍は俺の方に近付くと、
唇にキスをした。
遊園地を題材にはしましたが夢の国は嫌いです。(それに似たもうひとつのも嫌いです。)
修学旅行で一日夢の国パート2で過ごしたのですが全く楽しくなかったです。(余談)
ちなみにそれ以外の遊園地は大丈夫だったりします。