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最凶魔王のまったり魔法教室  作者: No.44 Emperor
一章 最凶魔王のまったり魔法教授
9/22

クーフ(2)

どうも! Genshoです。何気に歯が痛いけど、虫歯ではないっぽい。

 時は変わり、今日はイシュトが倒れた次の日である。

 本日はクーフとのマンツーマン授業の予定だ。当然俺の目の前には髪をおさげにした可愛らしい金髪美幼女が腰に手を当て仁王立ちしている。

 ......一体何を誇ってるのだろうか。


「それで? 昨日はどこまでいったんだ?」

「うんとねー、何回か壁を作ってみたんだけど、結局1回しかできなかった」


 ......できてないのかよ。めっちゃ勝ち誇った顔してたくせに。

 まぁ1回まともなのができているんだ。才能がないわけじゃないし、クーフにも魔法のセンスがあることはわかっているからな。事実、あのテストの結果はものすごく信憑性が高い......ってボーグが言ってた。ので、あのテストで防御──四角い青がイメージできたということは、もう防御役ディフェンダーというか壁役ガーディアンになるために生まれてきたようなもんだな。それはイシュトも同じか。レアルはちょっと違うが。


「はぁ、そうか。魔法を撃つときにちゃんと『ウォール』って唱えたか? それ忘れたらできるもんもできねぇぞ?」

「ちゃんとやったよ! ......多分」


 とりあえず初心者によくありがちな詠唱のミスを指摘してみたのだが......

 ムムム。怪しい......これは絶対やってると思わせといてやってないやつだ。そうかクーフは嘘つくのが下手か。学習した。


「じゃぁ一回俺に見せてみろ。それから話をしよう」

「うん、わかった」


 そして彼女は1言唱え、手を前に突き出す。そしてその言葉を言った瞬間に自分の1mほど前方に俺の体長ほどある土の壁を作り出して見せた。

 しかし彼女はその壁に対して驚きの表情を見せる。


「うわー! なにこれー!」

「何これじゃないだろう。昨日1回成功したんだろ?」

「いや、まぁそうなんだけど、こんなに大きくなかったもん! こんくらいだったよ」


 と彼女はいい、自分の肩くらいのところに手を振って見せた。

 びっくりした。ハッタリじゃなくてよかったよ。


「今日はお前がこれを作り出したんだよ。今見たその様子だと昨日は何回か唱えてなかったな」

「うっ、そうかも......」


 そうかもじゃない。絶対そうだったんだ。まぁ今考えてみれば、詳しく詠唱について教えなかった俺も悪い。しかし一番最初に3人に向けて言ったはずだ。なんて言ったかまでは覚えてないが。

 なので全部は悪くない! 自分で言うのもなんだが極悪非道の極みだな異世界に来てまで......しかも子供相手に......


「まぁいい。色々と言いたいことはあるが、これでお前は土のウォールは使えるようになったんだ。これから強度を上げていこう。幸いなことにウォールはイメージの違いだけでいろんな壁を作り出せる。次はなんだ? 石か? 木か?」

「じゃぁ、石!」

「おう、やってみろ」

「うん! ......石の......ウォール


 ............


 特に何も起きない。うーん。最初は木から慣らしておけばよかっただろうか。どうやら今回は失敗らしい。だが1回ぐらいの失敗はよくあることだ。初めてだしな。土のウォールだってすぐできたんだから。そこを考慮するとかなり大したもんである。


「クーフ、もう一度だ」

「うん! ......ウォール


 やはり彼女の目の前に何も変化は現れない。一体なんの問題なのか。魔力かイメージ力か集中力か。とりあえず最後者ではない。事実彼女の集中力は本来──最初会ったときなんかよりは比べつとも上昇しているのがわかる。これをどう今後魔法に生かしていくかが俺の手腕が問われることになるのだがな。


「もう一度やってみろ」

「......ウォール!」


 今回は少し勢いのある詠唱こえだったな。そのおかげか今度は少し石の塊が地面を突き抜けてきた。お世辞にもかべとは言えないが、ちょっと微妙シュールだ。笑えることは笑える。


「もうちょっとだぞ。やってみろ」

「うん......もうなんかわけわかんなくなってきたよ......

 ......ウォール?」


 どうやら少し難易度が高すぎたらしく、クーフはバカになった。だがその瞬間すらもつかの間。


「きゃっ!!!」

「──っ!?」


 この可愛い悲鳴はクーフのである。俺じゃないぞ。断じて。


 『ドラァァァァァァァァァァァ!!!!!!!』


 話を戻そう。効果音をつけるとしたらこうである。今まで俺たち二人の前にはひらけた大きな広場があったはずだが、今クーフの魔法によりさっきの土の壁と同じくらいの高さのが地面を突き抜けてきた。......のだが、問題はそこではない。


「え、おじちゃん......これ......何?」

「わからん」


 クーフからも問われるが、こんな現象は初めて見た。

 地面から生まれた石のそれは、壁ではなく、まるで山だった。

 俺は試しに木の棒で叩いてみる。


 コツン


 想像通りの音が響く。どうやら普通の石か、と思い今度は少し遠くから石を投げてみる。


 バリンっ


 投げた石が割れた。まぁ普通だろう。普通に普通の山だ。......の。


「よし、クーフ、今度は壁をイメージするんだ。石の方じゃなくて、『壁』」

「うん! わかったよ!」


 クーフは「はっははー」と陽気な声をあげて魔法を打ち出す準備をしていたが、大丈夫だろうか。......頭。


「いっけー! ウォール!!!!!」


ドゴォォォォォォォォォォンン!!!!!!


 さっきの威力をも超える爆音が当たり一帯を鳴らす。

 ......俺ら2人の目の前には、さっきの山を越える、巨大な『岩』が出来上がっていた。


「どういうこっちゃなぁ......」

「え? 何これ......!? さっきのより大きい!」


 若干はしゃいで嬉しそうに聞こえるのは俺だけだろうか。


「うるさいなぁ。一応失敗してるんだぞ?」

「はぁい......」


 一体全体原因はなんだったのだろう。集中、詠唱共に問題は見当たらなかったが......


「もう1回やってみろ。イメージを軽くしてみるんだ」

「軽く? 小さくってこと?」

「まぁ、それでも大丈夫だろう。やってみろ」

「うん! ......ウォール


 ゴゴゴゴッ......


「できたぁ!!!」

「よし、よくやった」


 今度こそは成功した。小さな破裂音のような音とともに、彼女の前には少し凸凹でこぼこはあるものの、石の壁が約2メートルぐらい立ちはだかっていた。


 やはりこれまでの原因は子供特有の『イメージの相違』にあるらしい。

 魔法はなんども言う通り『イメージ』の産物だ。だが、人と人とで価値観がそれぞれ違うように、子供と大人ではそれを上回るように価値観の相違が激しい。よって大人目線で『これ』と決めても、子供の目からは『それ』となってしまうのだ。それで起きるイメージの微量の誤差を修正した結果だ。


 例えば今回のケースだ。目的は石でできている硬い壁。俺がイメージしたものはそれそのものだ。そして今目の前にある壁も俺のイメージしたものと酷似している。だが、しょっぱなにクーフがイメージしたものは違かったんだろう。どこが違うのか、大きさなのか、固さなのか、壁のイメージなのか、俺はクーフじゃないから詳しくはわからないが、どこかに誤差があったのは事実である。


「待てよ......? そうか。そうだ。なんで今まで気づかなかったのだろうか......」

「どうしたのおじちゃん?」

「いや......なんでもない。今日はさらに硬いものを目指していこう」

「うん! 私は全然オッケーだよ!」


 その後クーフの魔法がさらにレベルアップすることはなかったが、俺の頭にはどうしてもその原因となったものとイシュトの関係性が頭から離れなかった。

明日は練習試合だー!!!!!

   宿題だー!!!!!

   送辞だー!!!

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