いよいよ転生
今話で諒平が転生します。途中、一部分彼(彼女?)視点で物語が語られます。
さて、ここは異世界。前話にあった通り、諒平は新しい生命へと転生した。
……俺はこの世界で新たな命を授かって誕生した。しかし生まれてからしばらくは前世の事は全く覚えていなかった、というより覚えていた記憶がない。生まれたばかりだったから当然といえば当然か、それから成長するにしたがって少しずつ今、自分のいる世界を理解しつつ、前世の記憶も思い出してきた。
そして6才になって完全に前世の記憶が甦ったんだが……釈迦のバッキャロー‼俺、女の子になってんじゃねぇか!チキショー、俺のハーレム計画どうしてくれる?!女の子の体じゃ楽しめねぇだろ、男囲って逆ハー作れってか?冗談じゃない!そういやあんの野郎、俺の希望を聞くとか言って妙にニヤニヤしてやがったな。確かに願った事はその通りになった、俺は裕福な家庭の娘であり世界規模な戦争はここ数百年ないらしい。今の両親も、親父は多少老けちゃあいるがイケメンだしお袋はビックリする程の美女だ。とても四児の母には見えないぜ、つーか俺が女の子でもなくてこの人が母じゃなければ絶対口説く‼叶いはしないが。そんな両親の間に生まれただけあって俺も含めた四姉妹はいずれも美少女揃いと近所でも評判だ、全く嬉しくないがな。
という訳で、俺は心にモヤモヤを残して一生を過ごさなければならない。まさにもって生まれたモノは変えようがないからな、釈迦の奴は一生許さねぇが。
時は少し遡り、エリオット家の当主バリイ・エリオットは夫人のアマンダ・エリオットの出産を控えて仕事中も気もそぞろといった様子であった。こんな時、男は何も出来ないのが歯痒い。せめて体の痛みを共有してやりたいがそれも無理な話、その様子を訝しむ上司に事情を説明すると
「エリオット君、今日はもう帰って奥方の側にいてやりたまえ」と告げられ家路に向かう事になった。
自宅では二人の娘がバリイを出迎える、長女のジョディスと次女のポーラは不安そうに父の顔を見上げる。
「大丈夫。お母様は既に君達二人の出産を経験しているんだ、今回も元気な赤ちゃんを産んでくれるさ」娘の前で弱いところは見せられないバリイは自分にも言い聞かすようにそう諭すと自動車に二人を乗せ産院へと走らせる。
産院に着くと妻を担当していた助産師がバリイを見つけるなりいきなり駆け寄ってきた、一体何があったのだろう?バリイは助産師に問い質す。
「妻は?赤ん坊は無事なんですか?」
「はい、たった今お生まれになりました。女の子です」
誕生エピソードはまだ続きます。