表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャスティング 犠牲になるのは私を愛してくれた人?  作者: 魔神スピリット
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/36

第19話 エロフの想い

「あん♡おっきいの!・・・きちゃう~♡」


 どうやら、ルーザは自分が異界に来たことに気付いていないらしい。

 無地の白い半袖に紺色のミニスカート姿のルーザは、右手を自分の下着の中に突っ込み、左手で布を顔に押しつけ、自慰に夢中になっている。・・・・・あいつが持ってるの、俺のパンツじゃねぇか!!

 さすがに、これ以上あんな醜態を晒させる訳にはいかない。


「ルーザ!目を覚ませ!」


 ピタリと、ルーザの動きが止まる。

 ルーザの視線が動き、俺と目が合う。


「・・・・・ご、ごめんなさーい!!」


 顔を真っ赤にして瞬時に起き上がり、待機室へと繋がる階段へ走って行くルーザ。


 ルーザは、俺が思っていた以上にエロフだったようだ。・・・可哀想に。


『ガキどもが、クソみてーなもん見せやがって!』


 随分ヒステリックな声だな。

 声の主は、怒りの形相を貼り付けた仮面に、紅色の刺々しい服と帽子を身に付けた女。


『私はクリムゾン!お前らをぶち殺す女だ!』


 ルーザの醜態を目撃して切れているのだろうか?

 正直ウザい。


『まず、お前たちにはペナルティと報酬を、次の二つから選択してもらう!』


 少なくとも、あの女を俺の奴隷にするのは絶対嫌だ。

 全ての生物にとって、”うるさい”は悪です!


『敗北したらプレーヤーが死に、勝てばスキルクリスタルが一つ手に入るのが一つ目。二つ目は、勝てばスキルクリスタルが三つ手に入る代わりに、敗北側は全員が死ぬ!ハハハハハハハハハ!さあ、選べ!!』


 悪趣味な選択肢だな。どちらにせよ、俺は助からないけど。

 とはいえ、どちらを選ぶかなんて明白だ。どう考えても一つ目を・・・・・。


「二つ目に決まってます!」


 マリアが宣言した。


「いや、リスクがデカすぎる。一つ目なら犠牲になるのは俺だけで済むんだ!」


 最悪、みんなが生き残ってさえくれれば、それで良いんだ!


「アンタ、馬鹿じゃないの!」

「そうです!固金さんが居なくなったら、意味が無いんです!」

「アンタが死んだら、ルーザがどうなるか忘れたの!」


 ああ、そうか、奴隷であるルーザは、主人の俺が死ねば一緒に・・・・・すっかり忘れていた。あいつと俺が、本当の意味で一蓮托生だということを。


『なあ、二つ目だよな!二つ目を選ぶよな~!二つ目で良いんだろう~!!』

「三つ目だ!」

『ハアアアアアアアアアア!?』

「俺達四人の命を掛けるのに、スキルクリスタル三つじゃ足りないんだよ!」


 リスクを負うなら、リターンは少しでも大きくしないとな!

 二人のおかげで、なんか吹っ切れた!


「どうせ死ぬんだ!()()()()()()()()()()()()よ!」


 こいつの自信の源が、自分のスキルだとしたら、レアスキルを一つぐらい持っているかもしれない。


『か、勝手に決めてんじゃねーよ!テメーにそんなことを言う資格なんて・・・・・』

『良かろう、三つ目の選択肢を認める。敗北した場合は、四人共々死んで貰うがな』


 突如、乱入してきたのはマテリア。声だけであったが、クリムゾンが黙るどころか震えている。


『ま、マテリア様。い、いくらマテリア様でもこ、この様なこ、ことは・・・』

『我がルールだ。我に従え』

『か、か、畏まりました』


 どうやら、こちらの要求は無事通ったようだ。


『だ、第三戦のルール説明を行う。第二戦との変更点は、使用出来るメダルが三枚に増え、駒は五体になった。それと、制限時間五分を設ける。その間に決着がつかなければ、私の勝ちだ。変更は以上だ。三時間後にシャスティングを開始する』


 大分静かになったな、あの女。説明が終わった後、さっさと消えてしまった。


 ・・・俺も、シャスティングの準備をしますか。


            ★


 俺達が待機室に移動すると、ルーザが隣の部屋から出てきた。

 髪が濡れていたので、シャワーを浴びたのだろう。

 あの後、寝室で続きをしたのだろうか?


「あ、あの・・・」


 ルーザが何かを言い淀む。


「私達は隣の部屋を借りますね」


 そう言って、マリアと祭りが部屋を移動した。


 気まずい空気が流れる。


「わ、私のこと、嫌いになりましたか?」


 不安そうに尋ねてくるルーザ。

 その問いにどう答えろと!


「・・・まあ、正直引いたけど、・・・・・ルーザが俺のこと、慕っているっていうのがハッキリしたのは・・・う、嬉しかったかな・・」


 微妙な空気が流れる。


「わ、私は、いつでもご主人様を受け入れる覚悟は出来てますからね!む、むしろ押し倒してしまいたいですから!・・・一番はマリアさんに譲るつもりですけど」

「・・なんでお前は、俺のことをそんなに・・・」

「ひ、一目惚れだったんだから仕方ないじゃないですか!私の理想を体現したような人が目の前に現れたんですよ!シャスティングで競ってみて、この人になら全部捧げられるって思っちゃったんですもん!」


 ルーザがそこまで一途に想っていたなんて。

 自身の想いを捲し立てたルーザの顔は、恋する乙女そのものだった。

 綺麗な女の子とは思っていたけど、こんなに可愛かっただろうか。


 無言になった二人の唇が、ゆっくりと近付いていく。


「ん!ん♡んー!♡」

「こ、固金~♡スゴいよ~♡」


 微かに聞こえた二人の甘い声に、我に帰ってしまった俺達。

 一瞬、覗かれていたのかと思い冷や汗をかいたが、そういう訳ではないらしい。


「しゃ、シャスティングのことで話し合って置きたいことがあるんだけど・・・」

「そ、そうですね・・・・・」


 あいつらも、ルーザの姿に興奮していたのか。


 変な空気が流れる。




 暫くして、俺とルーザは真剣に話し合っていた。


「苛烈な言動が多かったが、攻めよりも守りで来るだろうな」

「向こうは、守ってさえ居れば勝てますからね。使うカードは、間違いなく緑でしょう。これまでのシャスティングは全て確認しているはずですから、新しい戦術が必要ですね」


 打てば響く掛け合いをしてくれるルーザ。こういうとき、彼女の存在がとても頼もしいと同時に心地よくも感じる。


 ガチャ


 マリアと祭りが戻ってきた。

 二人とも頬が赤い気がする。

 あ、目をそらしやがった。


 後は四人で、作戦の打ち合わせをした。

 話し合いが終わったのは、待機時間が残り一時間に迫った頃だった。

 

「固金さん?」


 おもむろに立ち上がった俺に、マリアが声を掛ける。


「じゃあ、隣の部屋、使うから」


 至って冷静を装って部屋を移動する。

 多分、バレバレだろうけど。


 仕方ないじゃん。俺だってムラムラしちゃったんだよ!


 俺が部屋から戻ってくると、生暖かい目で見られた。

 特にルーザは、幸せそうな顔をしている。


 ああそうですよ!お前をオカズにしましたよ!ちくしょう!


 居た堪れない空気が流れる。と、同時に妙な一体感があった。


《『シャスティング第三回戦を行う!サッサと準備しやがれ!』》


 心の中でクリムゾンに感謝した。


            ★


 今回のバトルフィールドは、第一戦のときのように長方形だ。陣地も真ん中で分かれている。

 違うのは第一戦のときよりも細長い形をしている事だ。横が五メートル、縦が二十メートル。

 

 さらに、とげ付きの板が空をランダムに動いている。

 空の駒はあの板より高く飛べない。つまり、空の駒の動きを制限するための仕掛けだ。


『セッティング、カード展開、スタンバイ、デュード!』


 一気にシャスティングの準備を終えるクリムゾン。どれだけせっかちなんだ。

 カードの色は予想どおり緑、駒は全てがたいの良い陸駒で盾を装備している。


 細かい構成は、大猩猩(だいしょうじょう)(ゴリラ)、サイ、(くま)(ぞう)の四体にタワーシールド。牛の駒にカイトシールドだ。

 タワーシールドは全て同じデザインで、身を寄せれば全身を隠せる程大きい長方形の盾だ。

 カイトシールドは三角の形をしていて、黒を基調に銀の装飾が施されている。あれ、カッコいいな!

 奴から貰う駒は牛の駒で決まりだな。


 プレシャス駒はクリムゾンの現し身。当然か。

 盾は意外にも小型のバックラーだった。もっと大型のものを選ぶと思ったが。


「準備はいいか!」

「ハイ!固金さん!」

「大丈夫です。ご主人様!」

「いつでも良いわよ。固金!」


 みんな気合いは十分なようだ。


「セッティング、カード展開」

「スタンバイ」


 マリアの言葉により自身を、俺の言葉によりルーザと祭り、さらに三体の駒がフィールドに転送される。

 今回の駒は(おおかみ)のガロンに食火鶏(ひくいどり)のヒクイ、そして(たこ)のクラコを選択した。

 今回は、意図的に属性を分けた。緑のカードを警戒したがゆえだ。


「ディード!」


 ゲーム開始の黒炎が現れ、落ちた。

 四人の命が懸かったシャスティングが、今始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ