表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャスティング 犠牲になるのは私を愛してくれた人?  作者: 魔神スピリット
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/36

第20話 火魔法vs閃き

 シャスティング開始と同時に、三体の通常駒を突撃させる。

 予想通り、向こうはプレシャスを守ることに全力を注ぐようだ。

 四体で密集陣形を組み、その内側にいるプレシャスの前に牛の駒を配置している。タワーシールドの特性を生かすためだろう。


 こちらは万が一に備えて、ルーザと祭りをマリアの護衛に当てている。

 今回ルーザは、パープルのときには使えなかった、彼女本来の武器である弓矢、”ウタ”を使用している。

 弓矢には攻撃回数に制限があり、ルーザの背中の矢筒には矢が八本しか入っていない。これは、シャスティング上の決まりだ。


 話は変わるが、ルーザの現在の格好は、一言で言うと”妖精の娼婦”だろうか。

 大胆に胸元と太ももを露出した淡い紫の布に、金の帯を着けただけの、防御力がほぼゼロの服だ。・・・・・簡単に脱がせられそうなデザインなんだよな。


 マリアと祭りは以前と同じ物を着ている。

 一度決めると選択し直す事が出来ず、どうしても替えたい場合は、自力で用意しなければならないが、シャスティングに適した服など簡単には用意できない。

 

 この勝負、勝てないなどとは微塵も考えていない。

 相手のメダルさえ消費させれば、幾らでも勝ち筋が見えてくる。

 逆に言えば、相手にメダルを温存されれば確実に負けるだろう。

 まずは挑発してみますか。


「どうしたクリムゾン!そっちは攻めてこないのか?偉そうな事を言っていたくせに、ただの腰抜けなのか!」

「・・・・・」


 さすがにこの程度の挑発には乗ってこないか。


 ガロンとヒクイが敵駒と接触する。

 二体の攻撃に敵の陣形は揺らぐが、崩すにはほど遠い。


 接触から数秒後、クラコが追いついたが戦闘には参加させない。

 敵は守ってばかりで、自分から動こうとしない。

 ここまでは予想通りだ。

 イレギュラーが無ければ勝てるだろう。


『ファイヤー!』


 クリムゾンの手から炎が生まれ、自分の駒ごとガロンとヒクイを焼く。

 炎を浴びたのは俺が二体、向こうは五体まとめてだ。どう考えても向こうの方がデメリットが大きいはずなのに。


「ぐうっ!」


 熱さは感じないが、焼かれた痛みがジワジワと全身を覆っていく。


 炎が止み、駒の姿が見えてくる。

 身体の各所が溶けている俺の駒に対し、向こうの駒は無傷。どういう事だ!?


「第三戦で魔法が使える者を出すなんて。ご主人様!奴の駒は炎を無効化するスキルを持っています!」


 ルーザが情報をくれる。

 メダルを使用した気配は無かったから、スキルなのは間違い無いだろう。

 あ~~~身体がヒリヒリして駒を動かしたくね~。

 先手を取られた以上、全力で動くしかない!


『があああああ!!・・・・・何が!・・・」


 クラコを二体の後方に置いて、攻撃させなかったのはなんでだと思ってやがる。

 クラコには”潜水”のスキルがあるが、下半身が尾鰭ではなく二足歩行のため、他の海の駒のように早く泳げない。

 だから、クラコの蛸足だけを伸ばして地下を()()()()。 

 結果、背後から十の湾刀に次々切られることになった。

 クラコが元々持っていた”触手のスキルのおかげである。


〔蛸の駒〕 通常駒


スキル⚫潜水 ⚫触手



⚫触手:触手の類を伸ばし、操るスキル


『ガキが!ガキどもが~~~~~!』

「ようやく、らしくなってきたじゃないか」


 すかさず挑発しておく。

 プレシャス専用陣地が無ければ、奴を直接狙えたかもしれないが。


『メダルを二枚使用!”フィールドリバース”!”フィールドリバース”!』


 早くもメダルを二枚使用してくれるのか。こちらとしては有難いが。

 ちなみに”フィールドリバース”の効果は、自身の駒全てを少し再生するとういものだ。

 他には、駒一体のみを再生させる”リバース”があり、こちらの方が再生効果が高い。


 クラコの触手湾刀に気が付くと、盾でガードされるようになるが、全てに対処出来ずに再生した傍から傷ついていく。


『クソクソクソクソクソクソクソクソガキがーーーーー!!』


 らちがあかないことに気付いたようで、牛の駒が前に出て来てクラコに突撃を仕掛ける。

 この有利を逃す手はない。ガロンを牛の駒にぶつけ、クラコを守る。

 

『ヘビープラスーーー!』


 メダル無しでのカードの発動。とっくに三十秒経過しているからな。

 ”ヘビープラス”の効果は、二十秒間駒一体の重さを二倍にするというもので、今回対象になったのはガロンだった。


 動きが遅くなったガロンの攻撃を盾でいなされ、盾の角張った部分で腹を殴打される。

 鈍痛が腹に伝わる。ガロンの”堅牢”のスキルのおかげか思っていたほど痛くない。


 ちなみに、”頑強”のスキルはダメージを減らすのであって、痛みを減らすスキルではないため、俺が取得しても意味が無い。俺自身が直接傷ついている訳ではないからだ。


 クリムゾンが牛の駒に思考をさいた事で、残り四体の動きが悪くなる。結果、触手湾刀によるダメージが増していく。

 ガロンはサンドバッグ状態になってしまっているが、牛の駒の足止めに成功している。


 ルーザが言っていた、トッププレーヤーはみんな”並列思考”のスキルを持っているという意味がよく分かる。

 パープル戦の時もそうだったが、戦場が二つに別れただけで、相手の駒の制御がおざなりになっている。

 俺もグレー戦の時はスキルを使いこなせてなかったが、スキルの存在を認識したことで、同時に複数の事を考えるのが当たり前になっている。

 このたった一つのスキルによって勝敗が分かれると言っても良い。

 現に、クリムゾンが既にカードを三枚使用しているにも関わらず、一枚も使用していない俺の方が圧倒しているのだから。

 とは言え、油断する気など欠片もないが。


 ”ヘビープラス”の効果が切れた瞬間、俺は勝負に出る!


「ビーストダウン!」


 敵の陸駒全ての動きを三秒だけ停止するカード。

 ガロン、ヒクイ、クラコの三体に敵の駒を突き飛ばさせる。

 さすがに三秒で全ての駒にトドメを刺すことは出来ないが、シャスティングの勝敗を分けるのは、倒した駒の数じゃない。


 ルーザの直線上から邪魔な壁が無くなる。

 クリムゾンの姿さえ見えれば、ルーザの”必中”のスキルが発動する。


『ガハッ!・・・・・そん・・な・・』


 ルーザの放った矢が、クリムゾンの胸を貫いた。


 ルーザには、チャンスがあれば射れと言っていたが、相手にメダルを全て使わせてからチャンスを作るつもりだった。

 当初の俺は、必要以上に警戒していたようだ。


 さらに、ヒクイの強力な蹴り爪がクリムゾンの腹に決まり、ジャマダハルによって右腕を切り落とす。


 あのダメージなら確実に破壊した。間もなくプレシャス駒は消滅する。


『メ、メダルを二枚使用!リバース、マジックブースト!』


 消滅せずに、カードの発動だと!?


 クリムゾンの身体が消滅しない程度に回復し、もう一枚のカードの効果も発動する。

 ”マジックブースト”は、駒一体の発動する魔法の威力を一度だけ二倍にするという効果だ。


『ファイヤーーー!』


 威力二倍の炎がヒクイ、ガロン、クラコを呑み込んだ。

 クリムゾンが魔法を使うまでの間、何も出来ないなんて情けない。


 全身がチリチリと、痛みで溶けていく気がする。三体の駒の焼かれる痛みが俺を襲っているんだ。

 痛みで思考が破綻していく。

 駒の動きが止まってしまう。


 その時、視界の中に二人の人影が見えた。



⚫⚫⚫



 巨大な炎が固金さんの駒を呑み込んでいく。

 その時、私の頭の中で何かが閃いた。もしかして、”閃き”のスキルが発動した!


「来て!祭りさん!」

「えっ!」


 気付けば祭りさんに声を掛け、私は駆けだしていました。

 炎が治まったとき私と祭りさんは、プレシャス駒(クリムゾン)の前に辿り着いていた。


「ハアーーーー!」

「セイヤー!」


 私の剣が身体を切り裂くのと、祭りさんの拳が頭を殴るのは同時でした。


『キサマらーーーーー!!』


 まだ消えないなんて!?


 クリムゾンが持っていた盾で殴り付けてきた瞬間、矢が彼女の左肩を貫き、体勢を崩す。

 さすがルーザさん!


『ガキが!・・・クソガーー-ーーーーーーーーーーー-!』


 ようやくクリムゾンの身体は、光となって消えました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ