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津軽藩起始 六羽川編 (1578-1580)  作者: かんから
第四章 津軽為信、和平を探る 天正七年(1579)田植前
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久慈義勇軍 第四話



 為信は(かがり)()を大いに焚いた。何もこれから戦さをするからではない。それは大切な弟を出迎えるためだ。……何年ぶりだろうか、己が久慈くじを離れてから十年もたつ。顔形はどうであろう、歳は七ほど離れているのできっと顔つきは立派なものになっているのではないか。体つきも屈強なものへ変わっているだろう。


 ……途中で領内のどこかで休んでいいと使いに伝えたのだが、彼が言うにはせっかく津軽へ参ったのだから、堀越まで脇目振らず向かうという。到着は真夜中になるだろうが、家臣一同彼を心待ちに待つ。








 丑の刻(深夜2時ほど)になってしまった。それでも何かの期待を胸に皆々待つ。たった百人と聞き及ぶので……これで戦さに勝つなどありえない。それでもうら若い武者がわざわざ本領を飛び出して、負けるとわかっている大戦さを助けてくれるという。それだけで感涙物なのだ。


 そして南部馬に乗った一団は堀越の城下へと入り、寝静まった町屋の道を進む。そして向こう側にある小高い丘の館へと向かうのだ。

 色はばらばらで統一性に欠けるが、すべてが甲冑で身を固めている。旗ざしはまさか二羽鶴を使うわけにいかないので、おそらくそれぞれの家の紋所だろうか。若いのもいれば、年寄りもいる。しかし皆々大活躍してくれそうな雰囲気である。月明かりに照らされ、陰ができる。その陰の動きもさぞ強そうで、もしや勝てるのではないかという幻想を与えさせる。



 ……一人が為信の家来衆の前へ騎乗のまま進み出て、大声で叫ぶ。


久慈(くじ)五郎(ごろう)(ため)(きよ)、御家の危機を救うがため、遠くよりまかり越した。」



 その若武者が馬より下りる。兜をとり篝火に照らされて、初めて顔つきがわかった。為信の家来衆より驚きの声が上がった。似ている、やはり似ているのだ。為清のほうが少し優しめそうに見えるが、目元口元は血の繋がった兄弟そのもの。


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