最凶魔王の初めての冒険+再会(1)
どうも! Genshoです。受験勉強の最中、土曜は休みと言い訳をして執筆してます。ええそうです。全ては自己満です。
「魔族だよ。一部の人間は魔族を狩って生活してんのさ」
「なっ......!?!?!?」
女将さんの口から出た一言に、俺はまたもや驚きを隠せなかった。魔族を狩っているだと!?
「じゃぁ、俺とか、この村にいる魔族の奴らは? なんであいつらは人と共生してるんだ!?」
俺の質問に女将さんは溜息を吐く。
「あんた、何とモンスターを勘違いしてんのか知らないが、あう言う奴らは人語を話せるだろう。
モンスターは話せないから狩られるんだよ」
──そうか。そう言うことか。この世界では魔界と違って、魔族と魔族の違いが分けられているのか......
「わかった。色々とありがとうな。女将さん」
「ああ、気をつけてきなよ」
俺は女将さんに手を振って『マクダナルダ』を後にした......
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モンスターがいる......その情報は、俺にとって嬉しくも複雑なニュースであった。もしかしたら魔界との共通点があり、異世界なんてのもないのかもしれない......そう思えた反面、人間......亜人たちの生業として命を奪われている。
俺が言うのもあれなんだが、あまりいい気分にはなれない。
女将さんは続けてこうも言っていた。
『20年くらい前のことだったかな......あんたは知らないだろうね、あんまり大きな声で言うもんじゃないよ。この村に住む男の子とね、女の子が出かけてたんだが......魔族に襲われたんだよ。
幸い命までは取られなかったけどね。なんでも男の子が果敢に立ち向かったとか向かってないとか......まぁ、そこは置いといて、それが少し問題になったんだよ。魔族の危険性とかね。早めに絶滅させたほうがいいとかいう過激派も現れてね。この考えが他の街とかにも広まって、ここまで魔族退治が流行ったんだろうね、今はどこの世界でもやってるよ。あんたも気をつけなよ、その風貌じゃ狩られるよ。はっはっは!!!』
魔族は人を襲う──これは仮に魔族であっても当てはまることだ。現に俺らは人間を狩っていた。それが立場が逆転した──そう考えれば容易だが、それを現実として受けろめられるか。答えは......否だ。
この世界では人間と魔族が争わない......そう考えていたものが、全て壊された。
待てよ? これはもしかしなくともあいつらに実戦の機会をもたらすことができるのではないか???
あ、いやしかし魔族を傷つけるわけには......
「これは少し調べてみる価値があるようだな......」
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俺はすぐマグダナルダへとバックして、女将さんに件の襲われたとかいう場所を教えてもらい、少し冒険することにした。どうやらそこはこの村から歩いて1時間ほどかかる森らしい。親切な女将さんは地図まで売ってくれた。くそ、これが初回じゃなかったら借金していた。情けない......
まぁそんなことはどうでもいい。ひとまず行ってみるとしよう。
俺は毎度のこと俺の身長よりかは小さい村の外門をでて、言われた方向へと進むことにした。
時刻は現在10時くらいだろうか。まだ黄色い太陽は登りきっていない。行って帰ってくればちょうど昼飯の時間には間に合うだろう。なんだったら森で山菜でも摘んでクテュルヴで料理してもらうのもいいな。
そんなことを考えながらも何もない1時間はこれほどかというぐらいすぐに過ぎていく。
「ここか......」
俺は件の森と対峙していた。手前には小さな藪ほどしかないが、奥を見渡すと、鬱蒼と木々が茂っている。そして最も特筆すべきは、手前の森への入り口に意味ありげに置かれている2束の花束。もしかしなくても2人の子供は亡くなった......? いや、そこまで女将さんも言ってなかったが......
そこまで考えて、俺は森へと一歩を踏み出した。
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ブオオォォォォォォォォオ......
大きく木々が鳴く。それは俺への歓迎なのか、またその逆なのか。森の中は手入れされている感じで、獣道ほど細く荒々しい1本道が続いている。ひとまず俺はその道に従いながら、魔族の有無を調べていくことにした。
「お、木の実発見。もらうとするか」
これは似たようなのを魔界でも見たことがある。形は完璧にそれだ。
「林檎。アルフの作ったパイは絶品だった。是非親父さんに作ってもらおう」
魔界の林檎は赤かったが、この世界のは緑色だな。いや、そういう種類なのか? 兎も角何かこの世界は色覚的な違いが多いように感じる。
ガサッ
魔族調査のことも忘れて木の実の収集に夢中になっている時、それは聴こえた。
『ヴゥゥゥゥゥゥ......』
──!? 呻き!? やはりこの森に魔族はいたというのか!?
俺はいつでも魔法を撃てる準備をし、音のした方へと向かっていく。
「誰にゃ?」
「こちらの台詞だ」
「にゃんだ。気づかれてたのかにゃ」
後ろからかかる声。気配は感じていた。俺は徐にそちらの方向に振り向く。
「にゃ」
「──獣人!?」
「違うにゃ! 私はれっきとした人間にゃ!」
そこにいたのは、齢10ほど──あの3人とほとんど変わらないくらいの少女が立っていた。耳は頭頂部についていて、人間の体だが、臀部からは尻尾が生えている。
「人語を喋るということは......敵対する気はないのか?」
俺は木の実ではなく情報収集を試みて、少し会話を進めようとする。
「これからのお前の行動次第だにゃ」
「こちらからは攻撃はしない。誓う」
「ならいいにゃ」
俺は質問を続ける。
「ここに魔族がいるのは本当か?」
「本当にゃよ。なんならついさっきも遭遇したにゃ」
──っ! そんな頻繁に!?
「よく、頻繁ににゃ」
「実はだな...... 1昔前ここで魔族に襲われた子供がいると聞いてきたのだが......」
「知らないにゃ。私もここには10年くらいしかいないにゃ。聞いたことないにゃ
お前もよくわからないことを聞くにゃ。最近鬱陶しいにゃ。モテ期かにゃ?」
「おみゃーも? 俺以外にも似た質問をした奴がいるのか?」
その問いに猫人は答える。
「ああ。いるにゃよ、あっちの方に。なんでも魔王を探してるらしいにゃ」
──っっっ!!!!!!
「魔王......だと?」
怪訝に思い俺は聞き返す。聞き間違えでないとしたらそれはもしや......
「にゃ。おかしい奴だにゃ。自分は魔界とかいう他の世界から来たとかいうにゃ。薬でもキメてるんかにゃ?」
──俺だ。俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ。
しかし、その相手は誰だ? 魔王軍が俺を慕ってきた? 人軍が俺を追ってきた? 場合によっちゃこの子を関わらせてはいけない......
「もしかしにゃくともお前あいつの仲間か? にゃんにゃら呼んであげるにゃよ」
「いや、別に俺は.....」
「ちょっとここで待ってるにゃよ」
「あっ......」
俺が言い終わる前に、猫人の少女は軽い身のこなしで丸太を飛び越え向こうに行ってしまった。
帰ってきたのは5分もしない後だ。俺はその間唖然と、呆然と帰りを待ち立ち竦むことしか出来なかった。念の為そいつが人軍だった時のことを考えて、転移魔法の用意をする。
そして2つの声と足音がこちらへと近づいてくる。1つは幼く高い猫人の声。
もう1つは、もう聞けないと思っていた、大事に育てた、幹部の声。
「にゃー! なんで信じないにゃ! お前のいう魔王が見つかるかもしれにゃいにゃよ!?」
「五月蝿い! 俺は自分の手で魔王様を探すといったではないか! わざわざお前の手なんざ借りなくともな! ププッ、猫の手も借りるって......」
「うるさいにゃ! 猫じゃないにゃ! 人間にゃ!」
一瞬の間。俺はその名を口にした。
「アルフ?」
正解。
「──魔王様?」
Let's live like we're immortal.Maybe just for tonight.We'll thinking about tomorrow when the sun comes up.'Cause by this time tomorrow we'll be talking 'bout tonight.Keep doing what we want we want we want.No more wasted nights!!!!!




