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シャスティング 犠牲になるのは私を愛してくれた人?  作者: 魔神スピリット
第一章

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第31話 竜人サーシャと妖狐

 美鈴に夢中になっていて、異界に引き込まれたのにも気付かず、あまつさえ、この醜態をマリア達どころかまるで知らない女性に見られるなんて・・・穴があったら入りたい。下ネタ的な意味ではなく。


「・・・ご主人様、そろそろどいて差し上げたらどうですか」

「・・・・・ハイ」


 こういう時、何気にルーザが一番怖い。


「き、貴様ら!なんてものを見せてくれたのだ!ちょっと興奮・・じゃなくて!私の目が汚れるではないか!」


 先程からまったく取り繕えていない女性は、とても美しかった。アスリートのように鍛えられた肉体美を持ちながら、絵画に描かれるような神秘的な美しさも兼ね備えている。肌の色は俺に近いだろうか。青い瞳に燃えるような赤髪、頭には、小さな角が二本生えている。


 身に付けているのは、鱗状の小さな金属が幾つも繋ぎ合わされた銀の鎧に、骨のような材質の柄に金属の刃が付いた斧だ。バルディッシュだろうか?不思議な力を感じる。”真理眼”で見てみるか。


〔竜骨のバルディチェ〕 スキル武器


スキル⚫再生 ⚫闘気 ⚫竜気



〔サーシャ〕 竜人 十七歳


スキル⚫言語理解 ⚫竜技 ⚫逆鱗 ⚫転換



 ”竜技”と”逆鱗”は、竜人固有のスキルだとルーザ達が言っていたな。詳細は二人に聞けば分かるだろうか?


 ”竜気”に関しては、聞いた覚えが無いな。


『落ち着きなよ、僕の可愛いサーシャ』

「その喋り方じゃなきゃダメなのですか?エメラルド様」


 二重に響く声の主は、眠そうな表情の仮面を付け、エメラルドグリーンの丸っぽい服を着た男だった。シアンよりも気取った物言いだな。


『やあ、やあ、やあ、よく来てくれたね諸君。私がシャスティング第五回戦を務めるエメラルドだ』


 大袈裟な手振りで自己紹介を始めるエメラルド。


 こいつのスキルも今の内に確認しておくか。


 ・・・つ!何かに弾かれた!?おそらく、”隠蔽”のスキル持ちだろう。スキルを見られないようにする効果が有ったはずだ。


『今回のシャスティングは、二対二のチーム対抗戦だ。よって、シオン様にはハンティングギアその物を返します。前回の報酬の駒は、シオン様にマテリア様が貸し与えた駒から選んで下さい』


 どういうことだと、シオンに視線で訴える。


「僕の持ち駒は四体だけなんだ。残りは全て、マテリア様から一時的に貸して頂いたものなんだよ」

『では、お選び下さい』


 エメラルドが手を振ると、半透明の四十六体の駒が現れる。


 焦らずに、一体一体目を通していく。

 どの駒も初期スキルしか持っていないか。

 ヒクイのように、変わった初期スキルを持つものを選ぶことにした。


〔獅子の駒〕 通常駒


スキル⚫咆哮


⚫咆哮:近くに居る敵の動きを二秒止める



〔孔雀の駒〕 通常駒


スキル⚫毒耐性


⚫毒耐性:毒が効かない



〔鼬の駒〕 通常駒


スキル⚫最後っ屁


⚫最後っ屁:肛門から悪臭を放つ


 最後のスキルは役に立つのか分からないが、まあ、良いだろう。


『ルールだが、プレーヤーはそれぞれメダルを五枚、色付きカードが二十枚に白のカードが十枚、駒が五体だ。ちなみに僕は、()()()を一体使わせて貰うよ』


 融合駒?また新しい種類の駒か。


『チーム同士の駒や陣地は味方として扱う。次にペナルティだが、プレーヤーの死と互いの庇護対象全員の譲渡だ』

「・・・エメラルド様?」


 ・・・つまり、俺が負けたらマリア達全員があいつの者になるっていうことか!


『構わないよね!君が勝てばこの娘を好きに出来るんだから!』


 サーシャの背に手を回し、鎧の隙間に手を入れ豊満な左胸を揉み始めるエメラルド。

 揉まれているサーシャは、眉をひそめながら恥ずかしがっているが、あまり嫌がっているようには見えない。

 こいつら普通にデキてるのか?だとしたらなぜ自分の女を売るような真似をするんだ?


「そいつは、お前の女じゃないのか?」

『大切なものを賭けて奪い合う。それがシャスティングだろう?なに、君が勝ったら僕のスキルも、駒も、全てくれてやるよ!もちろん、僕の可愛いサーシャもね』


 こいつがムカつく!女を一体何だと思っているんだ!

 俺の背後でも殺気が生まれる。

 今度はサーシャの剥き出しのお腹を摩っているし!・・・今度マリア達にしてみよう。


『報償はスキルクリスタル三つに融合石一個だ』


「シオン様のハンティングギアです。どうぞ・・・」

「・・・えっと、何かな?」


 サーシャが差し出してきたハンティングギアをシオンが受け取ったのだが、その間、サーシャがシオンの体を見回していた。


「シオン様、いえ、シアン様は男だと思っていました。女性だったのですね」


 あ、アレ本気で言っている顔だ。スゴい純真な顔をしている。


「え、あ、う、うん、そうだね・・・」


 シオンがしどろもどろになる姿は初めて見たな。コスプレも相まって、女らしい可愛さを感じる。・・・さすがに、この間まで男だったとは言えないよな。


『では、三時間後にお会いしましょう』

「待ってくれ!あっちの眼鏡の子は関係ないんだ。勝敗がどうなったとしても、彼女は元の世界に返して欲しい」

『・・・僕に頼まれても困るね。それに、勝てば良いだけの話だろう?』

「なら七時間!待機時間を七時間にしてくれ!」


 今回のシャスティングの打ち合わせ以外にも、向こうに戻ってからの話をしておきたい。七時間と言ったのは、向こうが譲歩したとしても、時間に余裕が残るようにするためだ。


『・・・七時間もあれば一週はデキるか。うん、最後の逢瀬を存分に楽しんでくれたまえ!』


 なんか勝手に勘違いされた挙げ句、応援されてる!?あいつの思考が分からん!だが、時間が貰えるなら有難い。だから、否定せずに置く。


『では諸君、七時間後に会おう。ハハハハハハハハハハハ』

 

 笑いながら去って行くエメラルドの背中に、サーシャが付き従う。その姿に、何故か哀愁のようなものを感じてしまう。


 彼女達の姿が見えなくなってから、マリア達に振り返って、待機室へと促した。


『ご主人様、後で彼女の事を教えてくださいね』


 何気に、ルーザが一番嫉妬深いのか?


          ★


 待機室に移動後、美鈴の事と俺達が置かれている状況を説明した。


「この状況で随分落ち着いていますね、貴方」


 ルーザが発した言葉は美鈴に向けられたものだった。


「シャスティングの話は聞いたことがあったので。まさか、本当に存在するとは思いませんでしたけど。・・・やっぱり、皆さんも超能力者なんですね。ここに来ると、超能力が身につくと聞いたことがあります!」


 仲間を見付けたとでも言うように喜ぶ美鈴。


「やはり、美鈴が言う超能力ってのは・・」

「スキルの事で間違い有りませんね」

「スキル?」


 不思議そうな顔をする美鈴に、無言で皆のスキルを表示した。


〔暗崎固金〕 異界人 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫並列思考 ⚫真理眼 ⚫催眠



〔泉マリア〕 異界人 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫幸運 ⚫閃き ⚫生存本能



〔ルーザ〕 エルフ 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫必中 ⚫???



〔火野祭り〕 異界人 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫剛力 ⚫魔力操作 ⚫火魔法?



〔立花楓〕 サキュバス・異界人 二十歳


スキル⚫言語理解 ⚫妖艶 ⚫器用



〔シオン〕 鳥人 十八歳


スキル⚫言語理解 ⚫痛覚耐性 ⚫危機察知



〔愛川美鈴〕 妖狐・異界人 十五歳


スキル⚫言語理解 ⚫魔力操作 ⚫創造魔法 ⚫幻影 ⚫模倣



「・・・スキル?超能力ではなく?・・・スキル」

「美鈴のスキルは異界に来て手に入れたものじゃないんだな?」

「・・・私の場合は、十五歳になると土や石を作れるようになって、気付いたら服とか黄金なんかも作れるようになってて・・・」

「十五歳になったことでスキルが発現したんでしょうね。最初は”土魔法”だったものが、”創造魔法”に変わったのでしょう」


 これで、美鈴の仲間達が持っているという能力が、スキルであることは確定だな。


「美鈴、お前が”エスパーズ”に参加した経緯を説明してくれないか」

「・・・分かりました」



⚫⚫⚫



 私が十五歳になった頃、自分が土を生み出す力を持っていることに気付きました。それから半年後には、様々な物を生み出せるようになっていました。


 最初は、自分には凄い力が有るのだと喜んでいました。ですが、段々と一人で秘密を抱えるのが辛くなってきて、両親の目の前で、披露してみたのです。結果は、我が子を見る目が化け物を見る目に変わるという物でした。


 親と話す機会が無くなり、孤独を強く感じるようになった頃、”超能力が使えるようになったことで寂しい思いをするようになった方が集まる会”というサイトを見付けて、相談してみました。結果、私は親元を離れ、別の街で暮らすことにしました。”エスパーズ”の本拠地が有る街に。


 高校に入学してすぐに”エスパーズ”の人達に会いに行きました。皆さん、一人一人違う能力を持っていて驚きました。内心、おかしな宗教だったらどうしようという思いが強かったのですが、皆さん、私の能力を見て凄いと褒めてくれたのが嬉しくて、その後も定期的に彼らと交流を持つようにしていました。


 ある日、リーダー格の男が「俺達は選ばれた存在だ!なのに、何故無能共に蔑まれなければならない!奴らこそが俺達に跪くべきなんだ!」等と言い出しました。


 内心、この人は何を言っているんだろう?と思いながら周りを見渡すと、多くの人の目付きが変わっていました。それから暫くすると、大抵の人が過激なことを口走るようになり、そうでない人達も逆らうのが危険な状態になってしまいました。


 ”エスパーズ”の中には危険な能力を持っている人も少なくありません。炎を操る人、石を握りつぶす人、雷を体から発する人、そういう能力を持っている人ほど過激派に回ってしまいました。


 気付けば、街で行われるコスプレ会場で、テレビの撮影が始まると同時に騒ぎを起こすという計画が練られ、実行当日まで私は、先輩を誘って仕事と趣味に走ることで、現実逃避していました。そうしないと、おかしくなりそうだった。


 コスプレ会場で先輩を見かけたとき、私はどうにかして先輩だけでも助けなきゃと考えて説得を始めたのに、いつの間にか支離滅裂な事を言っていて。


 今思い出したら恥ずかしい。特殊な力を持つ事を信じて欲しいと思いながら、先輩も両親のように離れていくと思うと辛くなって、罵倒しだしたと思ったら、先輩にあんな、あんなおねだりをして・・・あんなにエッチなキスをされて・・・やっぱり恥ずかしい。


 一通り先輩達に話をしたあと、先輩は一人で部屋を出て行った。


 私はマリア先輩を見る。

 綺麗な人だ。私なんかじゃどう足掻いても勝てないと思えるほどに。女の私が思わず見惚れてしまうほどに。


 初めてマリア先輩を見たのは一ヶ月ほど前。もの凄い美人の先輩に彼氏が出来たと学校中が騒然となっていた頃だ。その相手が固金先輩だと知ったとき、私は失恋した。

 その後は未練を断ち切れずに、だらだらと先輩後輩ごっこを続けていた。


 あの日、先輩とマンションのエレベーターで遭遇した日、私は先輩をどんな手を使ってでも繋ぎ止めようと思った。

 だって、悔しかったんだもの!同じマンションにマリア先輩が住んでいるのは知っていたし、朝にそのマンションで上から降りてきたエレベーターに乗っていたって事は、つまり・・・つまり、そういうことをしていたんだろうし・・・。


「これからは、美鈴ちゃんって呼んでいい?」


 マリア先輩が私に話し掛けてきた。間近で見ても、文句の付けようが無い美人だ。

 ・・・確かに、この人なら先輩の彼女に相応しい。同級生は、マリア先輩に固金先輩じゃ釣り合わないような話をしていたけど、私には固金先輩に釣りあう女が本当にいるのかという方が疑問だった。


 初めて会ったときから私の心は固金先輩のものだった。

 今まで私が出会った誰よりも、先輩の存在の密度は濃い。この人のあり方は、決して人間らしい感性で生きていないからこそ持ちえたものだと、直感した。


 超能力・・・スキルを持っている事で苦しんできた、普通とは違う人生を歩んできたはずの人達の中にも、先輩のような人は居なかった。


 何が、とは言えないけど、先輩は、私が異性に求めている何かを持っている人だと確信できた。

 

 だから・・・。


「美鈴ちゃんは、固金が好き?」

「・・・はい、好きです」


 意を決して、言葉にした。

 この人に勝てるとは思えない。それでも、もう諦めるなんて選択は無理だった。

 今すぐにでも私の全てを暗崎固金という男性に捧げたいと想ってしまっているから!


「皆さんは全員、先輩の彼女ですよね?」

「だったら?」


 ルーザと呼ばれていたエルフらしい人が睨んでくる。怖いけど、私はニッコリと彼女に向かって微笑んだ。


「私を、固金先輩のハーレムに入れてください。絶対に役に立って見せますから!」

「良いですよ」

「へ・・・い、良いんですか?」


 すんなり受け入れると言ったマリア先輩を、思わず凝視してしまう。


「固金さんを好きなら構わないですよ。固金さんも、貴方のことを大切に想っているようですし。フフフフ、固金さんと居ると、どんどん家族が増えていきますね!やっぱり、固金さんは素敵です♡」


 凄いなこの人は。見た目だけじゃない。中身からして固金先輩に相応しい人だ!


「ルーザさんも良いですか?」

「・・・私は、ご主人様に相応しい方であれば構いません。普通の人間ではないようですしね」

「・・・妖狐の事ですか?」


 私の家系には霊能力者が多かったと聞いたことはあるけれど、妖狐の話なんて今まで聞いた事が無い。


「私、心当たりが無いんですけど・・・」

「私の家系みたいにご先祖様が異世界から来た人だったとか?」


 綺麗な黒髪の女性が、私の両肩に手を置きながら、ルーザさんに尋ねる。


「その可能性はありますけど、妖狐なんて種族聞いたことが無いんですよね。私が知らないとなると・・・()()()()()()()()()()の時代かもしれません。狐耳や尻尾も無いので、狐の獣人という線は無いですし・・・」

「狐耳に尻尾・・・」


 頭の中で自分に狐耳と狐の尻尾が生えるのをイメージしてみる。・・・結構恥ずかしいな。


「・・・み、美鈴ちゃん?頭とお尻に・・・」

「皆さん?」


 部屋にいる全員が私を見ている。・・・なんで?


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