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津軽藩起始 六羽川編 (1578-1580)  作者: かんから
第三章 安東愛季、津軽征討を決断する 天正七年(1579)雪解
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堤氏復帰 第一話




 奥瀬おくせ氏の事に関しては菩提(ぼだい)のある(じょう)(まん)寺に残っているかと思いきや、津軽為信が油川(あぶらかわ)を制圧した後に潰されたのでほぼ残っていない。なので前章で書いた油川での騒動が本当の事かはわからない。一方で滝本(たきもと)重行(しげゆき)の痕跡は(そと)(がはま)地域にしっかりと残されている。何よりも最期を迎えるのは表題にある六羽(ろくわ)(かわ)での合戦ではない。……ということは一度外ヶ浜から追い出されたものの、不本意なことで再び舞い戻る。それは油川の町衆にとっても嫌な事。……この話は最終章に譲る。


 天正七年、旧暦一月十一日に起きた騒動。奥瀬善九郎(おくせぜんくろう)は外ヶ浜を統括する代官であるので、事の次第を主君である南部(なんぶ)(のぶ)(なお)へと伝えた。文章には滝本の罪状が数多く書かれ、意図的に嘘も散りばめられた。田名部(たなぶ)(むつ市)へと船で逃れた滝本であったが、そのようなことが起きていようとは思いもよらず。結果として新たに土地があてがわれることはない。これまで保っていた力は、なんとも薄っぺらなものだった。剥がされてしまうと、何も残らない。


 津軽為信を倒すという目的で、様々な者らを糾合(きゅうごう)し運命に抗ってきた。しかし……すべてに見放された。南部家にさえも。だが……滝本という男は、まだ諦めなかった。とても寒い北の土地ではあるが、ここで人生を終えるという選択肢もあったろうに。すべての揉め事から解放され気は晴れやかに、山に登ればきつい硫黄の匂いで全てを忘れることもできるだろう。


 だが、滝本は諦めない。宿敵津軽為信を討ちはたすのが己の役目。これを果たすべく行動しなければならぬ。そこで……滝本はある決断を下す。





 ”出奔(しゅっぽん)


 南部家より抜け出し、新天地に可能性を見出す。




 同じくして滝本が外ヶ浜より追い出されたことによって、もう一つの事態が動き始めた。油川で起きた騒動により、奥瀬自身も責を負うこととなった。これは彼の想定していたところである。


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