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シャスティング 犠牲になるのは私を愛してくれた人?  作者: 魔神スピリット
第一章

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第29話 ご褒美

「な、なんでこうなるんだ!?」


 シオンが自分の身体を弄りながら、戸惑っている。

 女らしい凹凸がある身体を、女性らしい細い腕が流れていく。


「こんな、馬鹿なことが・・・」


 涙目で弱々しく呟くシオンの姿は、悲劇のヒロインさながらだ。・・・男の時よりも声が高くなったかな。男にしては、元々高かったけど。

 毒気を抜かれるどころか、哀れにすら思えてくる。

 ・・・本当にこいつ、男だったのか?


『では固金、シオンとルーザをよろしくな』

「待て!」


 こいつには、聞きたいことがあったんだ。


『なんだ?』

「銀の大時計とシャスティングには、何か関係があるのか?」

『・・・アレは、異世界に我の力を干渉させ易くするための触媒、中継点のような物だ』

「・・・もし、時計に俺達が近付かなければ、俺達が異界に引き込まれることはなくなるんじゃないのか?」


 マテリアはどうでる。


『関係ないな。確かに近付かなければ、次に異界に来るまでの時間は稼げるが、それでも一カ月がせいぜいだ』

「つまり、シャスティングを仕掛けているのはお前と言うことだな!」


 分かってはいたことだ。こいつのせいで、俺の家族の絆は引き裂かれたということは。

 ただ確認しておきたかっただけの話。

 

『・・・・・我を憎むか、暗崎固金』

「・・・シャスティングのおかげで、マリア達と出会えたからな。まったく憎んでいない訳じゃないが、感謝だってしているんだ。・・今が幸せだから、感謝も出来る」

『・・・・・・・・もし、我を滅ぼしたいと思うのなら、異世界に来い。第七戦に勝てば、シャスティングから永久に解放されるか、異世界で生きることを選べる。異世界で勝ち続けるならば、いずれ、我にシャスティングを挑む権利を得ることも可能だ』

「神を殺す方法があるって言うのか!?」

『しかり。我を含め、向こうで崇められている六神は皆、元々人であったのだから』


 マテリアは、元々人間だった!?


『異世界に行けば、ルーザ達に施した制約も解ける。詳しいことは、向こうに行ってから、二人に聞くのだな』


 そう言い残し、マテリアは姿を消した。


 異世界か。どんなところだろう・・・・・。


 世界が白く染まる。



            ☆



 例の公園に戻ってきた。


「ここは、異世界か」


 そうか、シオンからしたら、こっちが異世界になるのか。


 改めて公園を見渡す。俺の人生を大きく左右した場所を。

 二度と、この光景を見ることは無い。

 俺はマリア達と、未来を歩くのだから。


            ☆


 帰りの新幹線の中で、俺は”真理眼”でみんなのスキルを確認する。


〔暗崎固金〕 異界人 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫並列思考 ⚫真理眼 ⚫催眠



〔泉マリア〕 異界人 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫幸運 ⚫閃き ⚫生存本能



〔ルーザ〕 エルフ 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫必中 ⚫???



〔火野祭り〕 異界人 十六歳


スキル⚫言語理解 ⚫剛力 ⚫魔力操作 ⚫火魔法?



〔立花楓〕 サキュバス・異界人 二十歳


スキル⚫言語理解 ⚫妖艶 ⚫器用



〔シオン〕 鳥人 十八歳


スキル⚫言語理解 ⚫痛覚耐性 ⚫危機察知



 シオンは、鳥人なんだよな。今は翼が無いから実感が湧かないが。

 鳥人の翼は魔力で生成するらしく、翼が邪魔なときは消すのが当たり前の物らしい。


「どうかしたのかい?」

「いや、女として接すると言うことで良いのかと」

「ま、まあ、固金が望むなら、そういう事も、が、頑張るけれど・・・」

「シオンさん、主人に対して呼び捨てはおかしいのでは?」


 ルーザの声が少し怖いが、シオンは何気ない口調で続ける。


「確かにその通りだ。そうだな・・・マスター、うん、マスターと呼ぶことにするよ」


 何気ない仕草が気取っているように見えるが、ボーイッシュな美女であるシオンにはよく似合っている。


「ああ、スキルのことなんだけど・・・」


 先程”真理眼”で見た物を、ハンティングギアを使って二人に見せる。

 なお、マリア、祭り、楓の三人は新幹線に乗って早々眠ってしまった。三人は特にシャスティング時のダメージが大きかったからな。肉体より精神の方が疲れているんだろう。


「私が、新しいスキルを修得しかけていますね」

「祭りの”火魔法?”については分かるか」

「魔法スキルが変化しようとしているね。いずれ、祭り君だけの魔法が生まれるだろう」

「自分だけの魔法ってやつか」


 シャスティングに関係するという事で、以前ルーザに聞いたことがある。魔法は、”火魔法”のような下級スキルを手に入れてから暫くすると、自分だけの強力な魔法に進化する事があると。

 今日のシャスティングで、手の内を全て使い切ったも同然となった。

 祭りのスキルが進化すれば、手札が一枚増える。それだけで、勝率が違ってくるからな。

 次のシャスティングに、間に合えばいいが。


「ご主人様♡、早くご主人様の新しいスキルを見せてくださいよ!」

「僕も気になる!一対一で通常駒が進化駒に勝つなんて、とんでもないジャイアントキリングだからね!!」


 俺も気になっている。詳しい説明が有るのを祈ろう。


⚫真理眼:”必中”、”感応”、”鑑定”、”閃き”、”魔力見知””精神耐性”のスキルを得る


 ・・・・・・どういう事だ?


「強力な複合スキルだろうとは思っていたけど、六つのスキルが一つに統合されたスキルなんて、見たことも、聞いたことも無いよ」

「複合スキルってのは?」

「言葉通り、二つ以上のスキルが一つのスキルとして顕現した物のことなんですけど・・・精々二つか三つなんですけどね‥」


 いつもなら「ご主人様スゴい♡」と言いそうなルーザすらドン引きしている。それだけ、このスキルは規格外と言うことか。


「”真理眼”の六つのスキルの内、分からないのは四つか。これ以上詳しは調べられないな。二人が知っているスキルが有れば教えてくれ」

「分からないのは、”感応”、”鑑定”、”魔力見知”、”精神耐性”ですね。”鑑定”は自身、又は他者や物のスキルを見ることが出来るようになります。”魔力見知”は魔力が見えるスキルですね。後は分かりません」


 スキルが見えるようになったのは”鑑定”の効果だな。”魔力見知”は、時々見えていた緑の光が見えるようになるのだろう。

 だとすると、魔法以外のスキルも、魔力を消費している事になる。つまり、スキルを使用しているかどうかいち早く感知することが出来る。魔法でもないワルツの”突風”の攻撃範囲を知ることが出来たのが、その証拠だろう。


「”精神耐性”は、精神系の状態異常を全て無効化するレアスキルだよ。混乱や魅了等は一切効かないはずだ。”感応”に関しては・・・分からないな」

「おそらくだけど、駒を操る能力を上昇させる効果があると思う」


 あくまで感覚的に思ったことだが、駒との一体感が増した。あの感覚は、思い込みのレベルを明らかに越えていた。

 ガロンを上手く操れるようになったのは、”感応”のスキルの効果だけじゃない。

 あの時、”真理眼”を手に入れた時に感じた全能感。あれは、”真理眼”で得た膨大な情報を”並列思考”によって処理できたからこそ辿り着けた境地ではないだろうか。

 あの感覚は、自分の人格を書き換えてしまいそうで恐ろしい。

 大事な物を見失わないようにしないと。



           ☆



「皆に聞いて欲しい事がある!」


 全員でマンションに帰宅し、夕食前にお風呂を済ませようと、皆で入浴している最中に、突然シオンが叫んだ。

 全員タオルは巻いている。


「僕の過去について話しておかないと、色々面倒な事になると思うんだ。・・・だから、全て聞いて欲しい」


 そう言って、シオンの話が始まる。



⚫⚫⚫



 物心ついた頃、僕は既に母から虐待を受けていた。

 成長するにつれ、振るわれる暴力は、少しずつ過激になっていった。

 それでも母は、僕を見捨てなかったし、優しくしてくれることも沢山あった。


 母から虐待を受ける事が、異常なことだと知ったのは、十四歳の頃だ。

 それまでの僕は、母から罵声を浴びせされ、殴られ、蹴られ、食事を抜かれたり、刃物で薄皮一枚切られるのは、親子として当たり前のことだと思っていた。

 切っ掛けは、近所の鳥人達が母を糾弾したことだった。


 その日のうちに、母は僕を連れて村を出た。


 旅を終えて、別の国に入った頃のことだ。母は、なぜ僕に暴力を振るうのか、錯乱しながら叫びだした。

 狂気を漲らせて発せられた言葉は、僕の出生に関する事。

 シャスティングで父親が負けたことで、好きでもない男と関係を持つことになり、結果、僕を身籠もってしまったこと。そのシャスティングで身寄りが無くなった母にとって、今まで僕が心の支えとなっていたと同時に、憎悪の対象でもあったこと。

 そして、生まれ故郷を離れたことで、全てがどうでもよくなったこと。


 全てを語った母親は、栄養不足でか細い僕を押し倒し、首を絞めて殺そうとした。けど、その瞬間、強制的に異界に召喚された。

 僕がいた世界では、誰かを本気で殺そうとすると、シャスティングで決着を付けることになる。

 でも、このルールが適用されるのは十五歳になってからだ。

 だから、母は本気で驚いていた。旅の途中で、僕が十五歳になった事に気付いていなかったんだ。

 十五歳以下なら、物理的に殺せるからね。


 僕と母はシャスティングを行い、負けた母は死んだ。

 最後まで生にしがみつこうとする母は、とても醜かった。

 その後、僕は女の匂いや声が駄目になってね、地道に働きながら、非道な女を見付けてはシャスティングを仕掛けて()()していたんだ。


 ただ、暫くして王国の人間に追われるようになっちゃったんだよね。綺麗な男の子達に、性的な暴力を振るっていた皇女を殺したのがマズかったみたいだ。

 その後は、マテリア様に匿って貰う代わりに、二年以上異界人とシャスティングをしていたんだ。


 ザックリした話だけど、まあ、これが僕の人生の全てかな。

 ああ、ちなみに、僕の初恋は固金だからね!



⚫⚫⚫



 制約のせいで大雑把に言うしかないのは分かるが・・・・・・重っ!!

 初恋が俺だって言うのも意外だ。あんなにハッキリと美少年が好きと言っていたのに。


「今日初めて気付いたんだ。今までの僕は、恋に恋していただけなんだって。僕が固金に抱く感情は、最早・・・あ、愛だよ!」


 頬を染めながら、恥ずかしそうにするシオンは可愛い。

 シアンの時は、もっとハッキリ好意を口にしていたのに。

 

「シオンちゃんは、今も女の人の匂いとか駄目なの?」


 楓が心配そうに聞く。性についてずっと苦労してきたからな、心配なんだろう。


「・・・女体化した影響か、さほど気にならない。元々、いい女に対しては、あまり嫌悪感を抱かなかったからね、ここに居る皆に危害を加える事は無いよ」

「気に入らない女が居ても殺したりするなよ」

「・・・・・・うん」

「そこで渋るなよ!」

 

 なんか不安だな。マンションから出さないようにすれば大丈夫だろうけど。


「シオンちゃん、ゴメンね」


 いつの間にか、シオンに近付いた楓が、シオンの腕を取り、自分の胸に押しつけた!?


「・・・ジンマシンが出ない。やっぱりシオンちゃんは、元々心が女の子だったんじゃないかな」

「へ!・・・そ、そんなはずは無い!・・・無い・・はず・・」

「私って、男の人に触られると体調が悪くなるんだけど、前に性と身体が不一致な人達に会ったことがあって、身体が男だけど心が女の人に触られたときは平気だったの。逆に、身体は女だけど心が男の人に触られた時は、気絶しそうになったんだよね。だから、シオンちゃんは多分・・・・・」

「僕の心は、元々女だった?・・・・・だけど・・」


「どっちでもいいんじゃないか?」


「「「「「へ!」」」」」


 俺以外の全員が驚いた顔をする。・・・何故!


「女の身体で男が好きなら問題無いだろう。女の身体が嫌って訳じゃないんだろ」

「ま、まあ、この身体の方が固金も喜んでくれるだろうし、少しは母の気持ちも分かった気がするし・・・」


 母の気持ち?


「好きな人以外のものが入ってくるのは嫌だなーと、思ったと言いますか・・・」


 もじもじしながら頬を赤らめるシオン。お前、もう女で良いだろ!男と認識するのは不可能です。後、生々しい下ネタを言うな!


「シオンさん!こうなったら、固金さんに胸を触って貰いましょう!」


 マリアさん!?なぜそうなる!!


「そういえば固金さんに、ご褒美で胸を揉ませるって事になってましたね」

「ほ、ほ、ほ、本当にやるの!」


 思い出したように語るルーザに、慌てる祭り。


「早く、浄化して♡」


 ”妖艶”スキル全開でおねだりしてくる楓。

 ”真理眼”の中に”精神耐性”が含まれているから、もう”妖艶”の効果は受けないんだが。

 でも、・・・浄化しちゃいましょう!


「あっ♡・・ん!・・はん♡」


 もの凄いエロい。

 上気した頬に濡れた身体、艶やかな黒髪は湯に入らないように上でまとめられているため、綺麗なうなじが見える。

 両手で胸を揉むたびに、ビク!と撥ねる身体。タオルの上からだけど、スゴい柔らかい。

 ”妖艶”のスキルなど無くても、楓はよこしまな男を近付けるだけの美貌と色気の持ち主であると、再確認する。

 

「次は私です!」


 と言って胸を突き出すルーザ。

 ルーザの肌は、本当に綺麗な色白で、神秘性すら感じる。


「ん!・・・も・・っと・・強く~♡」


 湯船につかっていたからか、いつもよりもシットリとした肌に胸の弾力が合わさるという、凶悪なコンビネーションが指先から襲い掛かって来る。・・・タオルの上からだけど。

 ルーザの顔は、恥じらう乙女ではなく、喜びを噛みしめるメスそのものだ。

 時間が経つにつれ、色白の肌が、赤みを帯びていく。

 このまま揉み続けたい!

 

「さっさと私のも触りなさいよ!」


 我を忘れかけていた所に、自分の胸を真っ赤な顔で差し出してきたのは祭り。

 祭りの胸は、ここに居る面子の中では一番小さいが、十分巨乳にカテゴライズされる。


「激し・・い♡もっと・・優しく♡・・し・・ろ♡」


 消え入りそうな声で訴えてくる様が堪らない!

 くせっ毛の茶色身を帯びた黒髪を下ろした姿は、普段よりも色っぽい。

 祭りの胸は、大きさや形が非常に揉みやすく、心地よい弾力で押し返してくる。・・・タオルの上からだけど。

 ・・・・・はあ、落ち着く。お互い、純粋な日本人だからだろうか。


「次はシオンさんですよ!」


 マリアに背中を押され、目の前まで来たシオン。

 潤んだ瞳から、誰よりも緊張しているのが分かる。


「ま、前からは恥ずかしいから、・・・後から・・して♡」


 他意は無かっただろうが、俺の理性を穿つには十分だった。

 シオンが背中を向けた瞬間、脇から両手を通し、思いっきり揉みしだく。


「ひゃあ!・・・♡そんな、けもの・・・みたい・・・に♡・・あん♡!」

「よくよく考えたら、今日はシオンに、皆痛い目に遭わされているからな。甘んじて受けろ!」

「ご、ゴメンなひゃ!・・・い、痛い♡・・けど、それが良いの!」


 痛みを快楽に感じるというやつか。

 ”痛覚耐性”を発動すると、生きるのに必要な痛みすら感じられなくなるため、日常生活では使用していないと言っていた。

 つまり、今シオンが感じている痛みは、素の痛みと言うことだ。だから、決して、もの凄く強く揉んでいるわけではない!揉みしだいてはいるがな!・・・タオルの上からだけど!


「固金に揉まれるの・・好き♡もっと、ゾワゾワしたいの!マスターーー♡!!」


 シオンの胸の弾力がもの凄いので、つい、指に力を入れてしまった。


 さっき、シオンの身体がビクン!と跳ね上がったが、本人には触れないでおく。

 数分揉んだだけで()()な事になるはずがないので、触れる必要性など皆無である。


「これが女の身体。・・・なんて恐ろしいんだ」


 それ、とろけた顔で言うセリフですか?


「ハイ、固金さん」


 最後に胸を突き出してきたのは、愛しの女神であるマリア。

 

「ン♡」


 首筋から鎖骨へ、鎖骨から谷間へと指を滑らせていく。

 マリアのタオルに指を掛け、キワドイ位置まで下げる。

 羞恥と期待が入り乱れた表情が綺麗で、いつの間にか、欲情の中に感動の波紋が拡がっていく。

 獣のような情欲から、純粋な愛しさに塗り変わっていくのが分かる。


 やっぱり、一番はマリアだ。心でそう感じてしまっている。

 気付いたら唇を重ねていた。舌は絡ませない。互いに唇をついばむように、愛していると伝えるためにゆっくりとキスを繰り返す。

 

「フフフ、私の胸は触らなくて良いの?」

「今日はいいさ」


 今胸に手を出したら、この気持ちを汚すことになる。そんな気がしてならない。


「これが、私達とマリアさんの差なんですね。・・・羨ましい♡」

「肉欲で誘おうとした自分が恥ずかしいよ♡」

「スゴい、同級生なのに、なんて大人な雰囲気♡」

「通じ合っているのが分かる。僕も、マスターとあんな風に♡」


 高校生にしては大人で、大人にしては純粋な、甘い時間が過ぎていく。


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