お嬢様達はデートをしたい。
「20話まで書く気力があったんだなぁ」としみじみ思いまする。
「どこに行くのかと思ってたけど、プールだったのか。」
「温水プール。」
「水着持ってないんだけど。」
「借りられるらしいから金はかからないって!!」
これは数少ない楓ちゃんに勝てるのでは・・・
何故なら楓ちゃんは小さい(そこまで大きい差がある訳では無いけど。)
いける!!
「で、入るのにはいくらかかる?」
「招待券でタダ。」
「春斗と来るんだし対策してるから安心して。」
春斗、昔は遊べてなかったから楽しみなんじゃないかな。
「それじゃ、着替えて向こう集合で。」
「はーい!」
「わかった。」
まあ、男子の俺は着替えるだけなら手間女子ほど取らない訳で、先にプールの方へ出たのだが、
「広いな。」
ここは地上だが地下にも施設があるらしい。
プールなんて授業以外じゃ初めてかもしれない。
若干高校生らしからぬテンションになりかけてるのは自分でも理解してる。
「春斗君、おまたせ。」
「改めて出てみると恥ずかしいね・・・」
「私は授業と変わらない。」
瑞季はビキニ、楓はいわゆるスク水で表れた。
楓曰く「サイズが無かった。」らしい。
「春斗、流れるプールに行こう!!幼稚園以来だね!!」
「だめ、私とウォータースライダー。」
「開幕から争うの止めてくれないかな・・・」
どちらも譲る気が無いらしいのでじゃんけんをさせた。
「勝った。」
「なんで、私は運が無いのよ・・・」
楓が勝った。
瑞季は素直、悪く言えば単純なので、楓に何かしら言われて流されたんだろうな。
「じゃあ、春斗君、行こう。」
「了解。少ししたら戻ってくるよ。」
「はーい・・・」
待たせてるのも可哀想だし終わったらできる限り早く合流しよう。
ウォータースライダー、さしずめ人気なのだろう。
と、思ったのだが人は思った以上に少なかった。
「人気なのかと思ったけどそこまででも無いね。」
「良かった。」
待ち時間の間暇になるかと思っていたのだが楓が話しかけてきた。
「春斗君は瑞季ちゃんみたいな水着がいいの?」
「回答に困るんだけど。」
「胸が小さいから私には似合わない。」
「楓ならどんな水着でも似合うと思うけどね。」
「じゃあ、夏になったら私の水着選びに付き合ってくれる?」
もはや彼女レベルの事を言い出すようになってきたな。
「それは・・・」
「順番来たよ?」
「あー、了解。滑ろうか。」
俺の上に楓ちゃんが座る。
収まってしまう位に小柄な身体。
加えて普段より少し布地が薄くて困る。
「春斗君?」
「なんでもない。」
楓の事を意識してるなんて・・・信じない。
気が付いたらウォータースライダーは終わっていて水の中だった。
楓はそれ以上何かをしようと言ったわけでもなく「早く行ってあげて。」と送り出してくれた。
「春斗、おっそーい!!」
「・・・悪い。」
「春斗、どうかした?大丈夫?」
「体が悪いとかそういうことじゃないから気にしないで。」
「そう?無理しちゃ駄目だからね?」
わかったからその、無防備な姿でくっついてくるの止めてくれ。
「よーし、春斗、行こ!!」
「瑞季、そこは!!」
「え?」
瑞季はプールサイドで足を滑らせた。
「バカ野郎!!」
プールに落ちかけた瑞季の手をつかんで自分の方に引き寄せる。
「良かった間に合った。」
「春斗、ありがと・・・あっ!?」
俺の引き寄せる力が少し強すぎたらしい。
プール側に倒れていた筈の瑞季の身体は逆側に倒れた。
それは手を繋いでいた俺も同じことなわけで、
瑞季が俺の上に覆い被さる形になった。
柔らかい感触が凄い。
楓とはまた違う柔らかさがした。
「春斗、ありがと・・・それと、ごめんね、重かったでしょ?」
「そ、それは大丈夫だったんだが・・・」
思った以上に意識してしまって・・・ドキドキする。
「良かった、じゃあ、改めて行こ!!」
ふう、なんとか意識することは無くなった。
「あ、でもまた転ぶのはごめんだから・・・手、繋いでくれると助かるな。」
瑞季も楓もドキドキさせるような台詞を言うのやめてもらっていいかな!?
楓は作戦の内だとしても瑞季がやっても俺の寿命縮めてるだけなんだけど!?
「春斗はさ、私でもドキドキしたりする?」
「する、というかしてる。誰だってこんなに近くに居たらドキドキするだろ。」
「そっか。」
今の時間は春斗を占領できる。独り占めできる。
私と春斗だけの空間。
私は握っていた手に放さないように力を入れる。
決めた。
この二人きりの間に告白しよう。
次回瑞季の水着回(寒い)
この間初めて感想貰いました。
嬉しかったなぁ。