最凶魔王のまったり魔法基礎伝授
どうも! Genshoです。本作も四日あけての投稿です。ちょっと最近学校生活が忙しくなりつつつつつある中でラノベも読まないといけないし書かないといけないストレス解消がストレスにぃぃぃぃぃ
──あくる朝。俺は未だ慣れない青く澄み切った空の下、イシュト、クーフ、そしてレアルの3人を引き連れて、昨日と同じ、小さな広場にやって来た。
こんなところで何をするのか。まぁ、ナニをしても疑われる風貌なのは間違いない。
俺は魔王だった。そう魔王だった。過去形だ。そんな元魔王だが、今俺はこの3人の子供たちに魔法を教えようなんて、なんて奇天烈なことをしようとしてる。一応請け負ったものの、やって行く自信などないが。しかし、それでも、やって見たいだけの思いをこいつらが出してくんだな。これが。
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「さて、まずお主ら、魔法の基本は知ってるか?」
「えー? ぱわーじゃないの?」
「違うよ! スピードだよ!」
「......わ、わかんない」
俺の質問に各々が自分の意見を述べる。イシュトはなんか違うが。
「うん。どれも違うな」
俺が答えをいうと、すぐに争いが起きる。
「ほらー!!! やっぱりパワーなんかじゃないよ!」
「クーフだって外れてるじゃねーかよ! なぁ? イシュト」
「いや......あの......」
あー、ゴタゴタだ──。
なぜ仲良くすることができない! みんな仲良くしないから俺は死んだんじゃないか? そうだよな! 小さい頃から意思の違いが生まれるのはこの世の中当然だが、その小さないざこざが喧嘩に発展しなければ、俺たちがやっていたような戦争なんかも起きずに、平和にこの世界みたいに過ごせたはずじゃないか?
ん、待てよ? 魔界のそれは俺の方から喧嘩売ってたからなのか。
そりゃ仲良くなんてなんねーわな......後悔先に立たずとはよく言ったもんだ。
「おいこら、お前ら喧嘩するんだったら教えねーぞ?
友達は仲良くするためにあるんだろうが」
うん、数日前まで魔王やってた奴のセリフとは思えねーな。
そうかこれが異世界の醍醐味か。
......まぁ冗談だが。
「はーい」
「俺は喧嘩なんてしねぇし!」
「......うぅ」
本当に反省してるのか? 主に若干1名。
あぁもう、こいつらはほんと個性の塊っつーかなんつーか。イシュトに至っては泣き目だし。
レアルとクーフが毎回やりあってんのか? それにイシュトが巻き込まれてると。
だとしたら災難だな。レアルはガタイがいいし、クーフは利口そうだし。なんでこいつらとつるむようになったのか。家が近いとかそういうことか? うーん、わからん。
......イシュトはどんな気持ちでこいつらと関わっているのだろうか。果たして関わっているのは本心なのか。考え出したらきりがないので、とりあえず考えるのはやめた。
とりあえず俺がすることできることはこいつらに魔法を教えることだけだ。
「いいか、よく覚えとけよ。魔法の真髄はな『イメージ』だ。想像力が豊かな人間ほど、魔法も上手く使える」
これは魔界でも異世界に来ても言えたことだ。人魔族関係なしにイメージする力の強さはかなり魔法を使う上で重要になってくる。かといって度が過ぎるのも良くない。昔どっかの偉人が言ったそうだ。
『過ぎたるは及ばざるが如し』
まさにこの通りであって、発想力が乏しい奴は何やっても人並み以上にできないし、イメージ力が多すぎると、もはや現実を超える域の物が出来上がる。
だから俺は魔王をしている時には魔族の幼少期の教育にも力を入れた。事実、人魔族関係なしに人の成長タイプというのは幼少期、第1次成長期に決まるらしい。なのでその教育機関で一番大事にしたのももちろん『イメージ』だ。
絵を描く授業や、物を作ることを率先してやらせたり、『考える』ことを強化したりなどしていた。
だがしかしbutここは魔界ではない。
さらにいうと彼らは魔族の子供たちではない。人間だ。
端的に言えば魔族と人間の思考力というのはほとんど違いはない。そういう研究結果も出ている。
けどけれどyet巷では人間の方が発達していると言われている。俺はそういうことは決してないと思っているがな。
なぜならば、文明の開発・発展は確かに人間の方が早かったが、シュタルヴィッチ1世が魔界を統一してから魔族の知能もあっという間に人間に追いついた。噂では1世の父親は実は人間だったとか。噂は噂だが。まぁ、その噂が本当なら俺にも人間の血が混ざっていて? ということとは俺は自分のルーツを攻撃してたのか......?
あぁややこしい! めんどくさい! 考えるのはやめだ!
話を戻そう。魔界でも最終的には子供のうちから人魔族関係なく魔法を使えるようになっていた。なので、こいつらも魔界の子達と想像力云々はそうそう変わらないはずだが──
空間──世界が変わるとそこも違うのか。もしくはこの世界で俺が『魔族』と認識してるものは実は魔族じゃないのだろうか。
俺がそんな問題に1人 杞憂していたんだが......
「俺が一番に魔法をマスターしてやるぜ!」
「いや! 私よ!」
「......ぼ、僕も!」
こいつらは......ガキかよ。
......ガキか。
「おーい、さっきの俺の話聞いてたか?
次喧嘩したら容赦なくやめるからな」
「はーいっ」
「わかったよ!」
「......ごめんなさい」
っ立ち直りも早いのかよ。いや、それは悪いことではないが......
まぁ、実践の時には役に立つんだろう。その機会があれば......だが。
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そして俺の魔法教室が始まる。
「魔法に必要なのは『イメージ力』。これはさっきも言った通りだ。
次に魔法を発動する上で重要なもの。それが『詠唱』だ。
『治癒』や、『火炎』なんかの単純魔法だったら簡単だが、
世の中にはもっと長いものもある。
それを覚えられるだけの記憶力が必要だ。まぁ、これは自分たちでやってくれ。俺が教えるようなことじゃないしな。
それを踏まえて今回は『治癒』を教えたいんだが......」
そこで俺はずっと泣き目で俯いてるイシュトを呼ぶ。
「おい! イシュト、俺もさっきから使ってる魔法、『治癒』は魔法のうちの何魔法かわかるか?」
という質問に
「あ! 私わかるよ!」
なんてクーフが突っ込んでくるが、
「ダメだよ、お前はイシュトじゃないだろ」
一喝する。
「はぁい......」
「ほれ、イシュト」
「......ふぇ? か、回復魔法じゃないの?」
......なんだ、できるじゃないか。泣き目なのは変わらないが。
「そうだ。その回復魔法は、魔法の中の基礎基本になるが、それゆえに高度な部分もかなり多い。
『治癒』は回復魔法の一番簡単なもの、初級魔法と中級魔法に分かれていて、初級の『治癒』は習得も使用も比較的簡単になる。
これが中級の『治癒』や、上級の『高度治癒』になったら、大人になっても使えない奴もいる。
だからこそ『治癒』は子供の内から覚えていた方がいいだろう」
「どうやるんだ?」
「でも魔法ってすぐにできるの?」
「ぼ、僕にもできる?」
一体なんなんだお前らは......
お前らは特定された時以外は3人連チャンでしか喋れないのかよ。
とりあえず今からやることは決まっている。
「ばかクーフ、すぐにできるわけがあるか。イシュトお前にもできるようになるぞ。レアル、生き急ぐといいことないぞ」
最後のやつは俺が身を呈して体験したからな。
しかし、本当にこいつらがすぐに魔法を覚えることができるとは思えない。魔界の子供たちですら9歳を超えてから教育機関に入れて、本格的な魔法を覚えるのはもっと後のはずだ。
しかし、こいつらはいくつだ? まだ10歳にもならないようなガキじゃないか?
「なぁ、お前らって何歳なんだ?」
「みんな10歳だぞ!」
「この前誕生日きたばっかりだよ!」
「へへ......」
そうか。イシュトの表情が一人だけおかしいが。
やっぱり難しいかな......しかし、こいつらの目はダイアモンドみたいに光り輝いていやがる。
こいつらを見捨てるのは元魔王としても1人の大人としても情けない。
しかし、ただ単に教えるというものもそう簡単にできるものじゃ......
何かこいつらの力量を測るものがあれば......
「うん? 測る?」
「どうしたの? おじちゃん?」
「測るって......体重か!?」
「バカじゃないの!? テストに決まってるじゃない!」
「ウッセー、言い方考えろよお前は!」
「あ、あの......2人ともお、落ち着いて......
喧嘩したらダメだよ?」
うん? テスト......?
そういえば教育機関では力試しのことをそういうのか......
ということは......
「そうか! 今からお前らにはテストをする。
イメージ力のテストだ。
このテストをして、俺がお前らの実力を測る。
そしたら俺も教えやすいからな」
こいつらにもそれが適用されるってことだ。
その方がこれからこいつら強くさせるのにも好都合だしな......
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「ねーねー、魔法使えるようになったらすごいよねー」
「俺は絶対強くなるぞ! それで、都会の方に行って活躍するんだ!」
「ぼ、僕は......」
この3人が自分の未来予想図を描いてる中、元極悪非道最凶魔王は一人笑みを隠せなかった。その笑みがいい方向に転がる笑みなのか、はたまた違うかは誰も予測のつかない、遥か彼方のお話。
......こんなスタートだったが、最凶魔王のまったりとした魔法教室がようやく幕を開けたのだった。
ここでとある偉人の言葉を引用しよう。
『賽は投げられた』
雪降って休校にナレェェェッェェェェェェェ!!!!




