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最凶魔王のまったり魔法教室  作者: No.44 Emperor
一章 最凶魔王のまったり魔法教授
21/22

最凶幹部(3)の初めての冒険with幼馴染

どうも! Genshoです。そろそろ県立受験のシーズンも近づいてきました。まだ本気を出しておりません。じゃぁいつ出すんだよ。今か。

「わーい、わーい冒険! 冒険!」


 ユールの外門を出てまだ3分ほど。ユウカはいつにもましてハイテンションだ。まぁ、初めてと言っていい2人での遠出だからな。幼心に嬉しいのだろう。俺の精神的にはもう遠い昔に経験したであろうことだが、俺の青春はそんないいものではなかったな......


「ねぇねぇ、今日はどこらへんまで行くの? 次の街まで? それとももっと遠く!?」

「ばかやろ、そんな遠くまで行ったら帰ってこれねぇよ。せいぜい次の次の村までだな」

「えぇ〜、次の村までならこの前も行ったじゃん!」


 俺の提案に拗ねて頰を膨らますユウカ。なんだこいつ、カワイイ......


「わかったよ、街まで行けそうだったら行ってみよう」

「やったぁ!!!! タローかっこいい! 大好き!」

「あー五月蝿い、寄るな!」


 とは言いつつも内心では結構嬉しかったりして......

 小径に散っている落ち葉を踏む音がいつもより心地よく聞こえて、かくして俺たちの冒険は始まったのだ。


<><><>


「ねぇタロー......?」


 ユウカが不安そうな声で俺の名を呼ぶ。


「なんだよ」


 心なしか俺の声も震えているように聞こえる。そこらを飛んでいる鳥類の鳴き声が五月蝿い......


「今、どこらへん?」

「わからん」


 そう、俺たちは絶賛迷子である。ユールを出てから1〜2時間は経ったのだろうか。最初に着く村でさえ普段なら30〜40分で着くはずだったが、どこで道を間違えたのか、何故迷っているのか、見当もつかない。


「だから言ったんだよ、最初の村までにしとこうって!」


 俺はユウカへの八つ当たりを始めた。


「何よ! 最初の村にもついてないじゃない!」

「五月蝿い! 黙れ! こっからは俺1人で行く! 勝手に帰ってろ!」


 俺は鋭く言い放ち、ユウカを突き飛ばした。


「キャッ」


 ユウカの小さな悲鳴が霧散する。

 俺は泣きじゃくるユウカに目もくれず、街への道を急ぐことにした。


 のだが......


「なんだ.......?」


 ユウカの鳴き声が止まった。こんな早く泣き止むか!? まだ10秒も経ってないぞ!? 俺は恐る恐る振り返る。


 ......がもうそこにユウカの姿はなかった。


「おいユウカ!?」


 俺は急いでさっきまで言い争っていた場所に戻る。土を触る。まだ暖かい。やはりついさっきいなくなったようだ。誘拐されたか? いや、そんなはずはないっ!!! 誘拐ならいくらガキでも悲鳴をあげるはずだ! 口を塞がれた......? 

 俺は一度考えるのをやめ、伏せて耳を地面に当ててみる。これは魔王軍時代に習った技だ。土は空気中よりも音の波を伝える能力が高い。簡単に言うと、空気中よりも遠くの音が聞こえる。


「......」


ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ


「聞こえた!」


 方角は丁度南。


「くそっ、あの茂みか!」


 あの振動音......ここまできたら誘拐なんてことは考えられない。

 どうやらこの世界にもいるようだ。


「魔族......許さねぇ......」


 俺の目は、既に人間のそれではなくなっていた。


<><><>


 ザッ、ザッ、

 鬱蒼とした草木を踏み掻き分けながら、俺は茂みへと足を踏み入れたが、そこはまるで


「なんだここ......森......?」

「タロー!!! 来ちゃダメ!!! 逃げて!!!」


 不意に俺を呼ぶ声、この声は!


「ユウカ!」


 俺は声のした方を振り向く。そこには、ゴーレムのような化物モンスターの掌の中に収まっている幼馴染の姿があった。


「待ってろよ今助けるからな!」

「タロー!」


 俺は焦点を化物ゴーレムに当てて、低姿勢で走り出した。

 落ちている石を拾って投げてみる。あたりはしたものの、コツン、という小気味の良い音だけが木霊(こだま)し、ダメージなどは見当たらない。


「くそっ!!!」


 俺は毒づき、あの時の自分を後悔した。ここまで来ても、まだ性根は魔界の時と同じなのか......


「ん? 魔界......魔法?」


 閃いた。

 俺は試しに手をゴーレムにかざし、想像イメージをする。

 そう、狙いは左肩、ユウカのいない方の手だ。


「吹き飛べ......爆裂(ボム)


 爆撃──瞬きすらも許されないまさにあっという間に俺の手から出た火の玉によって、ゴーレムの左肩が消し飛び、腕が茂みの中にガサゴソと落ちていった。


「キャッ」

「ユウカ!」


 ゴーレムが痛めた腕をなくした肩を抑えてうずくまる。その作用でユウカはひとまず解放されたようだ。

 ユウカがこちらまで駆けてくる。俺はそれを受け止める。


「大丈夫か、ユウカ」

「ねぇ、タロー! 何今の!? もう一回!」


 俺の腕の中にいるユウカが泣くのをやめ、どうやら俺の繰り出した魔法に興味津々になったようだ。このやろ立ち直りの早いやつだ! 心配した俺が馬鹿だった。


「お前! 帰ったら覚悟しろよ!」


 俺はユウカに後ろに隠れるように指示する。

 やはり9歳の体じゃ無理があるか。体力的なことも考えると、無駄撃ちは避けたい。だがこの感触なら、もしかするともしかするかもしれない。


「威力は落ちてるけど......いけるぞこの野郎.....」


 俺は一息吐いて、また手の中に火の玉を作り出した。依然としてゴーレムはうずくまったままである。


「ゴーレム......」


 このゴーレムが魔界にいたやつと同じなのか......いや、どう見ても違うだろう。魔界の魔族まぞくは言葉が交わせる。だとしたら、俺の知識は使えない......


「いや、そんなこともねぇぞ!?」


 考えろ、思い出せ俺。俺は元々人軍だったじゃねぇか、思い出すんだ俺! 前世の封印した記憶を!!!


「ヴァァァァ......」

「くそっ、時間ぎれかっ!」


 俺が記憶を手繰っている間にゴーレムが戦意を取り戻したようだ。心なしか、左腕も再生している......?

 俺はすかさず、右肩と左足に爆裂(ボム)を連発する。


「ヴグヴァッ!!」


 俺の想定通り、ゴーレムはバランスを崩し、枯れ木の山にその体を投げ打った。


「ふぅ......ふぅ......」


 俺は肩で息をする。この2発でかなり体力......というより魔力をかなり消耗した。後2発......持って3発というとこか......?


「すごい! タロー! 倒したの!?」


 ユウカが勝利を確信して俺のところへと寄ってくる。まだだ、まだ終わっちゃいない......っ!


「来るな! あいつはまた起き上がってくる!」

「え......そんな......」


 ユウカの目が悲壮に溢れる。くそっ、見てられねぇぜ!!!


「見てられない......見えない......?」


 そうか、ゴーレムも土人形とはいえ人型だ! ということは視界を封じればどうにかなる......?


「待てよ、思い出したぞ!」


 これだ。俺が昔親父と一緒に倒したゴーレム、閃光(フラッシュ)の後に、何か炎属性の魔法を使った......気がするんだが......なんだっけ......


「まぁいい、手始めだ。おい、ユウカ後ろ向いてろ!!!」

「わかったよ!」

「いけ! 閃光(フラッシュ)!」


 俺は両目を塞ぎ、ゴーレムが起き上がる顔に向けて両手を掲げる。


ピシュゥゥゥゥゥン......


 まぶたの裏からでもわかる。視界が一回白くなり、またさっきの森の緑の景色に戻ってきた。


「これだ、この感触だ!

 ユウカ、もういいぞ」

「おっけー!」


 俺は全てを思い出した。この後に続くのは......っ!!!


「なぁゴーレム、知ってるか?」


 俺は間合いを確かめながら、ゴーレムに話しかける。言葉は通じない。わかっていてもだ。


「ンガッ?」


 ゴーレムも急にどうしたみたいな感じで首をかしげる。

 俺は続ける。


「人間はな、炎を使えるから『人間』になったんだよ!!!!!」


 俺は今までの思いをすべて込めて、両の腕をゴーレムに向けて叫ぶ。


「光れ炎、燃え上がれ火の穂。

 紫だちたるその陰で、灰になって焼かれ尽きろ!

 喰らえ......私怨.......紫炎!!!!!」


 紫炎しえん──俺の持つ魔法の中で一番上位に位置する魔法だ。紫の炎で、普通の炎属性の魔法より高温で高酸素の状態で体を包んで焼きつくす。酸素供給量が多い中で、燃えに燃えて、灰となり、跡形も残らない。ま、ゴーレムが無機物の可能性は否めないがな。

 ここまでは前世と全く同じだ......違うのは......


「俺の魔力ぐらいかな」


 そういって俺は何度目かの意識を手放した。

20years old and you gotta let me know???

日本代表イラン戦がんばれ

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